世界木材指標、木質パネル指数を導入

2024年5月16日

メキシコの工場でのボード製造。写真:メキシコ国家森林委員会(CONAFOR)

2024年5月16日:7つのパイロット国における木材セクターの動向を追跡する世界木材指標(Global Timber Index: GTI)は、木質パネルを専門とする初の指数を立ち上げ、GTIをより広範かつ深みのあるものにするともに、専門分野に特化したさらなる指数の立ち上げに向けた準備を行っています。

GTIは、ITTO、マカオ貿易投資振興院、グローバル・グリーン・サプライチェーン・イニシアチブ事務局による共同の取り組みであり、200以上の企業や会社が参加しています。その目的は、木材貿易に関するビジネス情報とデータの交換を促進し、安定した、透明性のある、予測可能なビジネス環境において、利害関係者間の協力を促進することです。

合板、ファイバーボード、パーティクルボードの多様なカテゴリーをカバーするGTI-木質パネル指数(Wood-based Panel Index: WBP)は、8つのGTIパイロット国(ブラジル、中国、コンゴ、ガボン、インドネシア、マレーシア、メキシコ、タイ)の木質パネル産業全体の動向を追跡・監視するものです。これら8カ国における木質パネルの総生産量は、2021年には2億1,000万立法メートル(m3)と、世界の木質パネル総生産量の53%を占めています。WBPは、1)生産量、2)新規受注、3)原材料在庫、4)従業員数、5)納期、の5つの景気動向指数を産業経済への影響度に応じて加重平均して、算出されます。

4月のGTI-WBPは43.1%で、基準値である50%を大幅に下回り、パイロット国における木質パネル産業全体の景気が4月に縮小したことを示しています。

その他のニュースとして、中国で、新規受注がさらに増加し、木材セクターの業績が健全に推移する中、木材市場全体が4月も上昇の勢いを維持したことが、昨日発表されたGTIレポートの最新版で報告されています。中国の4月のGTIは52.3%で、2ヵ月連続で50%の基準値を上回りました(つまり、このセクターの成長を示しています)。

あまりポジティブなニュースではありませんが、ブラジル(49.3%)、インドネシア(48.8%)、タイ(44.7%)、メキシコ(42.0%)、コンゴ(41.6%)、ガボン(38.4%)、マレーシア(31.1%)では、基準値を下回っています。

7カ国では全体的に低調でしたが、GTIデータからは前向きな変化が見受けられました。ブラジルとタイでは輸出受注量が前月に比べ大幅に増加し、マレーシアとコンゴでは既存受注のサブインデックスが上昇し、改善を示しました。木材の供給に関しては、インドネシアの木材セクターは伐採量と生産量の増加を示し、ガボンの伐採量と生産量の減少傾向は緩和しています。

GTIパイロット国は、4月も引き続き、持続可能な森林経営に取り組んでいます。インドネシア政府は、欧州連合(EU)の森林減少防止のための規則に対応するため、包括的な森林被覆データと科学的手法を提示して外交に取り組む計画を示し、同国の環境林業大臣は、インドネシアには詳細な森林データベースSimontana(国家森林モニタリングシステム)があると述べました。コンゴでは、森林経済相が、樹木の健全性モニタリングや火災予防のために、リモートセンシング、ドローン、IoTセンサーなどの新技術や革新的な手法を探求する必要性を強調しました。中国では、政府が生態系保護補償制度を発表しました。この条例は、市場メカニズムの役割を十分に発揮させ、社会勢力や地方政府が市場ルールに従って生態系製品やサービスを購入し、生態系保護補償に従事することを奨励するものです。

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