GTIレポート:10月、木材セクターが拡大したブラジルが唯一の明るい兆し

2025年11月19日, 横浜

ブラジル・パルマスの木材置き場の作業チーム。© Banco de Imagens Marini

最新の世界木材指標Global Timber Index: GTI)の報告書によると、2025年10月、多くの国で全般的に低調なセンチメントが続く中、ブラジルの木材セクターが成長に転じました。ITTOが支援するGTIは、アフリカ、アジア、ラテンアメリカのパイロット国における木材セクターのパフォーマンスを追跡しています。

ブラジルのGTIは52.3%となり、前の2か月の低い数値から再び50%の基準値を上回り、同国の木材セクターの上向き傾向を示しています。

中国では、10月のGTIは45.6%に低下しました。これは、中国における8日間の国慶節休暇中に木材企業の生産および事業活動が全般的に減速したためです。また、インドネシア(48.8%)、コンゴ共和国(48.0%)、タイ(42.4%)、エクアドル(39.0%)、ガボン(34.4%)、マレーシア(31.3%)のGTIも50%の基準値を下回りました。

多くの国で全体的な低迷が見られたものの、いくつかの国別サブインデックスには前向きな動きも含まれていました。例えば、インドネシアでは伐採量が引き続き増加しました。マレーシアでは生産面での下降傾向が止まり、コンゴ共和国では国内市場が改善しました。そしてブラジルでは、輸出受注が10か月ぶりに増加しました。

専門的なサブインデックスも10月は全体として縮小を示しました。GTI-生産者指数(GTI-Producers Index)は48.5%、GTI-木質パネル指数(GTI-Woodbased Panel Index)は36.4%となりました。

ブラジル・マトグロッソでのイノベーション・ワークショップ。© teakrc

GTIサンプル企業からのフィードバックでは、原材料および市場需要に関連する課題が強調されました。原材料に関しては、タイの複数の企業が国内のラバーウッド不足を報告し、調達が困難であると述べました。また、インドネシア、ブラジル、エクアドルなどの国々では大雨が伐採と丸太の輸送の妨げとなりました。

需要に関しては、ブラジルとエクアドルのGTIサンプル企業が、米国向け輸出市場の縮小を指摘しました。最近の業界情報によると、米国の関税政策が多くの国々に新たな市場への方向転換を促していることも示されています。

家具産業を例にとると、中国の北米向け家具輸出は2025年の第1~第3四半期を通じて減少が続いた一方で、欧州、ラテンアメリカ、アフリカの市場は成長しました。ブラジルでは、サンタカタリーナ州、サンパウロ州、ミナスジェライス州などの企業が、ラテンアメリカ、欧州、中東の市場へと方向転換を始めています。

最新のGTIレポートでは、パイロット国における持続可能な森林経営の促進に向けた取組として、ガボンにおける森林保護のための高解像度衛星画像利用に関するガボンと中国の覚書も紹介しています。

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