中国の木材企業が共同でグローバルグリーンサプライチェーンを推進することを約束

2018年7月9日

ゲアハート・ディタレITTO事務局長(左から2番目)と中国政府関係者らと写真撮影する同国の主要木材企業の代表者。この会議でグローバル・グリーンサプライチェーンの確立を約束した。写真提供:R. Carrillo / ITTO

中国で今年6月下旬に開催されたITTO主催ワークショップならびにダイアログによって同国の林産物企業大手12社(あわせて800億人民元、およそ12億米ドルの年間売上高を数える)がITTOのファシリテートによるグローバル・グリーンサプライチェーン(GGSC)の確立を呼び掛けました。(詳細PDFファイルのダウンロード


ITTOの使命は持続可能な森林経営(SFM)の促進、ならびに合法的および持続可能な資源から得た熱帯木材貿易の拡大および多様化を担うことにあります。今回、ITTOは中国国家林業局(CINFT / NFGA)国際林産物貿易センター(CINFT / NFGA)と共同で、中国北京の林業製品のグローバル・グリーンサプライチェーンに関する国際ワークショップを開催しました。会議は中国の広大な木材セクターのグリーンサプライチェーンへの関心を促進することを目指し、6月21日から22日にかけて行われました。


グローバル・グリーンサプライチェーンが確立されると、熱帯木材を含む合法的で持続可能な木材や林産物の生産、 加工、流通および消費が強化されること、そしてこの行程にかかわる熱帯林の所有者から最終消費者に至る全ステークホルダーへ利益をもたらすとともに環境保全にも貢献できると考えられます。


本ワークショップには中国の産業界および政府(商工省、林業および草原管理および税関総局)ならびに海外からの講演者を含む総勢120名以上が出席しました。参加者は、法的で持続可能な「グリーン」サプライチェーンによって熱帯諸国の森林から消費者市場の最終製品までのすべてのステークホルダーに様々な複合的利益をもたらすのだという認識で一致しました。グリーンサプライチェーンを開発することで生物多様性保全、気候変動緩和、そして環境保全を確かなものにしながら、良好なビジネスを促進し、今起こりつつある熱帯林産物の需要と供給バランスのギャップを埋めるための公正な場を創出するのに役立つだろうと考えられます。 合法性とトレーサビリティーを強化すれば、森林生産の現場から木材や森林製品の加工、流通、消費までのバリューチェーン全体の透明性も向上していくとされます。
 

本 ワークショップは4セッションで構成され、その後中国の大手企業[1]の代表者とのダイアログが行われました。ワークショップセッションでは以下について取り上げられました。
1)熱帯木材資源の供給に関する世界的状況および動向
2)世界の木材市場における需要と課題
3)中国のグリーンサプライチェーンを構築する役割とその展望
4)グリーンサプライチェーンの構築:コン​​セプトと国際的経験。
 

ワークショップで得られた重要なメッセージと結論は以下の通りです。
  • 林産品産業の発展のためには、合法的かつ持続可能な供給源から木材の原材料を安定して確実に供給することが不可欠。
  • いくつかの解釈がグリーンサプライチェーンにはあるが、民間セクターの観点からは、コスト削減と効率性向上が目的となる。
  • グリーンサプライチェーンを構築するには、ステークホルダーが調整し合い、対話し、そして様々な形で行動し、コミットメントする必要がある。
  • グリーンサプライチェーンは実用的であるべきで、合法性についての共通の概念、必要文書についての合意、明確で一般的なルールを定義する必要があり、熱帯の木材生産者と消費者にとってのウインウイン・アプローチを促進するために互いに納得できるものでなければならない。
  • 知識の共有、技術的専門知識、技術移転、情報とネットワーキングへのアクセスを通じて、サプライチェーン全体でオペレーターとステークホルダー間のキャパシティービルディングが必要である。
  • さらなるビジネス促進のため、森林経営や森林修復、木材加工技術の向上など、森林分野に対する投資が必要とされるグリーンサプライチェーンが実現する環境整備には、インセンティブ、資金へのアクセス、公正な課税が不可欠となる
  • 熱帯木材生産国のほとんどは、グリーンサプライチェーンの構築に十分なインフラと技術を備えていない。グリーンサプライチェーンを推進していくための取り組みとして、その構築に必要な負担をシェアし、民間企業と消費者国との間で官民パートナーシップを結ぶことが不可欠である。  
  • 国内外市場における主要購買力の影響は、熱帯木材生産国におけるSFMと法令遵守のベストプラクティスを推進する上での強力な因子となりうる。一方で最終消費者の間で持続可能な森林製に対する需要が高まり、好循環を生み出すだろうと考える。
  • 持続可能に生産された木材を他の材料と比較して最も環境に優しく再生可能な材料として利用できること。そのメリットについて消費者の間での意識を高めることが不可欠である。
     
ワークショップに続いて行われた中国国内の大手森林製品企業とのダイアログセッションでは、グリーンサプライチェーンの確立に際してSFMが持つ重要な役割や、グリーンサプライチェーンが熱帯木材生産者である中国の木材製品メーカー(木材サプライチェーンと消費者市場の中間に位置づけられる)に及ぼすメリットについて取り上げました。

中国の大手民間企業12社の代表者によるダイアログから、ITTO主導によるグローバル・グリーンサプライチェーン(GGSC)イニシアチブと、その促進のための委員会の立ち上げが宣言されました。 内容は以下の通りです。
  • 人類の生存に不可欠な森林の役割と現在と未来の世代が担う森林保全の責任の共有を明確に認識する。
  • 持続可能な低炭素開発の先駆けとして、炭素と森林産業の可能性を守る環境に優しい材料としての木材の役割を認識する。
  • 森林を持続的に管理するための国際社会のコミットメントと、それを達成するための政府、大学、研究機関および民間部門の共同努力を認識する。
  • GGSCを共同で設立するための森林製品産業、研究機関、政府および国際機関への呼びかけ。 GGSCの目的は、森林の持続可能性とより良い森林製品を中国ならびに海外の消費者へ供給するために上流、中流、下流の全セクターをつなぎ、そして持続可能な開発と幸福に貢献することである。

中国政府  (商務省国家林業草地局と税関総局)の支援によるGGSCイニシアチブでは段階的アプローチを採用し、統一された基準によるベストプラクティスを奨励し、またすべての生産者にとって公平な場を創出することになります。


森林製品のためのグローバルグリーンサプライチェーンイニシアチブ構築の呼びかけをダウンロード
セッション1のプレゼンテーションのダウンロード
セッション2のプレゼンテーションのダウンロード
セッション3のプレゼンテーションのダウンロード
セッション4のプレゼンテーションのダウンロード
 
会議のソーシャルメディアはこちら:FacebookInstagram and Twitter.
 
[1] China Forest Products Co, Ltd; Power Dekor Group Co, Ltd; Dare Wood-Based Panels Group Co, Ltd; Zhejiang Shiyou Timber Co, Ltd; Treesun Flooring Co; Guangxi Fenglin Wood Industry Group Co, Ltd; Shenzhen Sampo Furniture Co, Ltd; Guangxi Sunway Forest Products Industry Co, Ltd; Shanghai Anxin Floors Co, Ltd; China Jilin Forest Industry Group Co, Ltd; Shanghai Lingge Wood Co, Ltd; and Starforest Art Flooring (Zhejiang) Co, Ltd.