森林法施行・ガバナンス・貿易（FLEGT）独立木材市場監視

ITTOは2013年12月に、「独立市場監査：VPA^[1]枠組みでのEU市場におけるFLEGT認証を受けた木材の受け入れに関する分析」または「IMM」と題した大規模なプロジェクトを実施するために欧州連合（EU）との協定に署名をしました。

IMMの取り組みはVPAパートナー国からの要求への回答及び協定を交渉する際の誓約から構成されています。
 
森林法、施行、ガバナンス及び貿易に関するEU行動計画が2003年に策定されました。この計画には合法材の貿易を促進し、違法材のEU市場への流入を回避するための生産国及び消費国における対策が含まれています。行動計画の中心となるのは、自主的二者間協定（VPA）で、FLEGTライセンスのシステムを通してEUへの輸出材が合法材であることを保障し、さらに、パートナー国の規制と森林セクターのガバナンスを改善するためにパートナー国を支援することをめざしています。
 
VPAの交渉中にパートナー国は、EUの木材市場に顕著な変化が見られたかどうかを検討するため、また、FLEGTライセンス材がEU市場に受け入れられているかどうかを確認するために、第三者監視機関を設立することを要求しました。FLEGTパートナー国は違法伐採と闘い、森林法の施行を強化し、さらに合法性を証明するための努力がEU市場での木材の受け入れに好影響をもたらしているかどうか、また、市場シェアと市場参入の面で見返りがあるかどうかを知りたいと考えています。
 
FLEGT行動計画及びVPAの締結に不可欠なEU木材規制（EUTR）が2013年3月3日に発効されました。この規制によりEU市場への違法伐採材の出荷が禁止されるとともに、“デューディリジェンスシステム”と呼ばれる一連の措置を通してEUの取引業者が市場に違法伐採材を出荷するリスクを最小限に抑えることが求められています。EU木材規制には、有効なFLEGTライセンスを取得した木材製品は合法的に伐採されたものとみなされるので、FLEGTライセンス材に対するより大きなインセンティブを作ることができると、はっきりと示されています。さらにEUの加盟国は合法材を促進するための自国の政策を策定してきました。その中には、FLEGTライセンス材及び民間の認証制度により認証された木材に有利となるような官庁の調達政策も含まれます。

FLEGTライセンス材は2014年から2015年にかけてEU市場に初めて出荷される予定です。 FLEGTライセンス材が好意的に受けいれられ、EUの木材市場におけるVPA締結国の市場シェアが増すことがおおいに期待されています。EU市場によるFLEGTライセンス材の流通状況の分析はFLEGT VPAの影響を監視し、EUのFLEGT 行動計画を実施するために重要となるでしょう。合法木材貿易の変化を示すことにより、VPA締結国の機運が保たれ、市場の期待にこたえるための森林セクターの改革を実施するスピードが速まることになるでしょう。
 
これまで、ガーナ、カメルーン、コンゴ、リベリア、中央アフリカ共和国の6カ国がEUとFLEGT VPAを締結しており、ラオス、マレーシア、タイ、ベトナム、コートジボアール、インドネシアの9カ国とEUの間で交渉が進んでいます。VPAは貿易動向の情報及び違法伐採と闘いFLEGT ライセンス材の流通を促すためにEUがとっている措置に関する情報を含む、年次報告システムを作成します。ITTOが実施するIMMプロジェクトはEU市場の流通に関する問題に対処し、EUのFLEGT行動計画の影響の監視に寄与するような情報を年次報告書に提供します。
 
IMMはEU加盟国、VPA締結国及び木材セクターの利害関係者と協議しながら実施されます。ITTOとVPA締結国からすでに入手できる情報も考慮に入れて、現在及び将来のVPA締結国からEU市場に出荷された木材の貿易動向に関するデータベースを作成するために、ITTOの管理下で担当者間のネットワークを作る予定です。さらに、過去10年間の木材市場の動向と市場に影響を及ぼしてきた要因を明らかにするのに役立つベースラインを作成します。

IMMはまた、合法木材の国際貿易を評価し、改善された森林法の実施及び合法性の検証が熱帯木材市場におよぼす影響を深く理解するためのITTOの能力を強化することにも寄与します。IMM プロジェクトの総額は60ヶ月の実施期間で437万5千ユーロです。

詳細につきましてはITTOにご連絡ください。 itto@itto.int
 
[1] 自主的二者間協定（VPA）は森林ガバナンスを改善し、EUに輸入された木材の合法性を保障することめざす、EUと熱帯木材輸出国間での2国間貿易協定です。