聖なる森の再生:世界湿地の日にベナンにおけるITTOの取組を称える

2025年2月2日, 横浜

Polycarpe MASUPA

ズグボドメ コミューンにおける、ロコリの聖なる森の様子(ラムサール条約登録地1018)。写真:ITTO

2月2日の世界湿地の日(英語)は、生物多様性の維持、地域社会の支援、気候変動の緩和において湿地が果たす重要な役割について考える機会となります。ITTOは、これを機に、ベナンのラムサール条約登録地1017と1018における聖なる森林の再生と持続可能な経営と言うITTOプロジェクト[PD 754/14 Rev.3 (F)](英語)を紹介します。この取組では、生態学的・文化的に重要な森林を保護するだけでなく、環境・社会マネジメント(英語)、森林景観再生(英語)、持続可能な森林経営(英語)の実践に関するITTOのガイドラインに基づく適切な活動の実施を通じて、地域コミュニティが生計向上を図りながら遺産を保護するようエンパワーしました。

世界湿地の日2025キャンペーン。写真:RAMSAR

ベナンの聖なる森の保全

ベナンの聖なる森は、地域コミュニティにとって精神的に深い意味を持っています。文化的、儀式的な機能だけでなく、これらの森林は生物多様性にとって重要な拠り所として機能しており、希少な動植物種の聖域となっています。しかし、これらの森林は、侵入、森林伐採、持続不可能な土地利用慣行による脅威の増大に直面しています。喫緊の対応が必要であるため、日本政府と地元NGOのCe.Sa.Re.Nによる寛大な寄付をもとにITTOが資金を提供し、プロジェクトが2017年4月に開始されました。この取組は、ベナン南部のリトラル県、アトランティック県、モノ県、ウエメ・プラトー県、クッフォ県、ズー県にまたがる地域を対象とし、ラムサール条約登録地1017号および1018号内の42の聖なる森を保護し、持続可能なかたちで経営することを目的としています。

トリ・ボシト コミューン、アヨシズーンの聖なる森のアカハラザル(左)とボヌ コミューン、グベボズーンの聖なる森のボールニシキヘビ(右)。写真 ITTO

保全成功の世界的事例

このITTOプロジェクトは、目先の成果だけでなく、長期的な持続可能性の基礎を築きました。例えば、聖なる森を自治体の保護区制度に統合する法的枠組みの確立、保護活動における伝統的な当局および自治体によるリーダーシップの強化、持続可能な生計プロジェクトのためのマイクロファイナンスへのアクセスの促進、持続不可能な資源開発の必要性の低減、聖なる森の継続的なモニタリングと順応的管理の奨励により、将来の脅威に対するレジリエンスを確保などが挙げられます。

この取組はベナンの国を越えて影響を及ぼします。このプロジェクトは、地域の昔ながらの保護活動を現代の持続可能な森林経営と統合するための、再現可能なモデルとなっています。ITTOは同プロジェクトの成功を出版物で記録し(英語)、教訓を共有することで、世界中で同様の取り組みができるよう奨励しています。
 

未来の世代のために聖なる森林を強化する

世界湿地の日を祝ううえで、このプロジェクトは共同保全の力を証明するものとして位置付けられます。聖なる森は単なる生態系のホットスポットではなく、文化的な宝であり、地域社会にとって不可欠な資源です。科学と伝統、そして地域社会の関与を融合させることで、私たちは何世代にもわたって聖なる森を確実に保護することができます。

このプロジェクトの成功は、湿地と森林の保護に継続的に投資することの重要性を浮き彫りにしています。世界が環境問題の深刻化に直面するなか、このような取り組みは、地域社会、政府、国際機関が共通の目的のために団結すれば、持続可能な解決策が可能であることを想起させます。

ガルシニア・コーラ(薬用植物)によるエンリッチメント。写真:ITTO
このプロジェクトおよび同様の取組についての詳細は、こちら(英語):https://www.itto.int/project_search/.