イノベーションを活用した木材輸送効率の向上とコスト削減
2026年1月21日, 横浜
丸太を積み、南インドの丘陵地帯を走行する木材輸送トラック。© Paul Prescott/Pond5
最近開催された国際熱帯木材機関(ITTO)のウェビナーで、デジタル化、技術の導入、および持続可能な輸送が熱帯木材サプライチェーンの効率を向上させる鍵であると、カセサート大学の研究者が述べました。
同イベントでは、カセサート大学林学部准教授のノッパラット・カーックリヴァーラ氏が、熱帯木材輸送について詳細な概観を示し、他国の事例研究やベストプラクティスを用いて、業界が直面する課題と解決策を検討しました。
本ウェビナーは、専門家間の知識共有と国際協力の強化を目的として実施中のチークに関するウェビナーシリーズの第6回目に当たります。同ウェビナーシリーズは、アジア太平洋地域及び西アフリカにおいて、小規模農業従事者及びコミュニティ主体による高品質なチークおよびその他の価値の高い樹種の生産を促進するための、ITTOの旗艦プロジェクト第2フェーズの一環として実施されています。
輸送:サプライチェーンにおける重要なプロセス
木材輸送は、サプライチェーンにおける重要な中間工程であり、製品総コストの30~50%を占める場合があります。運用、インフラ、規制、経済、環境といった要因に起因する非効率性や課題は、市場価格の上昇を招き、供給と需要の全体的な動向に影響を及ぼします。
カーックリヴァーラ准教授は、業界が直面する課題と機会を示す例としてタイを取り上げました。タイでは、木材輸送の最大90%が道路によって行われており、積み下ろし作業はしばしば手作業で効率的ではないかたちで実施されています。こうした非効率な方法は、積み込み時間の長期化、積載量の不均一性、未舗装道路での輸送、および車両からのCO₂排出量増加につながっています。鉄道輸送や水上輸送は他国市場では利用されている選択肢であるものの、タイの木材業界ではほとんど活用されておらず、水上輸送は主に国外市場向け輸出製品に限って行われています。
イノベーションは不可欠
同専門家は、輸送効率のわずかな改善であっても、プランテーション及び生産者にとって大きなコスト削減効果を生み出す可能性があることを強調しました。
彼女が提示した解決策はいずれも、イノベーションとベストプラクティスを適用して効率性を高め、最終的に価格を引き下げるという共通のテーマがありました。
計量、計画、およびモニタリングのためのデジタル技術は、カーックリヴァーラ准教授の提言の中でも特に重要な位置を占めていました。彼女は、スウェーデンおよびフィンランドの事例を紹介し、林業企業が「スマート」技術を活用して積載量を増加させ、積み込み作業を簡素化し、木材輸送による環境負荷を最小限に抑えていることを示しました。パナマにおいてITTOがモバイル端末及びスキャン技術を用いて導入した追跡システムのような取組は、材積測定に関する課題への解決策として挙げられました。調整済みルートファインダー・システムは、最も効率的な輸送経路を特定し、輸送距離、走行時間、燃料消費量、およびメンテナンス需要を削減することが示されました。また同氏は、ラウテ社(Raute)やティンバー・トランスポート・フォーラム(Timber Transport Forum)などの団体が提供する他のソフトウェアソリューションも、世界各地で木材輸送の全体的な持続可能性向上に活用されていると紹介しました。
解決策は状況に依存するものの、カーックリヴァーラ准教授の発表は、木材輸送が単なる技術的課題ではなく、コスト、競争力、および持続可能性に影響を与えるサプライチェーンの重要な側面であることを強調しました。
彼女は次のような希望に満ちたメッセージで締めくくりました。「輸送の未来は、スマートで持続可能であり、廃棄物、コスト、そして環境への負荷をより少なくするために構築されるものです。」
第5回世界チーク会議の要点
また、このウェビナーでは、カセサート大学のヨンユット・トライスラット教授が、2025年9月にインド・ケララ州で開催された第5回世界チーク会議(5th World Teak Conference: WTC)で得られた主な知見について参加者に報告しました。
ヨンユット教授は、約80か国で栽培されているチークの世界的な重要性が会議において強調されたと述べました。また、会議の各セッションで議論された主要テーマについて概説しました。
ドイツ政府の支援を受け、カンボジア、インド、インドネシア、タイ、トーゴ、およびベトナムで実施されているITTOのチーク・プロジェクトは、会議初日のセッションにおいて重要な役割を果たしました。
ヨンユット教授は、このセッションにおける成果として、参加国代表による取組実績の発表や、コミュニティのエンパワーメントおよび持続可能な開発におけるチークの重要性が改めて強調された点を挙げました。
さらに、人工知能(AI)の統合、小規模農業従事者向けの革新的な経営モデル、造林に関する知識の不足といった課題、ならびに環境保全、生物多様性の保全、森林景観再生に対するチークの貢献など、WTCで議論されたその他の主要テーマについても、ウェビナー参加者に概説しました。
WTCにおいてもイノベーションは中心的なテーマであり、組織培養による高品質な植栽素材の生産、単一樹種プランテーションの多様化、森林調査および森林資源インベントリーにおけるAIの活用、及び地域コミュニティのための包括的な能力構築について、踏み込んだ議論が行われました。
高品質なチーク生産を通じた地域コミュニティ支援
本ウェビナーでは、講演者らが、チーク生産が地域社会のウェルビーイング、雇用機会の創出、生物多様性の保全、および気候変動の緩和と適応に果たす重要な貢献を強調しました。
ITTOは、生産性の向上、コスト削減、および高品質な植林チークの生産を支援するイノベーションや技術へのアクセスを、小規模農業従事者および地域コミュニティに提供する機会を、引き続き拡大しています。



