熱帯の木材、竹、籐が環境に優しい材料の供給不足を解消する可能性

2018年7月20日

BARC2018でITTO共催の持続可能な熱帯林経営に関するパラレルセッションで講演するゲアハート・ディタレITTO事務局長。写真提供: R. Carrillo/ITTO

2018年6月末に開催された「グローバル竹会議2018(BARC2018)」において出席者は、人口増加による森林製品の需要の増加や持続可能な建材に対する供給ギャップを解消すること、そして熱帯林を保全するために熱帯木材、竹、籐セクターが協力していくべきだとの認識で一致しました。これらの熱帯製品はそれぞれが共存し、商品として相互に補完しあっており、また生態系の一部として気候変動の緩和と適応に対して重要な役割を果たしているということでも一致した考えが確認できました。

ITTOと竹籐国際ネットワーク(INBAR)は、セクター間の交流を強化するための重要な第一歩として、BARC2018の期間中に両者の協力強化を目的とした覚書(MOU)に署名しました。
 
このたびのMOU締結によって両機関の加盟各国における熱帯の竹と籐の保全、持続可能な経営、そして使用と貿易を目的とした共同事業とプロジェクトの実施のための枠組みができることになります。具体的な事業としては、熱帯の森林、竹および籐の持続可能な経営に関するベストプラクティスを普及させること、 竹と籐を含む熱帯林産物のグリーンサプライチェーンと市場を促進していくこと、竹と籐の貿易に関するデータの収集、分析、および普及を行う事、そして持続可能な形で生産する熱帯木材、竹および籐の事例作りを行うためのアウトリーチを支援することを想定しています。

BARC2018では、ITTOのゲアハート・ディタレ事務局長が気候変動とグリーン成長のための竹と籐に関するハイレベルダイアログセッションに参加しました。このセッションでディタレ事務局長は熱帯林と竹と籐セクターの開発には、持続可能で環境にやさしい建築材料に対する需要の増加に対応するために、またそれを支える生態系を保存しつつ、一貫性を持たせて協力していく必要があると強調しました。他にはガーナのパトリシア・アピアジェリ環境科学技術革新副大臣、 インド環境・林業・気候変動省のサイバル・ダスクプタ氏、国連環境計画世界保全モニタリングセンターの孟漢(Meng Han)氏、国連砂漠化対処条約事務局からプラディープ・モンガ氏、中国国家林業・草地管理局のワン・チュンフェン(Wang Chunfeng)氏などがスピーカーとして登壇しました。

また、ITTOは持続可能な熱帯林経営に関するパラレルセッションを共催しました。このセッションでは森林劣化の逆転へのツールとして持続可能な森林経営を利用する必要性を皆が認識しました。具体的には土地利用価値を最大化するために竹や籐などの木材や非木材林産物の生産をはじめとした全体論的アプローチを取ることになります。また、認証スキームのコストに関するプレゼンテーションや竹プランテーションの管理、インドネシアのコミュニティーに基づく竹産業の発展を支援して来たITTOの資金援助を受けたプロジェクトの結果について等の発表が続きました。本パラレルセッションはITTOがファシリティーターを務め、国際林業研究センター、EcoPlanet Bamboo、インドネシア環境林業省、Tropenbos Internationalのスピーカーがそれぞれ講演しました。

ITTOはさらに、熱帯木材および木材製品の貿易の多様化における実績と経験に基づいて、竹と籐の貿易政策促進に関するパラレルセッションも共催しました。 参加者は、林産物(木材および非木材)の国際貿易と市場アクセスの最新動向について検討するとともに、竹と籐の調和システムコードの開発についての可能性と、貿易統計に関するこの点について議論を交わしました。さらには竹と籐の国際市場について概要の説明も行われました。

次に、IKEAのケーススタディーでは竹と籐の貿易法とデューデリジェンスを実行する際のまだ残る課題について発表がありました。そしてセッション最後に、参加者はITTO主導予定の中国の民間・公共部門による最近のイニシアティブについて学びました。これは気候変動を緩和し、環境保全を確保しながら、生物多様性の保全を図る一方で、良好なビジネスのための平等な競争の場を創出するためのグローバル・グリーンサプライチェーンプラットフォームを設立するというものです。本セッションでは、中国の林業草原管理局、中国税関管理局、IKEA、INBAR、ITTOおよび世界税関機構の国際林産物貿易センターからそれぞれスピーカーが講演しました。

竹と籐に関する貿易政策の促進セッションのプレゼンテーション資料のダウンロードはこちら

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