種の保全と持続可能な利用の整合性:ITTO、CITES第20回締約国会議で支持を表明
2025年11月28日, サマルカンド
ワシントン条約およびメキシコのCONABIOが主催したサイドイベントにおいて、モハメド・ヌルディーン・イドリスITTO貿易産業部長は、ITTOの能力構築および保全の取組による「非常に高い補完性」が、CITESの種ごとの目的を強化していると述べました。 © Kanako Ishii/ITTO
国際熱帯木材機関(ITTO)のモハメド・ヌルディン・イドゥリス貿易産業部長は、ウズベキスタン・サマルカンドで開催された絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約、CITES)第20回締約国会議(COP20)において、ITTOとCITESの強固な協力の重要性を強調しました。
11月25日、イドゥリス氏はCITESおよびメキシコの生物多様性の知識と利用に関する国家委員会(CONABIO)が主催した「CITESと森林」イニシアティブに関するサイドイベントにITTO代表として出席しました。同イベントには、生物多様性条約(CBD)や国連食糧農業機関(FAO)を含む主要な多国間パートナーが参加し、CITESと森林関連機関との相乗効果を検討した学際的研究の成果について議論しました。s.
イドゥリス博士は発言の中で、同研究がITTOをCITESの取組と最も整合性を持つパートナーとして位置づけていると述べました。その理由として、ITTOが持続可能な森林経営、政策およびコンプライアンスの枠組、そして合法的で追跡可能かつ持続可能な熱帯木材貿易の支援に重点を置いている点を挙げました。同氏は「能力構築と保全の分野でも、非常に高い補完性を目にしてきました。」と述べ、「ITTOのアプローチは生態系に基づくものであり、CITESの種ごとの目的を強化しています。」と続けました。
同氏はまた、2007年から2016年に実施されたITTO–CITESプログラムを通じた長年の協力を紹介しました。同プログラムは、無害証明(NDF)の策定支援、木材識別の強化、コンプライアンスおよび市場の透明性の向上に寄与しました。さらに、2017年から2022年におけるCITES樹木種プログラムでのITTOの成功事例―森林ガバナンスの改善、農村地域の生計向上、CITES掲載種の取引が合法かつ持続可能であるよう保障することへの貢献―を紹介し、これらの成果はITTOの使命と完全に整合していると述べました。
イドゥリス博士は、ITTOがこの取組を継続し、特にCITES掲載の熱帯樹木種の持続可能な経営を支援する現在進行中のプロジェクトに関する進捗を、会期中および次回のCITES第21回締約国会議(COP21)で締約国に報告する予定であると述べました。
「ITTO加盟国は熱帯林の80%、熱帯林資源の貿易の90%を占めています。このことから、CITESとITTOは締約国に貢献するための自然な協力関係にあると言えます。」とイドゥリス博士は強調しました。
さらに同氏は、「樹木種の掲載が増加し続けている現状を踏まえ、CITESとITTOの協働継続のため、ドナーの皆様に引き続きご支援をお願い申し上げます。」と続けました。
熱帯樹木種に関する持続可能な意思決定の支援
コンゴ盆地諸国が提出した、アフリカン・パドーク(Pterocarpus soyauxii)をCITES附属書IIから削除するプロポーザル47に関する本会議での議論で、ITTOは、提案国の科学的根拠およびITTOが支援した研究成果を引用し、当該のプロポーザルを支持しました。提案は必要な3分の2の多数を得るには至りませんでしたが、ITTOはCITESの掲載および取引規制を形成するうえで健全な科学の重要性を強調しました。
ITTOは、貿易措置が十分な情報に基づき、均衡が取れ、持続可能な熱帯林の経営を支えるものとなるよう、COP20を通じて引き続き関与します。本会議の成果はITTOのプログラムに反映され、次回のCITESの運営機関会合に向けて、両者のパートナーシップは一層強化される予定です。