気候変動緩和と適応

適切に経営された熱帯林は巨大な二酸化炭素吸収源となります。ITTO は持続可能な森林経営および合法かつ持続可能な木材サプライチェーンを促進しています。写真撮影:FORDA

持続可能な経営下にある熱帯林とこれに関連した合法かつ持続可能なサプライチェーンは気候変動に対抗し循環性に優れた経済を築く取組の基礎となり得ます。適切に経営された熱帯林は巨大な二酸化炭素吸収源となり、持続可能な方法で生産された熱帯木材は大量の炭素を排出する資材に代わる再生可能で低炭素の資材として利用することができます。

持続可能な森林経営はまた、例えば生産性を向上させ、生物多様性を保全し、土質・水質を維持し、洪水・沿岸の高潮・干ばつに対する緩衝材の機能を果たすことによって、気候変動に対する森林と人々の強靭性の向上に寄与することも可能です。持続可能な経営下にある森林は特に農作物が不足する時期に地域の人々にとって追加的な食料源となります。

しかし、世界では森林減少による温室効果ガス排出量が全体のおよそ5分の1を占め、森林劣化もまた大量の排出量の原因となっています。国連気候変動枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change:UNFCCC)における交渉の中で、開発途上国による森林減少・森林劣化由来の排出量の削減および森林再生や持続可能な森林経営を通じた炭素蓄積量(炭素ストック)の保全・増大を促すメカニズムとして REDDプラス(REDD+)(森林減少・劣化からの温室効果ガス排出削減) の概念が生まれました。

ITTOは、プロジェクト、政策策定、キャパシティ・ビルディングを通じて加盟国や地域住民による気候変動適応と緩和対策を支援しています。次のような支援を行っています:

  • 劣化した森林景観を再生し不可欠な生態系サービスの提供と木材その他の林産物の生産を可能にする
  • 生産性のある森林と保護区における生物多様性を保全する
  • 制御不能な山火事のリスクを最小限にとどめる
  • 生産性のある森林を持続的に経営・利用し、炭素隔離を促し、森林の減少や劣化を抑え、やりがいのある持続可能な雇用を生み出す
  • 合法かつ持続可能な木材サプライチェーンを促進する
  • REDDプラスの認識や実施に合致した政策や方法を策定する

持続可能な開発目標(Sustainable Development Goal:SDG) 13の重点的取組:「気候変動に具体的な対策を」
 

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