林産物歩留まりに関する最新共同報告書

2020年4月8日, 横浜

歩留まりは収穫された丸太と森林製品の生産との木材バランスを計算するのに用いられます。写真撮影:ANPM/Brazil

ITTO、国連食糧農業機関(FAO)、国連欧州経済委員会(United Nations Economic Commission for Europe:UNECE)の最新の出版物では、林業における最新の包括的な歩留まりを提供しています。歩留まりは主に森林産業の効率性と技術的進歩を測る物差しとして用いられており、本書は世界中のアナリスト、政策決定者、森林実務者、製造業者の活動に役立てられるでしょう。

長年に渡って歩留まりは森林セクターでは森林生産、森林製品の製造効率性や生産加工機能を分析するツールとして活用されてきました。歩留まりとは主に、産業用丸太から最終森林製品・半森林製品までといった原材料の投入量と生産量の比率です。

アナリスト、政策決定者、森林実務者、森林を基盤とした製造業者は、木材産業の効率性、実現可能性、経済的側面の要因を理解するために歩留まりをしばしば活用します。ITTOを含め、国際機関は主に歩留まりを用いて収穫された丸太と森林製品の生産との間の木材バランスを計算します(例えば、一定の製材品または合板の量を生産するのに必要な丸太の量)。不足丸太量と余剰丸太量の統計報告における誤りを回避し、国・世界レベルの木材の生産と消費について利害関係者や政策決定者に確実な情報を提供するためには、可能な限り最も正確な換算を把握することが必要不可欠です。

FAOとUNECEは以前にも歩留まりに関する研究を発表しています。これまでに最も新しい研究であった2010年の研究は、ヨーロッパ、独立国家共同体、北米のみを対象としていました。地理的対象を拡大するため、ITTOがFAOとUNECEに加わり、既存の係数を最新化し、複数の熱帯諸国を対象に含めました。この国際機関間の協力の結果、本報告書(2010年版の続編となるもの)では37カ国というこれまでの中で最も地理的範囲を広げた報告を行っています。

森林産業の効率性に関して確実かつ一貫性のある情報が不足している国が多いため、世界規模で歩留まりを推定することは依然難題であり、そのような国々の統計能力を継続的に強化する必要を改めて浮き彫りにしています。

本書では、製材品、パネル、木材パルプと製紙、エネルギー森林製品とその特性など木材を主原料とした林産物を8分類してそれぞれの投入量と生産量の比率を求め、比率の測定・決定因子の単位についてわかりやすく説明を行い、木材を主に使用した林産物の物理的性質についての情報を提供しています。

報告書(英語)をダウンロードする。