海岸林が提供する生態系サービスの方が家畜よりも価値があるとITTOの調査が結論付ける

ITTOプロジェクトRED-PD 045/11 Rev.2 (M)によって最近刊行された報告書によると、メキシコのベラクルスの浸水林や湿地が提供する生態系サービスをすべて考慮すれば、これらの生態系の方が(しばしば浸水林や湿地にとって代わる)放牧地よりもはるかに価値があるとの結論をまとめています。

本書『Servicios Ecosistémicos de las Selvas y Bosques Costeros de Veracruz(ベラクルスの熱帯・海岸林の生態系サービス)』では、メキシコ湾に位置するベラクルス州(メキシコ)で実施したプロジェクトで、浸水林や湿地(マングローブや沼地)の経済評価を行った結果を報告しています。特に、これらの熱帯・海岸林は嵐や洪水に対する重要な保護機能を果たす他にも、水の供給を調整し、収益の大きい漁業を支える役目を担い、生物多様性という重要な場を設け、食糧の供給や大量の炭素を貯蔵しています。今回の評価では、このような生態系がもたらすサービスの経済的価値の方が、家畜を飼育して得られるそれよりもよほど大きな価値があると結論付けています。課題として挙げられるのは、土地所有者がこの地域に残るわずかな森林を保全することがインセンティブとして価値のあるものだとより認識できるようにすることです。
 
本書(パトリシア・モレノ=カサソラ編集)は、生態系サービスがもたらす価値についてその科学的根拠を提供し、農家や政策立案者に自然がもたらす本質的な恩恵とバランスのとれた開発を行うことの重要性について意識を高めてもらうことを狙いとしています。 16章から構成されるこの報告書では、写真、地図、図、表や画像などを活用して生態系サービスとその価値について解説しながら、プロジェクトの結果について要約しています。
 
本書はITTOプロジェクトRED-PD 045/11 Rev.2 (M)によって発行された書籍の6冊目となります。この他にも科学雑誌への論文(大学の修士・博士号向け)の執筆やポスター・冊子・カレンダーの制作も行いました。詳細についてはITTOのプロジェクト検索機能で閲覧が可能です。また、ITTOのユーチューブ(YouTube)チャンネルにも関連ビデオを数本掲載しています。