国際熱帯デー2025:ITTO事務局長、熱帯林のための国際的な連帯を求める

2025年6月29日, 横浜

ガイアナの熱帯林の林冠から差し込む日光。写真: ITTO

6月29日は国際熱帯デー/熱帯地域の国際デー(International Day of the Tropics)であり、熱帯地域の驚くべき豊かさと、日々増していく脆弱性について考える日です。地球の表面積の40%を覆い、その生物多様性の80%を擁する熱帯地域は、地球の気候調節、食糧安全保障、持続可能な開発に欠かせない存在です。

国際熱帯木材機関(ITTO)は、国際協力を強化し、包括的な解決策を提唱することで、熱帯の持続可能性へ強くコミットし続けます。熱帯林の持続可能な経営をミッションの中核とする ITTOは、貿易の円滑化、政策支援、プロジェクトの実施、能力開発など、開発と保全のバランスを図ることを目標とした幅広い分野に影響を及ぼしています。

しかし、その生態学的および経済的重要性にもかかわらず、多くの熱帯諸国は、不均衡なレベルの貧困、食糧不安、森林破壊、環境悪化に直面しています。国連(UN)は、現在の国際的な危機により、現在6億7,000万人と推定される熱帯地域における極度の貧困層がさらに増加する可能性がある(英語)としています。 

国際熱帯デーを機に、ITTOは、活力と回復力のある熱帯景観を支えるため、知識、行動、投資を結びつけるグローバルな協力の重要性を強く訴えます。

多様な現地プロジェクトを通じて、ITTOは持続可能な森林経営、加工の向上、価値の付加、コミュニティ主導の再生など、多様な取組を推進しています。

ITTO は、トーゴの女性が主導する森林再生イニシアティブを支援しています。写真: Soka Gakkai

トーゴのブリタ県とラックス県では、100人の女性が2年間にわたり35ヘクタールの荒廃した土地を再生し、4万8,000本の苗木を育てました。この取組により、食糧の安定供給が改善され、収入源の多様化が進み、女性の社会的地位が向上するとともに、コミュニティの絆も強化されました。

ITTO はパートナーと協力し、コートジボワールシオ(Scio)及び ドゥエクエ(Duekoue)にある保護林の再生に取り組みつつ、国内避難民、難民、地域住民も支援しました。現在9つのコミュニティで活動しているアグロフォレストリーシステムと村の協同組合は、7,000 人以上の食糧システム、生計、社会的結束の向上に貢献しています。

さらに中米では、ITTO はグアテマラの林業関連の中小企業を強化しました。その顕著な例が、チマルテナンゴ県のサカラ・カーペントリー(Sacalá Carpentry)です。同企業は、ささやかな工房から100種類以上の木材製品を提供する企業へと成長し、3 年間で収益を 2 倍に伸ばし、安定した雇用を提供することで移住を減らし、持続可能な森林利用を支援しています。

アジア太平洋地域では、フィジーのレワデルタ(Rewa Delta)でITTOは地域コミュニティ主導のもと、マングローブの再生を支援しています。ナシライ女性グループは5,000本の苗木を植樹し、他のグループは養蜂やエビ養殖などの持続可能な生計手段を取り入れました。これらの取組は、沿岸の村々における生態系の健全性と資源管理を改善しています。

ITTOはグアテマラの中小企業を支援しました。写真: INAB/ITTO

アフリカから中央アメリカ、南太平洋に至るまで、ITTOの活動は持続可能な開発と環境保護が両立できることを示しています。特に、コミュニティが変化の主体としてエンパワーメントされる場合、その効果は顕著です。

国際熱帯の日を機に、ITTOは政府、ドナー、開発パートナーに対し、熱帯地域への支援を強化するよう呼びかけています。単に森林を保護するためだけでなく、それらに依存する人々の生活を向上させるためです。

「熱帯林は地球全体の資産ですが、その未来は地域における行動と国際的な連帯に依存しています。熱帯の森林と人々への投資は、すべての人々の持続可能な未来への投資となります。」と、シャーム・サックルITTO事務局長は述べています。「熱帯林が世界的な期待に応え、現在直面している地球の三重の危機を緩和できるよう、熱帯林の繁栄を確保することは、私たち全員の共同責任です。」