インドネシア・EUのFLEGTライセンス実施に向けて

2016年4月28日

インドネシア、プロボリンゴの丸太置き場で、メランティ合板丸太の先端部分の枝分かれを少なくするためにプラスチック製の8の字釘を利用。写真提供: MY Massijaya

2016年4月21日に、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領、欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長、および欧州理事会ドナルド・トゥスク議長は、欧州連合(EU)とインドネシアの間で初の森林法施行・ガバナンス・貿易(FLEGT)ライセンス枠組の開始を通じて、合法的に生産される木材の貿易促進に向けた迅速な行動を取ることで合意に至りました。本枠組みの市場への影響についてはFLEGT独立市場監視(IMM)というITTOが監修し、EUが資金提供を行う複数年に渡るプロジェクトを通じて監視されることになっています。

この合意発表に続いて両者は共同評価を行い、インドネシアがVPAの枠組内すべての関連製品群に基づきインドネシア・EU自主的ニ者間協定(VPA)を実施できるだけの準備が整ったとしています。

こうしたことから、EUはインドネシアのFLEGTライセンススキームの運用を開始するための必要な全手順を完了できるようになりました。手順の完了後、インドネシア・EU共同FLEGTライセンス実施委員会は、インドネシアが初の認証木材調達国になるべくFLEGTライセンス開始日(2016年後半を予定)を決定するよう、提案することになります。

FLEGT認証製品は自動的にEU木材規制の要件を満たすことになります。この木材規制は違法伐採された木材や木材製品がEU市場に出回ることを禁止する規制です。国際市場要件を満たすための木材合法性保証システムの必須チェック項目とともに、インドネシア政府はより多くの農村の雇用や所得と成長を実現し、木材製品の輸出が増加してくれることを期待しています。

EUの支援を受け、インドネシアFLEGTライセンス当局と連携してITTO監修ならびにEUによる資金提供を受けているFLEGT独立市場監視(IMM)のメカニズムには、FLEGT VPAプロセスに関わるインドネシアと他の14の熱帯諸国の貿易についてライセンスが及ぼす影響を定期的に評価する責任があります。

欧州委員会とEU加盟国からの十分な支援を受けて、インドネシアのFLEGT VPAは森林に関する意思決定の透明性、説明責任を向上させ、ステークホルダーの参加を拡大させることで森林ガバナンスを強化してきました。これにより、合法貿易を後押しし、インドネシアの森林セクターの近代化、形式化を促進し、そしてビジネス慣行を改善しました。こうした努力により、何千もの企業が合法木材に対する市場の需要を満たすことができるようになっています。

インドネシアはEUの支援を得て約15000人の地方政府監督者、持続可能な森林経営技術者、地域森林管理局のスタッフ、そして村のリーダーたちに研修を実施してきました。また、木材合法性保証システムを利用して2,000万ヘクタール以上の森林、1700以上の林業についてその合法性を前例のないレベルで精密に監査しました。

現在、インドネシアの木材輸出の90%以上が独自に監査した工場や森林から来ており、残りは今後数ヶ月の間に監査予定です。家具メーカーなどの小企業が取り残されることがないように、インドネシアは2015年に70億ルピアを割り当て、1200以上の中小企業が木材合法性システムの下で法的に認定されるように対策を講じました。現在までに、インドネシアの中小家具の輸出の93%が合法的に行われ、ますます目の肥えた国際市場に自社製品を輸出することが可能になっています。

IMMベースラインレポートによると、インドネシアは2013年の世界全体の熱帯木材貿易の約17%を占める、世界最大の熱帯木材生産国の一つに挙げられます。同国は製材、合板、パルプ・紙から家具や工芸品に至るまで多種多様な木材製品を輸出しています。インドネシアの森林製品大半の輸出先は中国、日本、韓国とEUです。2014年にはインドネシアからEUへの全木材製品輸出額が8.9%を占めましたが、これは2013年より8.4%の増加になります。

2015年にEUがインドネシアから木材・木材家具を輸入した総額は803万ユーロ相当に上ります。これは2014年より17%の上昇になります。2015年、インドネシアはEUへの木材・木材家具製品の第二位の熱帯供給国(805万ユーロ相当額のベトナムに次ぐ)となりましたが、これはEUが全熱帯諸国から輸入した額の21%に相当しました。 詳細はこちらをご覧ください。