アジア太平洋林業ウイークにて専門家:良好なデータシステムが責任ある木材取引の鍵となる

2019年6月26日, 仁川(韓国)

フィリピンでは、ITTOによるプロジェクトを実施した結果、木材追跡システムが森林データ収集体制の改善につながった。写真撮影:フィリピン森林管理局

「責任ある貿易と市場の促進」をテーマとしたAPFWのストリーム4では、8つのパートナーイベントと2本会議が開かれ、全体でおよそ350人が参加しました。このストリームでは、林産物の取引と市場の新たな傾向、生産国が合法かつ持続可能な林産物を促進するために実施している行動およびこれを左右するアジア太平洋地域内外の消費者行動について議論が行われました。

ITTOのスティーブン・ジョンソン氏は次のように述べました。健全なデータは健全な森林経営の礎であり、責任ある貿易と市場の礎でもあることは明らかです。国や企業が自国や自社の社会面・環境面での実績を世界に示す最善の方法は、森林とサプライチェーンの現状についての信頼に値する情報を提供することです。そして、これには強固で透明性のあるデータ収集システムが必要です。

ストリーム4の参加者は、違法伐採は最大の環境犯罪で、森林を劣化させ、ガバナンスと法の支配を低下させ、地域住民に悪影響を与えていることを学びました。

世界資源研究所(World Resources Institute:WRI)のチャールズ・バーバー氏は、木材取引が活発になっている中、森林関連の犯罪が次第に国をまたいで発生しており、法の施行と情報交換における一層の国家間協力が求められています、と述べました。

アジア太平洋地域には、多くの場合国際社会からの情報提供または支援を受けて、木材の合法性に向けた方策の実施を進めている国が多数あります。さらに、合法かつ持続可能な木材、木材以外の林産物および貿易を促進するために需要と供給の両側で対策を講じることが重要性と影響力を増しています。さらに、中国の役割は次第に重要となりつつあります。木材セクターは、木材以外の林産物に関連した中小企業や住民との協働の経験から学ぶことができます。

ジョンソン氏は、しかし、違法伐採を抑制するには、サプライチェーンのすべての工程で行動を起こす必要があります、と述べ、次のように話しました。

このストリームのイベントの参加者の間では、政府は、民間セクターがデューデリジェンスを拡大するよう圧力をかけ、同時に、特に中小企業に対する合法性の遵守についての能力開発に協力する必要があるという点で意見が一致していると考えています。

本ストリームのリーダーは、アジア・太平洋林業委員会の加盟国に対して次の共同提言を行いました:

•      木材および木材以外の林産物に関するデータの収集、共有および分析を強固にするためのプラットフォームを開発・整備する。

 -     サプライチェーンの管理を強化し、様々なシステムの実施を促し、コストを抑え、デューデリジェンスを採用し、政策・規制面の改革に資する情報を提供し、独立したモニタリング活動を可能にするため、統計データと情報管理(特に木材以外の林産物に関するもの)を改善する必要がある。

•      消費者・需要側と生産者・供給側に対しバランスよく注意や働きかけを行い、複数セクターが関与する協力を拡大し、木材および木材以外の林産物に関する供給側と需要側の両方に向けた政策と分析を強化し包摂性を付加する。

•      ガバナンスと生計の向上が貿易にもたらす便益を十分に活用するには、小規模森林所有者、住民、零細企業に合わせて合法性システムやその要件を柔軟に改変し利用し易くする必要がある。特に次が求められる:

 -     木材以外の林産物に関する政策支援を増加させ、複雑さや多様性に対処すること

 -     木材セクターへの住民の関わりを強化すること

ITTOAPFWストリーム4の開催において次の機関と協力しました:ヨーロッパ森林研究所(EFIEU FLEGTファシリティ;FAO-EU FLEGTプログラム;フォーレスト・トレンズ(Forest Trends);国際竹藤ネットワーク(International Network for Bamboo and RattanINBAR);非木材林産物交換プログラム(Non-timber Forest Products Exchange ProgrammeNTFP-EP)およびWRI。ストリーム4のパートナーイベントは、サラワク州森林局(Forest Department Sarawak)、森林管理協議会(Forest Stewardship CouncilFSC);世界木材追跡ネットワーク(Global Timber Tracking Network);韓国山林庁(Korea Forest Service);韓国―メコン森林協力センター(Korea–Mekong Forest Cooperation Center);NTFP-EPPEFC森林認証プログラム(Programme for the Endorsement of Forest Certification);タイ王立森林部(Royal Forest Department of Thailand)。

以下よりストリーム4の発表資料(すべて英語)がダウンロードできます: