持続可能な林業、資金調達、バイオエコノミーについて検討
2024年11月29日
2024年11月29日、横浜: 国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)(英語)における気候資金に関する幅広い議論の一環として、森林に関する協調パートナーシップ(Collaborative Partnership on Forests: CPF)のメンバーは、カーボンニュートラル社会への移行を促進するバイオエコノミーの構築において、持続可能な林業がもたらす恩恵を最大限に引き出すため、持続可能な林業への投資を増やすよう提唱しました。
国際熱帯木材機関(ITTO)は、国連食糧農業機関(FAO)(英語)および日本の農林水産省(MAFF)とのパートナーシップのもと、2024年11月20日に「気候変動の緩和と適応のための持続可能な森林に基づくバイオエコノミー(Sustainable forest-based bioeconomy for climate change mitigation and adaptation)」に特化したスペシャルデーを開催しました。午前中はフォレスト・パビリオンで双方向の対話型セッションが行われ、午後には詳細な対談が行われました。
シャーム・サックルITTO事務局長はビデオメッセージ(英語)で、持続可能な森林経営(SFM)の多様なメリットに光を当て、木材伐採だけでなく、SFMには生物多様性の保全、景観の回復、森林に依存するコミュニティーの生計支援が含まれることを強調しました。また、持続可能なサプライチェーンが国際市場と森林の生態系や地域社会をつなぐ、循環型バイオエコノミーの概念について詳しく説明しました。
「持続可能な森林経営とは、単なる木材の持続可能な伐採より、はるかに多くのことを意味します。持続可能な利用を通じて、市場が森林保全の原動力となる循環型バイオエコノミーを創出するものです。」とサックル事務局長は語りました。
気候変動対策のための林産物バリューチェーンへの投資
ITTOが主導する重要なセッションで、「気候変動対策のための林産物バリューチェーンの資金と投資」というテーマが検討されました。緑の気候(英語)、地球環境ファシリティー(英語)、PEFC森林認証プログラム(英語)、ITTOのパネリストが、持続可能な林業への投資を拡大するための取り組みについて見識を共有しました。議論の内容は以下の通り。
- しっかりとした森林データと規制枠組みの役割
- 市場アクセスを拡大するツールとしての森林認証
- 革新的な金融メカニズムとニッチ市場の開発
- 林産物のバリューチェーンの資金調達強化を通じて、気候変動対策を加速すること
会場からは、欧州連合の森林減少に関する規制(European Union Deforestation Regulation on smallholders)が小規模農業従事者に与える影響、生態系サービスのための世界的な資金調達策、林業の研究開発を支援するための気候資金の必要性など、喫緊の課題について、質問が行われました。
持続可能なバイオ経済への道
イベントの他のセッションでは、パリ協定(英語)の実施における森林データの透明性の重要性や、バイオエコノミーにおける持続可能な木材の変革の可能性などの議題に焦点が当てられました。講演者は以下の緊急性を強調しました。
- 持続可能な木材に基づく解決策への投資拡大
- グローバルなパートナーシップと協力の強化
- 持続可能な林業の利点について認知度を向上させ、官民セクターの関与を促進すること
COP30に向けて
イベントの最後には、ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)のビジネス担当エグゼクティブ・ディレクターのアナ・オイラー氏が、森林とバイオエコノミーの多面的な役割を提唱していく流れを維持するよう、関係者に力強く呼びかけました。COP30が2025年に迫る中(英語)で、森林は気候変動対策にとって極めて重要であり、持続可能な林業への投資は、よりグリーンな未来のために森林の潜在力を引き出す鍵である、という明確なメッセージを発信しました。
国連気候変動枠組条約締約国会議(UNFCCC COP)のフォレスト・パビリオンでのセッションのビデオ(英語)をご覧ください。