熱帯木材セクターの動向に関する新報告書、1990年以降の大きな変化と驚異的な回復力を指摘
2024年10月18日
2024年10月18日:熱帯木材製品セクターは過去30年間に、アジア金融危機、世界金融経済危機、新型コロナウイルス感染症の世界的流行という3つの大きな経済界のショックを乗り越え、多くの熱帯生産国が輸出貿易の付加価値プレーヤーとして台頭してきたと、同セクターの長期的な動向について調査したITTOの新しい報告書は示しています。
市場アナリストであるフランセス・メイプルズデン氏の執筆による報告書『熱帯木材の動向:熱帯木材の生産・消費・貿易のレビュー 1990-2020年』(Tropical Timber Trends: A Review of Tropical Timber Production, Consumption and Trade, 1990–2020)は、2020年までの30年間にわたるITTOの主要統計データを分析・要約したもので、熱帯木材セクターの長期的発展に関する重要な概観を提示しています。
報告書は、1990年以降、熱帯木材セクターは、生産、消費、貿易に影響を与える多くの要因の複雑な相互作用によって形作られてきたと述べています。1997-1998年のアジア金融危機、2008-2009年の世界金融経済危機(GEC)、2020-2022年のCOVID-19によるパンデミックに関連する世界的なショックは、世界の木材消費パターンに大きな影響を与えましたが、アジア金融危機とGECの後、生産レベルは3~5年で回復しています。
「GECは、熱帯木材製品の消費を、EUやアメリカからアジアへ、特に中国とインドへとシフトさせました。」とメイプルズデン氏は語りました。「多くの熱帯諸国でも変化があり、天然林での生産量が減少し、植林地での生産量が増加しました。このような動向や他の動向は、熱帯木材セクターにおける非常に大きな変化ですが、それにもかかわらず、同セクターはかなりの回復力と適応力を示しています。」
中国もまた、熱帯木材セクターの主要プレーヤーとして台頭してきました。例えば、中国は1990年には世界の熱帯合板生産量の0.5%しか占めていませんでしたが、2021年には半分以上(57%)を占めるまでに急成長しました。報告書によれば、この並外れた拡大は主に、中国の建設、木製家具製造、自動車製造、造船などの川下産業における国内での合板需要の急成長に対応したからだということです。
木材二次加工製品の価値も劇的に上昇し、1990年の17億米ドルから2022年には361億米ドルになりました。この成長は、熱帯木材セクターが過去30年間でいかに成熟したかを示しています。
メイプルズデン氏は、「1990年代には、ほとんどの国が工業用丸太や製材といった付加価値の低い製品を主に輸出していました。」「しかし、熱帯諸国の中には、付加価値の高い主要なプレーヤーとして台頭してきた国々もあります。」と述べました。
報告書によると、過去数十年にわたり熱帯木材輸出国の競争力に影響を与え、現在も影響を与え続けている要因として、為替レートの変動、生産・輸送コストの上昇(これらが価格を押し上げている)、製品の差別化とサプライチェーンへの対応、他の木材製品や材料による代替を可能にした技術開発、一部の消費者市場における認証の必要性、特定の熱帯木材輸出国や製品に課された貿易制限などが挙げられます。
シャーム・サックルITTO事務局長は、報告書はITTOの統計業務の重要性と価値を示していると述べました。
「この分析は、熱帯木材セクターのダイナミクスの変化について優れた鳥瞰図を提供しています。」とサックル事務局長は語りました。「これはセクターの長期的な動向や、経済ショック、政策介入、市場シフトの影響を理解する上で極めて重要なことです。」
メイプルズデン氏は「ITTOの統計データベースには、30年以上にわたって収集された一貫したデータがあります。」「熱帯木材の生産と貿易に関する世界で唯一のグローバルなデータベースであり、持続可能な熱帯木材セクターを促進する政策を開発するための非常に貴重なリソースとなります。」と述べました。