違法伐採問題と関連貿易についての取組み

2015年6月12日

エクアドル、Tandapiの検問所でチーク製材(チーク属グランディス)を積載したトラックの検査が完了。ITTOプロジェクトPD406/06 Rev.1(M)の支援を受けて開発した国家森林管理システムによる林産物や野生生物検査の一環として行われている。写真:LCE ロドリゲス(サンパウロ大学、ブラジル)

国連大学(東京)で開催する違法伐採問題を考える国際シンポジウムにはおよそ300名が参加予定で、違法伐採と木材貿易に関する諸問題について議論を交わします。本シンポジウムでは違法伐採への対処と信頼できる木材合法証明システムの整備を行う取組みを推進できるよう、あらゆる方策を検討する機会を提供します。本シンポジウムは国際熱帯木材機関(ITTO)の協力ならびに林野庁の後援により、まちと森林をつなぐ木づかい全国キャラバン実行委員会の主催により実施します。
 
違法伐採問題は、1980年代になって、熱帯林の減少・劣化原因の一つとして国際社会の注目を集めるようになりました。1998年には、主要国首脳会議が森林に関するG8行動計画を英国のバーミンガムで採択し、取組みが開始されました。2002年に南アフリカのヨハネスブルグで開催された持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)では、インドネシアと日本が国際NGOの支持を得てアジア森林パートナーシップを立ち上げました。それ以降、輸出国、輸入国の双方において、違法伐採を減らし木材・木製品の合法性を確保するための取組みが進められてきています。しかし、こうした国際社会の努力と取組みの成果にもかかわらず、最近の報告によれば違法な木材・木製品は、依然として熱帯諸国の国内市場を中心に広く流通しているとされています。つまり、国際的にこの問題について協議を行い協力していく必要性が明らかだということになります。
 
ITTOは森林法の施行·ガバナンス及び貿易(TFLET)と貿易と市場の透明性(TMT)という二つのテーマ別プログラムITTO-CITESプログラム及びFLEGT独立市場監視(IMM)プログラムを立ち上げていることからも、木材貿易市場における合法性の証明と持続可能性を確かなものにする必要性を認識しており、積極的な取組みを行っています。
 
さらに、ITTOから資金提供を受けたDNA指紋分析法について調査するプロジェクトでは貿易業者や政府​​が木材の合法性要件を満たせるよう支援することを目的としました。また、合法的な木材調達や政策の策定を支援するプロジェクトや、エクアドルグアテマラなどで政策と市場動向について政府機関と効果的なコミュニケーションを促進していくための情報共有プラットフォームを構築するプロジェクトなどもあります。ITTO加盟国であるオーストラリア、欧州連合(EU)、日本、米国などの主要木材輸入国は木材調達政策や合法的な木材の輸入と利用を確実なものにする合法性確保への対策が導入されています。このような国際市場の懸念に応えて、カメルーン、中央アフリカ共和国、コンゴ共和国、ガーナ、インドネシア、リベリアなどの木材輸出国においても、木材輸入国との連携の下に合法性確保対策を確立しています。道のりは長いかもしれませんが、違法伐採を減らすための課題と機会を見出す方向へと対策を講じています。
 
本シンポジウムでは下記について議論を行う予定です。
• 違法伐採と貿易を減少させるための国際的な取組み
• 合法性の保証について主要な木材輸入国が行う取組みについての予測
• 木材輸出国が合法性確保要件を満たすための取組み

本シンポジウムで期待される成果は以下の通りです。
• 熱帯木材輸入国と輸出国における違法伐採についての取組みに対する進捗状況について認識してもらうこと
• 違法伐採に対処するための機会と課題についての理解を深めてもらうこと


ITTOの違法伐採に対する取組みについての詳細はhttp://www.itto.intをご覧ください。