理事会議長、会期開始にあたり、加盟国に公約の遵守を呼びかけ

第58回国際熱帯木材理事会の開会式に臨むジェシー・マホーニー議長。写真:Y. Kamijo

横浜、2022年11月7日:国際熱帯木材理事会のジェシー・マホーニー議長は本日、第58回国際熱帯木材理事会の開会の場で、ITTO加盟国は継続的な成功を収めるために、本組織を管理する協定の下での約束を守るべきだと述べました。

また、マホーニー議長は、直接の出席とオンラインによる出席のハイブリッド形式で実施される本セッションは、ITTOの未来を形づくり、多国間熱帯林業フォーラムとしての地位を固める機会であると語りました。

「私たちは皆、パンデミックから回復しつつあります。このパンデミックは私たちを試し、人材と労働力、サプライチェーン、市場のレジリエンスなど、ITTOのミッションに関わるシステムの多くに欠点があることを明らかにしました。」

「しかし、継続的な成功を収めるためには、私たち理事会は国際熱帯木材協定(ITTA)の締約国としての公約を守らなければなりません。」

マホーニー議長は、そのためには、システム全体のパートナーシップと補完性が必要になるだろうと指摘しました。

「私たちがここにいるのは、持続可能に経営された森林から合法的に伐採された熱帯木材の国際貿易の拡大と多様化とともに、熱帯林の持続可能な経営と保全を支持していることを再確認するためです。」

「この目的のために、私たちは協力、譲り合い、そして共通のミッションに向けて前進する精神で、共に取り組まなければなりません。」と、マホーニー議長は述べました。

開会式ではまた、武井俊輔 外務副大臣が、熱帯林は「人類にとって欠かせない価値」を提供していると述べました。

また、合法かつ持続可能な熱帯木材の取引は、温室効果ガスの排出を削減し、気候変動の緩和に貢献する「素晴らしいツール」であるとも語りました。

「コンクリートや鉄などの材料とは異なり、熱帯木材は建築材料として使用することで炭素を隔離し、保管、製造、仕上げに消費されるエネルギーを削減することが期待できます。このように、木材は、ゼロ・カーボンという目標に向けて前進するための鍵を握る重要な材料なのです。」

武井外務副大臣は、ITTO加盟国が世界の熱帯林の80%、熱帯木材の貿易の90%を占めていることから、ITTOの役割は「熱帯林の持続可能な経営と熱帯木材の合法的利用のための世界で唯一の国際機関として、今後ますます拡大し縮小することはないでしょう」と、述べました。

ITTOのホストシティである横浜市の山中竹春市長は、横浜市が行っている温室効果ガス排出量削減の取り組みについて説明しました。横浜市は、2030年までに市の温室効果ガス排出量を50%削減(2013年比)するために、公共・民間建築物の木材利用の促進などを行っています。

「横浜市は国際社会の一員として、ITTOや他の国際機関、世界の都市とともに、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献することを約束します。」と山中市長は述べました。

ロベルト・セミナリオ・ポルトカレロ駐日ペルー大使は、ITTOは設立以来、ペルーの熱帯林の持続可能な経営の強化に貴重な貢献をしてきたと述べました。また、資源利用の効率化、市場情報と透明性、熱帯木材のサプライチェーン、生物多様性の保全、森林に関わるコミュニティの生活など、さまざまな側面で、ITTOが世界的に重要な役割を果たしていると指摘しました。

「このためITTOは引き続き、プロジェクトの資金調達を支援し、持続可能な森林経営と合法的で持続可能なサプライチェーンを優先する提案書の準備に関する助言を提供する必要があります。」とセミナリオ大使は述べ、ペルーがITTOにいくつかのプロジェクト提案書とコンセプトノートを提出しており、融資を待っている旨についても言及しました。

シャーム・サックルITTO事務局長は冒頭、日本政府と横浜市に向けて、横浜での継続的な理事会開催ついて感謝の意を表しました。さらに、国際社会は、気候変動の緩和と適応に熱帯林が不可欠な役割を果たすことをますます認識するようになっていると述べました。

また、事務局が、熱帯林の持続可能性を確保する上で、合法的で持続可能な熱帯木材貿易が果たす重要な役割について、ITTO加盟国の声を聞き、組織の立場を周知させることに重点を置いてきたと語り、その一方で、ITTOの活動に対する自発的な貢献は少ないと指摘しました。

資金調達は、国際的なパートナーとの活動においても重要です。

「ITTOは、その技術的専門知識と経験により、国際社会で高く評価されていますが、資金不足が生産的なパートナーシップづくりを妨げています。」とサックル事務局長は述べました。

また、最近アンゴラが国際熱帯木材協定(ITTA)に加盟し、ITTOの加盟国が75カ国(生産国37カ国、消費国38カ国)になったことを発表しました。

開会式では、フェリス女学院大学音楽学部のフルートカルテットによる「アンダー・ザ・シー」(アラン・メンケン作曲)の演奏が行われ、理事会を歓迎しました。

午後の本会議では、議題1、3、4、5、6、7、8、10を終了しました。事務局は、定足数(議題項目2)がまだ達成されていないことを報告しました。これは、セッションがハイブリッドであること(そして一部のバーチャル参加者に適用される時差)がその一因となっています。この議題項目は、会期中に再検討される予定です。理事会はまた、議題11と12についても議論し、いずれも今週後半に再開される予定です。

また本日、財務・管理委員会は議題1~9を終了し、議題11について議論しました。財務・管理委員会は火曜日に再び招集されます。経済・統計・市場委員会と林業委員会(CEM-CFI)は合同で開催され、議題4を除くすべての議題を終了しました。

明日(2022年11月8日(火))は、「排出権取引と熱帯林」をテーマとした年次市場討論を含む合同委員会セッションが開催される予定です。合同委員会では、独立市場監視(Independent Market Monitor:IMM)に関する最新情報、トーゴのコミュニティベースのプロジェクトに関する市民社会アドバイザリーグループが開催するイベント、プロジェクト評価に関する報告などの議題も検討される予定です。また、森林再生・森林経営委員会と経済・統計・市場委員会と林業委員会(CEM-CFI)のセッションも予定されています。日本時間14:30から開催される年次市場討論会の模様は、YouTubeで配信される予定です。

 

第58回国際熱帯木材理事会の開会式でスピーチを行う武井俊輔 外務副大臣。写真:Y. Kamijo
第58回国際熱帯木材理事会の開会式でスピーチを行う山中竹春横浜市長。写真:Y. Kamijo
第58回国際熱帯木材理事会の開会式でスピーチを行うロベルト・セミナリオ・ポルトカレロ駐日ペルー大使。写真:Y. Kamijo
第58回国際熱帯木材理事会開会式で開会の辞を述べるシャーム・サックルITTO事務局長。写真:Y. Kamijo
フェリス女学院大学音楽学部フルートカルテットによる演奏。写真:Y. Kamijo
横浜市議会議員らと議長、ITTO事務局長(中央)。写真:Y. Kamijo
シャーム・サックルITTO事務局長(右から4人目)とマレーシア代表団のメンバー。写真:Y. Kamijo
みなとみらいの風景。写真:Y. Kamijo
第58回国際熱帯木材理事会の1日目には、経済・統計・市場委員会と林業委員会が合同で開催された。写真:Y. Kamijo
セッション中の財務・管理委員会。写真:Y. Kamijo
第58回国際熱帯木材理事会1日目。オーストラリアとブラジルの代表者ら。写真:Y. Kamijo
第58回国際熱帯木材理事会1日目。発言する米国代表。写真:Y. Kamijo
第58回国際熱帯木材理事会1日目。発言するガーナ代表。写真:Y. Kamijo
第58回国際熱帯木材理事会1日目、発言するメキシコ代表。写真:Y. Kamijo
第58回国際熱帯木材理事会1日目、トーゴの代表者。写真:Y. Kamijo
会場周辺の様子。写真:Y. Kamijo
議長主催のレセプション。写真:Y. Kamijo
議長主催のレセプション。写真:Y. Kamijo
議長主催のレセプション。写真:Y. Kamijo
議長主催のレセプション。写真:Y. Kamijo