GTIレポート:パイロット国の大半、9月に成長または回復
2025年10月23日, 横浜

ガーナのログス・アンド・ランバー社の工場。© Peter Zormelo© Peter Zormelo
最新の世界木材指標(Global Timber Index: GTI)レポートでは、2025年9月にガーナと中国の木材セクターがさらなる成長を記録したこと、および、一部の国では全体的なパフォーマンスが低下したものの、部分的な回復の兆候が見られたことが報告されています。ITTOが支援するGTIは、アフリカ、アジア、ラテンアメリカのパイロット国における木材セクターのパフォーマンスを追跡しています。
ガーナ(61.0%)、中国(51.7%)、インドネシア(50.1%)のGTIはいずれも50%の閾基準値を上回っています。特にガーナは9か月連続で拡大領域を維持し、中国は、7月にわずかな縮小が見られたものの、全体的には過去6か月間上昇傾向を保っています。
エクアドルでは、GIT値49.1%を記録するとともに、今月からサンプル企業が生産・操業データの提出を開始しています。コンゴ共和国(46.9%)、タイ(46.5%)、ガボン(42.5%)、ブラジル(40.2%)、マレーシア(26.2%)のGTI値も50%の基準値を下回っています。ただし、これらの国の大半では、下落幅が縮小しています。
GTIサブインデックスによると、インドネシア、マレーシア、ガーナ、エクアドルでは伐採量が増加しており、丸太不足の緩和に寄与する可能性があります。中国では生産量が7か月連続で増加しています。需要面では、インドネシアの国内市場やタイの輸出市場をはじめとする複数の市場で成長見られました。.
しかし、木材生産に特化したGTI-生産者指数(GTI-Producers Index)は9月に42.8%、木質パネルに特化したGTI-木質パネル指数(GTI-Woodbased Panel Index)は44.3%となり、両サブセクターとも9月は全体的に低迷していたことが示されています。
9月29日、トランプ米大統領は針葉樹材・製材の輸入に10%の関税、キッチンキャビネット・洗面化粧台・布張り木製家具に25%の課徴金を発表し、2026年1月1日にはさらなる引き上げを実施すると宣言しました。この課徴金は多くの地域の木材市場に影響を与えると予想され、業界は市場の多様化を模索しています。
GTIレポートによると、例えばブラジルでは、米国への輸出に大きく依存するパラナ州とサンタカタリーナ州が最も影響を受けており、企業の間で新市場開拓を求める声が高まっています。またインドネシアでは、欧州連合(EU)との間で新たに締結された包括的経済連携協定(CEPA)によって、家具などのEU向け輸出拡大が期待されています。
一方タイでは、一部の木材企業が国内企業に対し、米国市場から撤退せず競争力を強化するよう呼びかけています。
最新のGTIレポートでは、ブラジルが11月のCOP30気候サミットで立ち上げる予定の「トロピカル・フォレスト・フォーエバー・ファシリティ」をはじめとする、パイロット国における持続可能な森林経営推進の取組も紹介しています。
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