ブラジルと中国の木材市場、9月に回復

2024年10月31日, 横浜

2024年10月31日:本日発表された世界木材指標(Global Timber Index: GTI)レポートの最新版は、ブラジルと中国の木材セクターが9月に回復の兆しを見せたことを示しています。ITTOが支援するGTIは、多様なパイロット国における木材セクターのパフォーマンスを追跡調査するものです。

ブラジル(52.3%)と中国(54.2%)のGTI値は、9月に基準値の50%を超え(それぞれ44.5%と43.1%から上昇)、木材セクターの上昇傾向を示しています。具体的には、両国では、受注と生産が増加しています。

しかし、GTI参加生産国の大半では、木材セクターが引き続き縮小しており、タイ(49.1%)、ガーナ(46.7%)、コンゴ(44.9%)、メキシコ(37.1%)、マレーシア(29.0%)、ガボン(26.3%)のGTI値はすべて基準値の50%を下回りました。

コンゴ、マレーシア、メキシコはいずれも数ヶ月間、基準値を下回っており、各国の木材企業の生産とオペレーションが圧迫されています。そのため、3カ国のGTI参加企業は9月に政府の介入を求めました。マレーシアの企業は、建材の消費を増やすため、政府が建物やインフラへの支出を増やすよう提案し、コンゴの企業は、政府が橋の建設を加速させ、道路網の維持に貢献するよう提案しました。メキシコの企業は、政府が中質繊維板(Medium Density Fiberboard: MDF)の輸入を規制するよう求めました。

その他のニュースとしては、木材生産に特化した指数であるGTI-生産者指数(GTI-Producers Index)は8月の45.6%から9月には49.1%に上昇し、木質系パネルに特化した指数であるGTI-木材パネル指数(GTI-WBP Index)は47.4%(40.7%)に上昇し、両サブセクターの縮小が緩和されたことが挙げられます。

9月に中国のマカオ特別行政区で開催されたグローバル・リーガル&サステイナブル・ティンバー・フォーラム(英語)では、GTIプラットフォームの運営(英語)に関する情報が発表されました。GTIは、最初の2年間、ブラジル、中国、コンゴ、エクアドル、ガボン、ガーナ、インドネシア、マレーシア、メキシコ、タイの10カ国で試験的に導入されました。各パイロット国は、選抜した主要な木材企業についてGTIに毎月報告するとともに他の情報についても共有し、参加企業数は期間中に160から260に増加しました。報告書は28回発行され、GTI-生産者指数とGTI-木材パネル指数の2つの専門指数が発表されました。発表会では、GTIフォーカルポイントの代表が、中国の2つの木質系パネル産業クラスター(広西チワン族自治区貴港市と山東省臨沂市)に表彰状を授与し、データ収集とGTI-木材パネル指数の立ち上げへの貢献を称えました。今後、この活動にデータや情報を提供したGTI企業には、さらに多面的で付加価値の高いサービスが提供される予定です。

GTIは、パイロット国における合法かつ持続可能な経営への重要な進展の兆しを報告しています。例えば9月、インドネシアの環境・林業大臣は、インドネシアの森林火災と森林伐採が過去10年間で劇的に減少したことを示すデータを発表しました―火災により焼失した森林の面積は2015年の260万ヘクタールから2022年には20万ヘクタールに減少し、破壊された森林の面積は2014年から2015年の109万ヘクタールから2023年には10万ヘクタールに減少しています。またコンゴでは、9月に、野生生物保護協会は、森林の管理者に長期的な資金を提供することで、健全性の高い熱帯林における気候調節機能の維持と生物多様性の保全を促進することを目的とした、アフリカ初の健全性の高い森林への投資イニシアティブ・プロジェクトが開始しました。

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