市民グループ、森林景観再生におけるコミュニティと女性への支援強化を要請
2024年12月3日, 横浜
市民社会諮問グループ(CSAG)は本日、ITTOは熱帯地域における森林景観再生ガイドライン(英語)のコミュニティ主導による実施への支援を加速し、再生への取組の効果を高め、コミュニティがその恩恵を受けられるようにすべきであるとの声明を発表しました。
この声明は、第60回国際熱帯木材理事会の会期中に開催されたCSAG主催の再生戦略と経験に関するパネルディスカッションの中で発表されました。
CSAGは声明の中で、「ITTOの最高レベルの場において、女性主導の再生への取組の課題と機会が正当に評価されたことを大変うれしく思います。」と述べました。
CSAGは理事会に対し、「ITTOが公表したガイドラインのコミュニティ主導による実施への支援をさらに加速させること」、特に利害関係者の関与、参加型ガバナンスの支援、多様なアプローチを用いて地域の状況に合わせた活動を実施することについて、強く要請しました。2020年に発行された同ガイドラインは、熱帯林再生に特化したテクニカルガイドラインであり、利用者のニーズや能力に合わせて活用することができます。
パネルディスカッションは、コミュニティ主導の修復の重要性と、金融包摂、持続可能な利用、女性のエンパワーメントを確保するために必要な政策を強調するために招集され、3つの熱帯地域から、地域コミュニティの代表者が登壇しました。.
TRAFFIC(英語)のチェン・ヒン・ケオン氏はプレゼンテーションの中で、森林再生における持続可能な利用は、生態学的目標から焦点をそらすのではないかという懸念から、議論の的になっていると述べました。
「しかし、自然を再生させることは、持続可能で自然と調和した生き方を再考することなのです。」と同氏は語りました。「一般的に、人間を自然界から切り離すような自然保護モデルを追求することはできません。」
チェン氏は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(英語)に記載されている種の合法的な取引は、年間2,200億米ドルに相当すると述べました。チェン氏は、TRAFFIC社とパートナーが開発した、持続可能で合法かつ倫理的な野生種の取引を支援するためのツールについて説明しました。
同じくCSAG代表のクリスティン・ウランダリ氏は、インドネシアの森林再生におけるジェンダーの役割について語りました。同氏は、東ヌサトゥンガラ州、東ジャワ州、ランプン州でのケーススタディから得られた知見を紹介し、森林経営の意思決定に女性が関与することで、森林再生を含む様々な分野でプラスの効果があったと結論づけました。
「森林再生におけるジェンダー平等のパラダイムと実践は、持続可能な森林経営の鍵です。」とウランダリ氏は語りました。.
コートジボワールの女性グループであるMALEBI(英語)のデルフィーヌ・アフォッシ会長は、MALEBIとコミュニティ森林経営のためのアフリカ女性ネットワーク(African Women’s Network for Community Forest Management: REFACOF)(英語)の活動について述べ、劣化した森林景観を修復する農村部の女性を支援するカーボンファイナンスの役割について考察しました。同じくREFACOFのダニエル・ラミアランマナナ氏は、カメルーンでの取組について発表し、REFACOFの3人目のスピーカーであるアマ・アトゥトヌ氏は、トーゴの2つの県で森林景観再生に取り組む女性グループを支援している創価学会の資金提供によるITTOプロジェクトについて語りました。.
フェアワイルド・ファウンデーション(英語)のシメナ・ブイトロン・シスネロス氏は、ボリビア、ブラジル、エクアドルにおける再生戦略と、森林認証を通じて再生を支援する同財団の活動について概説しました。
プレゼンテーションの後、林業における女性の役割を強化するための土地所有権の重要性や、回復した森林から得られる持続可能な製品としての木質燃料の役割などについて、参加者から問題提起がなされました。
女性グループがITTO事務局長を表彰
CSAGイベント期間中、コートジボワールの女性グループが、林業における女性支援活動に対してシャーム・サックルITTO事務局長を表彰しました。MALEBI女性組合からの賞は、コートジボワールおよび西アフリカにおける女性のエンパワーメント推進におけるサックル事務局長の個人的な役割と、ITTOの支援に対する感謝の意を表したものです。MALEBIへの2009年の小規模なITTO助成金(英語)は、2016年のより規模の大きなITTOプロジェクト(英語)につながり、木炭生産用の木材の継続的な供給を確保するため、アフア保護林の100ヘクタールの地域を回復させました。同プロジェクトは、農業従事者や森林に依存するコミュニティにおける受益者およそ34万5,000人に上る、2018年の世界銀行による大規模プロジェクトにつながりました。
MALEBIのデルフィーヌ・アフォッシ会長は、賞の授与にあたり、「ITTOからの最初の助成金は、私たちのコミュニティの多くの人々、特に女性の生活を変えました。ITTOの支援と、森林と生計における女性の役割を擁護するサックル氏に感謝します。」と述べました。
受賞に際し、サックル事務局長は「この賞は、非常に小さなITTO助成金やプロジェクトでも、女性のエンパワーメント、劣化した土地の回復、持続可能なプラクティスの導入、持続可能なビジネスの奨励など、人々の生活に大きな変化をもたらすことができるということを浮き彫りにしています。」と述べました。
CSAGパネルディスカッションでのプレゼンテーション(英語)の模様は、https://www.itto.int/ja/ittc-60/presentationsをご覧ください。
IISDレポートサービスによる会期中の毎日の報道は、こちら(英語):https://www.itto.int/ittc-60/presentations.