食糧同様に不可欠な森林:森林ガバナンスに関する国際会議が開幕

2017年10月24日、東京

森林ガバナンスイニシアティブに関する東京国際会議のオープニングにおける衛星モニタリングに関する発表の様子。写真提供: R. Carrillo/ITTO

ゲアハート・ディタレITTO事務局長によると、森林は食糧安全保障と同様に考えるべきものです。なぜなら森林も私たちの生活にとって必要であり、安全性を保つために重要なものだからです。「世界の人口増加に対応できるだけの木材やサービスを提供できる持続可能で革新的、そして効率的な方法を早急に考え出さなければなりません」。とりわけ、このことを実現するには適切な森林ガバナンスとモニタリングのシステムが必要になります。

今日開幕した森林ガバナンスイニシアティブに関する東京国際会議の基調講演で、このようにディタレ事務局長は述べました。この国際会議は衛星技術とガバナンスの改善を通じて熱帯林の違法伐採撲滅に取り組むことを目的としています。

この会議は国際協力事業団(JICA)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、日本の林野庁とITTOの共催で、会議には110人以上が国内外から参加しています。

ディタレ博士は基調講演の中で、森林減少と森林劣化に対処しながら持続可能な開発目標(SDGs)を達成するための生産林の役割について強調しました。そして植林、再造林、森林再生、エンリッチ・プランティングや木材の代替材などは木材生産国の経済にプラスの影響を及ぼし、気候変動を緩和する助けとなる活動であると指摘しました。

また、ディタレ博士は生産林の役割を活用するための戦略的アプローチを提案しましたが、具体的には次の通りです。生物多様性の高い森林の保護、劣化した多目的景観地域の修復、木材・パルプ・エネルギー生産のための生産林への投資、効率的な森林経営、国内外の木材市場におけるグリーンサプライチェーンの推進などです。さらに、この戦略的アプローチを実施するためには生産林への投資にインセンティブを与えるための革新的な方法を模索すべきだと述べました。

また会議初日では基調講演が続きました。 

牧元幸司林野庁次長は森林ガバナンスを促進する日本の積極的な役割を具体的な行動を通じて強調し、例として日本が最近、合法的に収穫された木材や木材製品を日本市場で販売する法律を制定し、木材追跡技術と森林被覆の衛星モニタリングを利用することを支援していると述べました。

JICAの鈴木紀子理事は、SDGの採択から2年が経過し、森林の重要性を否定する人はいないにも関わらず、未だに人間の活動により大きな森林地帯が消失していっていると指摘しました。

ALOS(Advance Land Observing Satellite)などの衛星技術は、曇った条件の下でさえ、森林被覆の年間モニタリングを可能にすると鈴木氏は述べました。また、JJ-FAST(熱帯地域のJICA-JAXA森林早期警報システム)にブラジルの森林伐採や違法伐採を検出する技術を用いたことで、森林減少率の大幅な削減に大きく貢献したと続けました。
 
JJ-FASTは無料で利用でき、デスクトップコンピュータやモバイル機器でも使用できると鈴木氏。そして森林伐採に対処することはSDGの多くに関連しており、「誰も取り残されない世界」を達成するのに役立つと結論づけました。そのためには、各国の努力と技術、そしてパートナーシップを結びつけることだと述べました。

コンゴ民主共和国(DRC)のアミ・アンバトベ・ニョンゴロ環境・持続可能な開発大臣は基調講演で、DRCの人口の約70%が生計のために森林に依存していると指摘しました。 優れた情報は森林保全や効果的な森林経営と経済的に重要な森林活動に取って不可欠だと同博士は話し、貴重な森林データの収集を確実にするためにJJ-FASTなどのシステムを歓迎しました。

ニョンゴロ博士の後には、コンゴ民主共和国森林省長官のエティエンヌ・ヨーヨー氏が発表し、同様の内容で続けました。

JAXAの地球観測研究センター長である中島映至教授は、JAXAの地球観測プログラムの概要と最新の技術開発について紹介しました。

この二日間で、ブラジル、ボツワナ、DRC、ガボン、インドネシア、ペルー、タンザニア、ベトナムなどの衛星技術と森林ガバナンスの利用に関するプレゼンテーションや、中央アフリカ森林委員会、国連食料農業機関、グローバル・フォレスト・ウォッチ、国際森林研究機関連合、JICA、国連気候変動枠組条約などの講演が予定されており、また専門家によるパネルディスカッションも予定されています。

この会議の詳細については、http://www.itto.int/ja/workshop_detail/id=5238をご参照ください。