ITTO事務局長、宮崎でのG7会合でセミナーの司会を務める

2023/04/22

セミナー「持続可能な木材利用によるネット・ゼロ及び循環経済の実現に向けて」のモデレーターを務めたシャーム・サックルITTO事務局長(左)。写真:K. Ishii/ITTO

シャーム・サックルITTO事務局長は、2023年4月21日に宮崎で開催されたG7農相会合で行われたセミナー「持続可能な木材利用によるネット・ゼロ及び循環経済の実現に向けて」でモデレーターを務めました。

このセミナーでは、G7諸国やその他の地域における合法的かつ持続的に伐採された木材や木材製品の利用について、また、ネット・ゼロ炭素排出量と循環型経済を実現するための持続可能な森林経営と木材利用の重要な役割について検討しました。

セミナーの登壇者らは、持続的に経営された森林は二酸化炭素を吸収し、その成長過程において二酸化炭素を蓄えることができるため、合法的かつ持続的に伐採された木材を建物などの長寿命製品に使用すると、蓄えた炭素を固定することができると述べました。また、木材は鉄やコンクリートなどの材料に比べ、製造や加工に必要なエネルギーが少ないため、排出量を削減できることも指摘されました。このように、木材は気候変動に配慮した代替材料として有効であると言えます。

セミナーでは、循環型経済への貢献の一つとして、木造建築物による二酸化炭素排出量削減への期待が議論されました。角田秀穂 農林水産大臣政務官が開会の辞を述べ、イェール大学建築学部上級教授、Gray Organschi Architecture社の共同経営者、Bauhaus Earth Innovation Lab所長のアラン・オルガンスキ氏が基調講演を行いました。続いて行われたパネルディスカッションでは、カナダ・ブリティッシュコロンビア州雇用・経済開発・イノベーション省貿易担当副大臣のジャグルップ・ブラル氏、国連食糧農業機関(FAO)事務局次長のマリア・ヘレナ・セメド氏、国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所所長の中静透氏、マレーシア木材協議会 最高業務責任者代理 兼 国際事業開発部門長のタン・ティン・ワイ氏が登壇しました。

最後に、サックル事務局長は、持続可能な木材利用や持続可能な森林経営に対する社会の認識向上と投資拡大が急務であると指摘。また、合法的で持続可能な供給源からの木材の伐採は森林破壊ではないという理解へと認識を変えることも重要であると述べました。

最近の活動