森林景観回復について専門家が評価、検討

2019年4月5日, 横浜

熱帯地方における森林景観回復に関する第1回専門家会議の参加者。写真提供: Royal Forest Department of Thailand

昨年11月にタイのバンコクで開催された、熱帯地方における森林景観回復に関する第1回専門家会議の報告書が利用可能になりました。この会議では、2018年に世界的に合意された原則を考慮に入れつつ、熱帯地方の森林と景観の回復を拡大するための包括的な一連のガイドラインの開発に向けた方策が示されました。

森林景観回復(FLR)は勢いを増しており、持続可能な開発目標(SDG)やその他のプロセスや宣言などの取り組みにおいて世界的に具体化されています。世界資源研究所によると、世界中の土地でモザイク型の修復に15億ヘクタール、大規模な森林修復に5億ヘクタールの合わせて20億ヘクタール以上で回復が必要だとしています。
 
ITTOをはじめとする様々な国際機関は、過去数十年の間にFLRに関する技術および政策ガイドラインを発表してきました。 その間にも、特に森林景観の公共の利益と環境的機能、そしてFLRの社会的側面と経済的実行可能性に関して、新たな修復の枠組みと概念が浮上してきました。 国際自然保護連合と森林景観回復に関するグローバルパートナーシップは、「森林に関する協調パートナーシップ(CPF)」の森林景観回復に関する共同イニシアチブを実施しています。このイニシアチブの一環として、CPFはITTOに対して進行中のCPFメンバーのFLRプログラムを評価、検討し、包括的な一連の自主的FLRガイドラインを作成するうえで有益な役割を果たすよう要請しました。

ITTO、アジア森林協力機構、タイ王立森林局が主催した「熱帯地方における森林景観回復のための第1回専門家グループ会議」の参加者は、既存のガイドラインとFLRプロセスや世界各地における森林・土地の回復への取り組みについてレビューを行いました。また、FLRの用語と定義を見直し、新しいFLRガイドラインの焦点と対象読者、およびそれらの性質、範囲、目的、および応用についても議論を交わしました。
 
ガイドラインを改訂することで、土地利用へのより持続可能なアプローチを達成し、FLRの社会的および生態学的利益を増大させることを目的とした、劣化した熱帯林および森林地帯の回復に関する技術的および政策的指針を提供します。さらには、森林が景観モザイクにおける他の土地利用と共存することができるように、森林景観内の機能的森林生態系を回復することを中心的に改訂が進められることになります。
 
この専門家会議では、特に2018年に世界的に合意された原則(景観規模に着目する、ステークホルダーの参加と参加型ガバナンスを支援する、複数の利益のために複数の機能を回復させる、景観内の自然生態系を維持し強化する、さまざまな方法で地域の状況に合わせて調整する、長期的な回復力のために適応的に管理する)を効率的に実行するための運用ガイドを作成することの重要性についても話合いが持たれました。

熱帯地方におけるFLRに関する第2回専門家会議は2019年6月に開催予定です。

本会議の報告書ならびに発表資料(英語)は下記よりダウンロードが可能です。