ドナーからの新たな活動資金の提供と、新たなフェローシップ授与者の検討

第58回国際熱帯木材理事会4日目にドナーから発表された新たな資金は、ITTOプロジェクトの一環としてパナマのダリエンで開発されたパイロット事業のように、熱帯木材のトレーサビリティ・モニタリングシステムの規模拡大を促進するものである。写真:R. Carrillo/ITTO

2022年11月10日、横浜:第58回国際熱帯木材理事会4日目の本日、ITTOの活動を支援するために、ドナーから約400万米ドルの資金が提供されたことが発表されました。

新たな資金拠出のうち、日本は166万米ドル、中国のマカオ特別行政区は133万米ドル、アメリカ合衆国は53万4,000米ドル、オーストラリアは30万5,000米ドル、中国は8万3,000米ドル、韓国は5万3,000米ドル、ワシントン条約事務局(CITES)は2万5,000米ドル、有限会社 吉創庵は3,000米ドルを拠出しました。[1]

これらの資金は、特に、タイにおける木材製品の持続可能な国内消費の促進、インドネシアにおける強力かつ強靭な国内木材製品消費の奨励、世界木材指標プラットフォーム(Global Timber Index Platform)の開発、ブロックチェーン技術に基づく木材トレーサビリティ・システムの考案、パナマにおける過去のITTOプロジェクトで試験的に開発された森林トレーサビリティ・モニタリングシステムの国内全域へのスケールアップに使用される予定です。一部のプロジェクトと活動はすでに部分的な資金提供を受けており、残りの資金が提供されれば開始されます。[2]

 

[1] 数字は正確でない可能性があります。

[2] 任意拠出を受けた活動の全リストは、国際熱帯木材理事会決議1(11月末までにITTOのウェブサイトに掲載される予定)に記載されています。

インドネシアのカテリ野生生物保護区付近の村でデータを収集するITTOフェロー、スリ・ムルヤティ氏(前列右)。写真:S. Mulyati

【新たなITTOフェローシップ】

ITTOフェローシップ選考委員会は、国際熱帯木材理事会に2022年に13人に新たにITTOフェローシップを授与するよう勧告しました。このフェロー候補者のうち、4人がアフリカ、5人がアジア太平洋地域、4人がラテンアメリカとカリブ海地域出身で、13人のうち6人が女性です。理事会は選考委員会からの推薦を検討し、会期終了までに授与を最終決定する予定です。13人のフェローシップの総額は約7万7,000米ドルです。

ITTOはフリーザイラー・フェローシップ基金を通じて、熱帯林の持続可能な経営、熱帯木材の効率的な利用と加工、熱帯木材の国際取引に関する経済情報の改善など、熱帯林業および関連分野の人材開発を促進し、加盟国の専門知識を強化するためのフェローシップを提供しています。1989年に設立されたITTOフェローシップ・プログラムにより、これまで49カ国から1400人以上の若手および中堅の専門家がキャリア開発の機会を得ています。このプログラムには、日本、米国、オランダ、オーストラリアの各政府が多大な資金を提供しています。

フェロー自身が執筆するITTOフェローシップに関する記事は、ITTOのニュースレターTropical Forest Updateの各号に掲載されています。最近では、インドネシアの博士課程に在籍するスリ・ムリヤティ氏が、ITTOフェローシップのおかげで、パンデミックにより中断していたフィールドワークを再開することができ、インドネシアの東ヌサトゥンガラ州にある5,000ヘクタールの保護地域、カテリ野生生物保護区での紛争管理について新しい見識を得ることができた、と報告しています。

また本日、理事会はITTO二カ年事業計画(議題14)、他の組織との協力と調整(議題15)、ITTOの新しい資金調達構造の実施(議題17)に関するプレゼンテーションを受けました。議題15では、シャーム・サックルITTO事務局長が、ITTOと若者の関わりを増やし、相互学習の機会を作るため、若者による諮問グループの設置を提案しました。国連食糧農業機関(FAO)林業局のエヴァルト・ラメットシュタイナー副局長は、FAO、ITTO、その他のパートナーが共同で取り組んでいる分野の概要を説明しました。国連森林フォーラム事務局のジュリエット・ビャオ・コウデヌークポ事務局長が声明を発表し、サックル事務局長が理事会参加者を前に読み上げました。

4日目には、会議場周辺の視察も行われました。1つ目の視察先は、日本初の完全木造高層ビル「Port Plus(ポートプラス)」です。この施設は、単板積層材や直交集成板などの新しい木材技術を駆使し、従来は鉄骨やコンクリートでしか実現できなかった高さに、印象的な新しい建築の外観を実現しています。また、木の柱と梁の接合には、日本の伝統的な大工道具である「貫(ぬき)」と「GIR(Glued-in Rod)接合法」を組み合わせた革新的な木材技術が採用されています。12階建ての建物には1,990立方メートルの木材が使用され、鉄骨造と比較して1,700トンの二酸化炭素排出量削減を達成しました。使用されている木の柱や梁は、耐火3時間の認定を受けています。

2つ目の視察先は、1900年代初頭に造られた三渓園です。三渓園は17.5ヘクタールの広さを持ち、3つの海岸谷にまたがる庭園です。3つ目は、ランドマークタワーの展望台です。ランドマークタワーの69階にあるこのデッキからは、日本第二の都市である横浜の景色を360度見渡すことができます。

第58回国際熱帯木材理事会4日目のジェシー・マホーニー議長(左)とシャーム・サックルITTO事務局長。写真:Y. Kamijo/ITTO
第58回国際熱帯木材理事会4日目。議長公開草案作成グループのセッション。写真:Y. Kamijo/ITTO。
第58回国際熱帯木材理事会4日目の代表者たち。写真:Y. Kamijo/ITTO
第58回国際熱帯木材理事会4日目の日本代表。写真:Y. Kamijo/ITTO
第58回国際熱帯木材理事会4日目のトーゴ代表。写真:Y. Kamijo/ITTO
視察先の日本初の完全木造高層ビル「ポートプラス」のホワイエにて。写真: Y. Kamijo/ITTO
日本初の完全木造高層ビル「ポートプラス」。写真: Y. Kamijo/ITTO
視察先の横浜三渓園にて。
視察先のランドマークタワーの展望台に立つ代表者たち。写真:S. Suzuki/ITTO
ランドマークタワーの展望台からみなとみらい地区を望む。写真:S. Suzuki/ITTO
第58回国際熱帯木材理事会4日目。発言する国連食糧農業機関(FAO)林業局のエヴァルト・ラメットシュタイナー副局長。写真:Y. Kamijo/ITTO
第58回国際熱帯木材理事会4日目、インドネシアの代表者たち。写真:Y. Kamijo/ITTO