循環型バイオエコノミーに向けた連携:ITTOと民間セクターが東京で森林に基づく解決策を探る

2025年10月8日, 東京

2025年9月30日に東京で開催されたITTOイベントにおいて「循環型バイオエコノミーの推進」に関するプレゼンテーションを行うシャーム・サックルITTO事務局長。© Paula Sarigumba/ITTO

2025年9月30日、東京 – ITTOは、日本の民間セクターとイベントを共催し、25名の参加者とともに、コラボレーションを通じた循環型バイオエコノミー実現の道筋を探りました。循環型バイオエコノミーは、バイオベース産業を超え、技術革新と利益共有を通じて多様な分野に機会を創出するものです。東京で開催された同イベントでは、ITTOの包括的ビジョンを示すとともに、日本の企業・金融機関の潜在的なビジネス・投資の機会を紹介しました。

森林は、持続可能なかたちで調達された木材が炭素集約型の素材に代わり、環境負荷を軽減できることから、循環型バイオエコノミーの中核的な存在です。また、森林は違法伐採やガバナンスの脆弱さ、日々変化する消費者の誤解といった課題の解決という点でも、可能性を秘めています。こうした潜在力を実現するためには、持続可能な木材バリューチェーンが循環型バイオエコノミーに十分に貢献できるよう、より強力な政策、投資、そして協働が求められます。

熱帯木材生産国との強固なネットワークを活かすことができるITTOは、この課題に取り組む最適な立場にあります。シャーム・サックル事務局長は、熱帯木材生産国におけるITTOの広範なプロジェクトの実績とともに、政府・先住民族・地域コミュニティ・国際機関・市民団体・地元企業との信頼関係を強調しました。

2025年9月30日に東京で開催されたITTOイベントで来場者と議論を交わす川口才文 財務担当官(中央)とジェニファー・コンヘ森林経営部長(右)。© Paula Sarigumba/ITTO

「循環型バイオエコノミーは、単独では実現できません。公的機関、民間セクター、地域コミュニティを結ぶ有意義なパートナーシップが必要です。」とサックル氏は述べました。「ITTO は、熱帯木材生産国と、日本などの消費市場の投資家や企業をつなぐことで、持続可能で双方に利のある解決策を拡大するための架け橋としての役割を果たします。」

ITTO は、過去の事例を参考に、企業が協力に関与するための明確な道筋を示し、持続可能な変化を推進する上で民間セクターが果たす重要な役割を強調しました。モハメド・ヌルディン・イドゥリスITTO貿易産業部長は、民間企業が循環型バイオエコノミーの実現に大きく貢献する先進技術と専門知識をもたらすと強調しました。民間セクターは、技術的な専門知識に加え、プロジェクトを拡大し、環境、社会、経済の目標のバランスをとる持続可能なモデルを設計するための強力な財務能力も備えています。

三井住友信託銀行(SMTB)の森林に基づく解決策への投資の取組について発表するサステナブルビジネス部の古野真氏。© Paula Sarigumba/ITTO

三井住友信託銀行(SMTB)のサステナブルビジネス部の古野真氏は、社会問題に対応しながら持続可能な投資機会を拡大する、資金・資産・資本の好循環を創出するというビジョンの一環として、同行の森林投資の取組を紹介しました。同氏は、従来の金融商品との相関性が低く、安定した収入をもたらし、インフレヘッジとして機能する可能性があるという、伝統的な資産とは異なる林業のユニークな立場を指摘しました。さらに、ESG投資やインパクト投資の手段としても高い価値があることを強調しました。森林投資は、カーボンクレジットの創出や、ネイチャーポジティブな成果に具体的に貢献する機会も提供します。

同時に、古野氏は、リスクとリターンのバランスへの考慮、新興市場における限定的な参照データ、政策リスクやカントリーリスク、人権および環境デューデリジェンス実施の複雑さなどの課題も認めました。SMTBの経験から、同氏は、複数の樹種による多様化、組織能力の慎重な評価、リスクの認識、セーフガードの導入といった実践的な教訓を共有しました。SMTBは今後、強固なパートナーシップ構築と、収益性と持続可能性を両立させる革新的な資金調達モデルの推進により、森林投資の機会を拡大していくことを検討します。

セッションの締めくくりに、サックル氏は民間セクターのITTO活動への参画を呼びかけました。「皆様がITTOのプロジェクトにどのように関与し、私たちが持つ世界中の熱帯林とのネットワークを通じて投資できるかについての議論を歓迎します。」

2025年9月30日に東京で開催された ITTOイベントで、参加者と交流するモハメド・ヌルディン・イドゥリスITTO貿易産業部長。© Paula Sarigumba/ITTO