持続可能な森林経営により音楽が奏でられる

2019年10月1日

横浜開催のTICAD7 で ITTO が実施したサイドイベントで発表を行うヤマハ株式会社の仲井一志氏 写真撮影:K. Sato/ITTO

ヤマハ株式会社の仲井一志氏によると、高価値樹種を重点的に扱う持続可能な森林経営(sustainable forest management :SFM)のモデルはタンザニアの地域住民に大きな恩恵をもたらし、森林とコミュニティにとって長期的な将来保障にもつながっているとのことです。
 
仲井氏のこの発言は横浜で開催されたTICAD7でITTOが実施したサイドイベントでのスピーチの中で行われたものです。2019年8月28日に行われた本サイドイベントは、日本国外務省、横浜市および神奈川県の後援によりITTO、林野庁および国際協力機構(JICA)が共同開催しました。
 
仲井氏は、タンザニアで地域住民と連携して持続可能性を伴ったアフリカン・ブラックウッド(Dalbergia melanoxylon)の調達プロセスを実施するヤマハ株式会社の取組を紹介しました。楽器製造に使用される木材は良質のものでなければならず、アフリカン・ブラックウッドはクラリネット、オーボエやバグパイプの原材料として利用されます。アフリカン・ブラックウッドはワシントン条約(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora:CITES)付属書IIに掲載されていることからその取引には規制が設けられています。
 
仲井氏は、ヤマハは地域住民と協力しながらビジネスモデルを開発中であると述べました。このビジネスモデルでは、良質の木材が生産されると共に劣化した天然林の生産性の回復を通じてコミュニティに長期的な恩恵がもたらされることが期待されます。
 
アフリカン・ブラックウッドのエンリッチメント・プランティング(郷土樹種を中心とした選択的な植林)は2017年から実施されています。この活動では村落に苗を提供して地域苗圃を設置します。2017年以来3,500株が植栽され、内80パーセントが育っています。
 
仲井氏は次のように話しました。この試行活動は順風満帆とはいかず、SFMを地方レベルで実施するための財源の不足や苗木の質の低さといった課題がありました。しかし、このような課題を克服すべく対策も取られており、このSFMモデルは農村地域の雇用も生み出しています。最後に、ヤマハは地域産業の振興の一助となり森林価値を高めるバリューチェーンの整備を目指しています。

仲井氏のインタビュー(英語)を視聴する

仲井氏の発表「タンザニアの地域住民と連携したアフリカン・ブラックウッドの持続可能な調達の実現」の資料(英語)をダウンロードする(下記)