2025年国際女性デー: 持続可能な林業におけるジェンダー平等へのITTOのコミットメント

2025年3月8日, 横浜

Ryotaro SHIBAYAMA and Paula SARIGUMBA

木質燃料、食品、医薬品など、森林資源の主な収集者であり利用者でもある女性たち。写真:ITTO

3月8日の国際女性デーは、世界中の女性の功績と貢献を称える日です。国際女性デーの
今年のテーマ「すべての女性と少女のために ー 権利、平等、エンパワーメントを(For ALL Women and Girls: Rights. Equality. Empowerment)」は、国際熱帯木材機関(ITTO)が政策と実践の両面でジェンダー平等に取り組む姿勢とも共通するものです。ITTOは長い間、持続可能な森林経営と保全における女性の重要な役割を認識し、女性のエンパワーメントを支持してきました。

多くの農村コミュニティでは、女性が森林資源の主な収集者かつ利用者です。また、持続可能な森林経営に関する伝統的な知識を多く持っているため、森林保全や劣化した森林の回復において重要な役割を担っています。また、女性は家計収入を生み出す森林バリューチェーンにも大きく貢献しており、貧困からの脱却するための効果的な道筋となっています。2018年に発表した「ジェンダー平等と女性のエンパワーメントに関するITTO政策ガイドライン(Guidelines on Gender Equality and the Empowerment of Women)」は、現場における女性の貴重な貢献を認識し、ジェンダーへの配慮がITTOの政策、プログラム、プロジェクトに確実に組み込まれるための枠組みを提供するものです。

ITTOプロジェクトを通じた女性のエンパワーメント

ITTOはジェンダー主流化にコミットしており、ITTOのフィールドプロジェクトは、持続可能な森林経営と農村開発を達成する手段としての女性のエンパワーメントに焦点を当てています。

エクアドルのラス・テレサスの苗床で、苗床管理の技術に関する研修を受ける女性たち。写真:ITTO
  • トーゴの森林景観再生

トーゴにおけるITTOの取組は、森林景観再生とアグロフォレストリー実践の改善を支援することで、ブリタ県とラックス県の女性の生活を変えました。参加者は苗床の設置、苗木の生産、森林再生技術、エンリッチメント・プランティング、アグロフォレストリーに関する研修を受けました。この取組により、女性たちは新たな技術を学び、雇用を獲得し、経済的に自立できるようになると同時に、荒廃した土地の回復に貢献することができました。

  • エクアドルとメキシコの苗床管理

エクアドルのチンボ川流域で、ITTOは社会的に弱い立場に置かれた女性たちに苗床管理の訓練を行い(英語)、地元の熱帯林を世話する技術の習得を支援しました。この取組は安定した雇用を提供し、彼女たちの社会経済的地位を向上させるとともに、森林の回復に貢献しました。

メキシコのエル・ピニョナルでも同様に、ITTOは森林破壊と農村コミュニティにおける女性の就業機会不足の双方に取り組みました。女性たちは在来樹種の識別、種子の収集、発芽、苗床の維持管理の訓練を受け、彼女たちが森林再生活動に参加することで、地域の生態系が強化されるだけでなく、経済的エンパワーメントも促進されました。

この2つのプロジェクトは、林業の取組が、ジェンダー・インクルージョンと環境回復を促進しながら、いかに持続可能な生計を立てることができるかを浮き彫りにしています。.

  • コートジボワールでの木炭生産

2009年、ITTOはコートジボワールの女性グループのMALEBIに少額の助成金を支給(英語)し、効率的で環境に優しい技術を使った木炭生産を促進しました。この取組により、地域コミュニティの生活水準が向上し、森林保護に対する意識が高まった。この成功に基づき、2016年、ITTOはMALEBIを支援し、より大規模なプロジェクトを実施し、アフア保全林の100ヘクタールを再生し、木炭生産のための持続可能な木材供給を確保しました。この活動は2018年の世界銀行の重要なプロジェクトにつながり、推定34万5,000人の農業従事者と森林に依存する地域の住民に恩恵をもたらしました。

コートジボワールの女性による木炭生産。写真: ITTO

外交における女性の支援

ITTOは、持続可能な林業に関する政策開発に対する女性の重要な貢献を認めています。ITTOは、女性が、熱帯地域における持続可能な林業を推進する上で不可欠な役割を果たし、インパクトのある貢献を行っていることを認識し、国際的な政策と実践の形成における女性の計り知れない努力に敬意を表します。

ITTOの指導者は、ジェンダー平等へのコミットメントを体現しています。シャーム・サックルITTO事務局長は、ITTOの歴史上初めて同役職に就いた女性で、林業における女性のエンパワーメントと社会における平等を声高に主張してきました。

サックル事務局長は、ジェンダーギャップを解消し、最終的にはあらゆるレベルで女性のエンパワーメントを図る努力によって、ITTOの目標達成が加速されると強調しています。彼女は、ジェンダー平等なくして持続可能な森林経営は完全には実現できないと信じています。

同提言とサックル事務局長の粘り強い努力の証として、コートジボワールの女性グループのMALEBIは、2024年12月に開催された国際熱帯木材理事会の第60回会合において、サックル事務局長を表彰しました。

「私は、平等を確保し、あらゆるレベルで女性のエンパワーメントを図り、女性が人生において果たす重要な役割に対する当然の認識を強化する努力によって、ITTOの目的達成が加速されると強く信じています。」とサックル事務局長は述べました。

第60回国際熱帯木材理事会でMALEBI女性組合から表彰を受けるシャーム・サックルITTO事務局長。写真: Paula Sarigumba/ITTO

今後の展望

2025年の国際女性デーに、ITTOはジェンダー平等の推進と林業における女性のエンパワーメントへの献身を再認識します。ITTOは、社会と地域社会の潜在能力を最大限に引き出すには、男女がそれぞれの文化の中でお互いを認め合い、支え合いながら協力し合うしかないと強調します。政策開発、プロジェクト実施、能力開発における継続的な取組を通じて、ITTOは熱帯林とそれに依存する地域社会にとって、より包括的で持続可能な未来に向けた努力を続けていきます。.

関連するSDGs

持続可能な林業における女性のエンパワーメントに対するITTOのコミットメントは、森林保全、修復、バリューチェーンへの女性の完全かつ効果的な参加を確保することで、SDG5(ジェンダー平等)を直接的に支持します。能力構築の取組を通じて、ITTOは女性が必要なスキルを身につける機会を提供し、林業における経済的自立とリーダーシップを育成します。ITTOの政策とフィールドプロジェクトはジェンダーへの配慮を統合し、持続可能な森林経営と農村開発における女性の重要な役割を強化しています。ジェンダーギャップを解消することで、ITTOは、SDG5達成に向けた世界的な取組と連携しつつ、より包括的で強靭な林業セクターへの前進を加速します。