国際熱帯木材理事会、資金調達について活発に議論

第58回国際熱帯木材理事会の3日目、資金調達戦略の草案について議論する代表者たち。写真 Y. Kamijo/ITTO

2022年11月9日、横浜:第58回国際熱帯木材理事会の3日目、代表者たちは、ITTO戦略的行動計画(ITTO’s Strategic Action Plan)に関する議題と資金調達戦略案(英語)について熱心に議論を行いました。理事会は、修正を加えた上で、この戦略を承認することに合意しました。

また本日、森林再生・森林経営委員会は、4つのプロジェクト、2つの事前プロジェクト、および4つの活動の完了を宣言し、進行中の4つのプロジェクトの進捗を確認しました。完了が宣言されたものの中の2件により、グアテマラとカンボジアでは、地方自治体の能力を高まり、コミュニティの生計を向上し、REDD+への準備が可能になりました。

グアテマラのプロジェクトは、キチェ県における森林減少と森林劣化に対応するための参加型で包括的なプロセスの構築を支援しました。キチェ県では森林破壊と貧困の割合が高く、森林からの収入を増やす必要があることから、本プロジェクトが実施されました。

本プロジェクトでは、地域の森林の保全と持続可能な経営を確実にするためのREDD+に基づく代替案と、極度の貧困状態にあるコミュニティのための経済的な選択肢を開発しました。4つのパイロット事業地が修復され、近隣コミュニティの人々は森林景観の修復に関するトレーニングを受けました。

また本プロジェクトは、コミュニティ、自治体、その他のステークホルダーによる資源管理および森林の利用と保有に関する組織の構造に基に、参加型プロセスを開発しました。森林経営と取引に関する協定を作り、森林経営と計画に必要な情報収集も強化しました。

さらに、森林やアグロフォレストリー農地の小規模保有者のための森林インセンティブ・プログラムに関する14のワークショップ(実施中)の開催などをはじめ、コミュニティ林の保全のための持続可能な森林経営計画を策定・実施しました。経営手法のトレーニングは「Learning by doing(実践を通して学ぶ)」アプローチに基づいて行われ、イシル語への翻訳も行われました。また市や国の機関と連携し、既存の組織やコミュニティ森林組合の知識を支援し、強化しました。本プロジェクトは、キチェ県、ウエウエテナンゴ県、アルタベラパス県の12の自治体を包括する外部資金によるREDD+プロジェクトを設計しました。

プロジェクトの詳細はこちらからご覧ください。(英語)

ITTOプロジェクトの一環として、森林再生に関する研修を受けるグアテマラ、ネバジの地域住民ら。写真:CALMECAC

カンボジアでは、同国の森林局がITTOから資金提供を受け、コンポントム州のトゥムリン森林で、これまでのプロジェクトの経験をもとに、REDD+の課題に取り組むプロジェクトを実施しています。

森林再生・森林経営委員会は、本プロジェクトによる能力開発プログラムが、持続可能な森林経営のモニタリングにおける国および地方レベルの政府スタッフの能力強化に役立ったという報告を受けました。また、コミュニティ林業における土地利用計画の策定を支援し、それにより、森林と土地利用をめぐる対立が最小限に抑えられ、効果的なコミュニティ林業のためのグッドガバナンスの育成に役立てられる見込みです。このプロジェクトは、参加した地域コミュニティにおける森林経営に関するリーダーシップを強化し、アグロフォレストリーや労働集約型農業の実践を通じて、持続可能な生計の機会を増やしました。

本プロジェクトは、森林減少や森林劣化の要因に対応するための有効な政策や手段の開発と実施を重視する、カンボジアの国家REDD+戦略の実施に貢献しました。事業地の土地利用計画や森林調査は、森林被覆率60%を維持するという国家目標の達成を検討する際にも役立ちました。プロジェクトの成果は、カンボジアが国家目標を追求しながら、森林減少と森林劣化による排出を削減するための国際的な取り組みに参加する一助となるでしょう。

プロジェクトの詳細はこちらからご覧ください。(英語)

ITTOプロジェクトの一環として、コンポントム州サンタック区ビルオクデイで土地利用の更新のためのフィールドワークを計画する森林局の職員、コミュニティの林業経営委員会メンバー、地方当局。写真 Chhorn Vireak

また本日、理事会は定足数に関する事項(議題2)、信任委員会の報告(議題9)、管理勘定に関する2006年国際熱帯木材協定(ITTA)第19条に関する事項(議題11)、2006年ITTAの延長(議題12)を審議しました。委員会の合同セッションが再開され、事後評価に関する報告、プロジェクトおよびプロジェクト事前評価に関する専門家パネルの報告が行われました。財務・管理委員会も本日招集されました。

西アフリカと中部アフリカにおける10件のITTOプロジェクトの評価では、プロジェクトが実施された国の森林、森林経営、地域社会に、この写真のガーナのベレクム森林保護区のパムのコミュニティのような「重要なプラスの影響」を与えたことが立証されています。 写真:Emmanuel Antwi Bawuah
第58回国際熱帯木材理事会3日目。理事会では様々な議題が審議された。写真:Y. Kamijo/ITTO
第58回国際熱帯木材理事会3日目。発言を行う消費国スポークスパーソンのアン・タイラー氏。写真:Y. Kamijo/ITTO
第58回国際熱帯木材理事会3日目。非公式に協議を行う消費国メンバーら。写真:Y. Kamijo/ITTO
第58回国際熱帯木材理事会3日目。生産国スポークスパーソンのホルヘ・マルー氏(左)、消費国スポークスパーソンのアン・タイラー氏(中央)、ジェシー・マホーニー議長と協議。写真:Y. Kamijo/ITTO
第58回国際熱帯木材理事会3日目。日本(左)とオーストラリアの代表者ら。写真:Y. Kamijo/ITTO
第58回国際熱帯木材理事会3日目。マ・ファンオクITTO森林経営部門プロジェクトマネージャー(左)とインドネシア代表シャロン・アグン・ウィビロン氏。写真:Y. Kamijo/ITTO
第58回国際熱帯木材理事会3日目。グアテマラ(左)、ガーナの代表者。写真:Y. Kamijo
第58回国際熱帯木材理事会3日目のメキシコ代表(画面)。写真:Y. Kamijo/ITTO
第58回国際熱帯木材理事会3日目のパナマ代表団(画面)。写真:Y. Kamijo/ITTO
第58回国際熱帯木材理事会3日目の代表者たち。写真:Y. Kamijo/ITTO
第58回国際熱帯木材理事会3日目の財務・管理委員会。写真:Y. Kamijo/ITTO
第58回国際熱帯木材理事会3日目。財務・管理委員会で発言するインドネシア代表者。写真:Y. Kamijo/ITTO
第58回国際熱帯木材理事会3日目。財務・管理委員会で発言する米国代表団。写真:Y. Kamijo/ITTO
第58回国際熱帯木材理事会3日目のITサポートスタッフ。写真:Y. Kamijo/ITTO
第58回国際熱帯木材理事会3日目。プロジェクト評価を行うコンサルタントのマノエル・ソブラル・フィリョ氏。写真:Y. Kamijo/ITTO
第58回国際熱帯木材理事会の横浜市のインフォメーションブース。Photo: Y. Kamijo/ITTO
第58回国際熱帯木材理事会3日目。ランドマークタワーの様子。写真:Y. Kamijo/ITTO