ITTO、日本のMoFAI円卓会議で森林法の機会を強調
2025年10月6日, 東京

モデル森林法イニシアティブ(Model Forest Act Initiative: MoFAI)日本円卓会議で開催されたパネルディスカッションで、ITTO森林経営部長は森林法の実施と執行における課題と機会を強調しました。© Ramon Carrillo/ITTO
2025年9月25日、東京 – 森林法とガバナンスに関するMoFAI円卓会議およびアジア太平洋地域協議会において、ジェニファー・コンヘITTO森林経営部長は、森林法の実施と執行における持続的な課題と新たな機会の両方を強調しました。
法律と森林の専門家で構成される同円卓会議では、アジア開発銀行(Asian Development Bank: ADB)のモデル森林法(Model Forest Act Initiative: MoFAI)イニシアティブの一環として、各国の状況やニーズに合わせて適用・調整可能なモデル立法文書の設計に資する見解や知見が共有されました。
ITTO加盟国の森林法規制の策定・実施を指導してきた約40年の経験から得られた教訓を踏まえ、コンヘ氏は、多くの国が「見事な」森林法を整備しているにもかかわらず、「その意図した目的が達成されないのは、実施と執行が十分ではないため」と指摘しました。
こうした課題を具体化するため、コンヘ氏はインドネシアにおけるITTO支援プロジェクトの事例を挙げました。インドネシアでは、コミュニティ林産の木材の合法性を促進する要件を定めた新法が、実際の運用において深刻な障壁に直面していました。コンヘ氏は主要な困難の一つは、地元の関係者の間での認識と情報の不足だったと説明しました。
「極めて多くの場合、法律は省庁や国家立法レベルで策定される一方で、その効果的な実施に不可欠である、全ての関係者に周知徹底し教育するための資源や取組は、十分に導入されていません。」と彼女は述べました。「例えば、規制が導入される前に、コミュニティ林の所有者や企業の支持を確保するための協議が、十分に行われませんでした。」
コンヘ氏は、現実的な時間軸や段階的アプローチを考慮せず、あらゆるレベルや異なる実施主体における能力構築を行わないことも、政策設計の不十分さを示す指標だと指摘。こうした課題や失敗はインドネシア特有ではなく、新法を施行する多くの国に共通する課題であると付け加えました。
さらに複雑なのは、機関間の連携不足です。
「大規模な官僚機構で働いた経験のある者なら誰でも、異なる機関間の調整と整合性を確保し、信頼と効果的な協力関係を構築することは、決して軽視できない課題だと理解しているでしょう。」と彼女は述べました。コンヘ氏は、近年多くの国々で省庁や機関の組織再編が頻繁に発生している傾向が見られると強調しました。「法律を実施する上で、その法律が効果的か、そうでないかを真に証明するためには、一定の継続性を伴う支援環境が極めて重要です。」
コンヘ氏はさらに、環境法に関する研修の不足、政治的意志の欠如、部門横断的な協議の不十分さによる競合・矛盾する法律の発生、汚職リスクといった制度的問題も指摘しました。
コンヘ氏は、こうした要因はいずれも最も強い法的枠組みさえも損なう可能性がある一方で、ブロックチェーン、改良された追跡システム、衛星による高度な監視、ドローン、市民がデータ収集や森林監視に貢献できるスマートフォンアプリなど、急速な技術革新が既に森林のモニタリングと法執行を支援している点を強調しました。
「これらの進展は全て、状況を根本的に変えることができるゲームチェンジャーです。」と彼女は述べました。
コンヘ氏はまた、金融機関による新たな持続可能性報告要件や消費者市場における需要側規制を例に挙げ、事業を進める上での説明責任枠組みの役割を強調しました。「持続可能性と合法性の証明は、もはや単なる評判上の資産ではなく、規制順守のための必要条件です。」と彼女は述べ、こうした措置が生産国に保全法や執行体制の強化を促すインセンティブを生み出している点を強調しました。
こうした文脈において、モデル森林法イニシアティブは森林ガバナンスの改善に重要な貢献ができると彼女は語りました。「ITTOは、ADBのMoFAIイニシアティブが能力構築と環境法の近代化を支援していることを大変喜ばしく思います。これは切実に必要とされている取組です。」
この知識共有のための円卓会議および協議会は、アジア開発銀行法律・政策改革プログラム(Asian Development Bank Law and Policy Reform Program)およびアジア開発銀行研究所(Asian Development Bank Institute)が、環境に関する国際司法研究所( Global Judicial Institute on the Environment)、IUCN環境法に関する世界委員会( IUCN World Commission on Environmental Law)、国連環境計画(United Nations Environment Programme)と共同で開催しました。