木材生産に関する新たな指数、伐採と一次加工の動向を追う

2024年6月19日

インドネシア、東カリマンタンでの伐採の様子。写真:APHI

2024年6月19日:ITTOが支援する世界木材指標(Global Timber Index: GTI)は、その範囲と奥行きをさらに広げるため、木材生産に焦点を当てた2番目の専門分野特化型の指数を立ち上げました。GTI-プロデューサーズ(Producers)の初版(5月分)では、総合指数が39.2%であり、パイロット国における伐採および一次加工産業の景気が(4月と比較して)低下したことを示しました。

8カ国の木材セクターの状況を追跡調査するGTIは、木材セクターの様々な側面を網羅したマンスリーレポートを作成するほか、専門的な指数を追加で導入しています。最初に導入された指数は、木質パネルに関するもので、2024年5月に初めて公開されました。

この度新たに導入されたGTI-プロデューサーズのレポートは、ブラジル、コンゴ、ガボン、インドネシア、マレーシア、メキシコ、タイのITTO生産加盟国7カ国における木材伐採と一次加工の動向を追ったものです。近々、さらに多くの国々がこの指数に加わる予定です。

ITTOのデータによると、上記7カ国の2022年の丸太と製材の総生産量は2億8,900万立法メートル(m3)であり、これはITTO生産国全37カ国の生産量合計の63.1%にあたります。

その他のニュースとして、GTI-木質パネル(Wood-based Panel)により、先月4月に報告された需要側の落ち込みが5月には緩和されたことが報告されています。この指数は、上記の7カ国に中国を加えたものです。

GTIレポートの最新版によると、木材セクターの全体的な業績が下降しているにもかかわらず、一部のパイロット国では5月に木材市場に明るい兆しが見られました。

5月のGTI値は、タイ(43.1%)、メキシコ(42.5%)、中国(42.2%)、インドネシア(42.1%)、コンゴ(40.7%)、ブラジル(37.9%)、ガボン(37.2%)、マレーシア(30.1%)と、すべて基準値の50%を下回り、木材セクターの全体的な落ち込みを示しました。

インドネシアでは、5月の木材市場は、4月と比較して伐採、輸出注文、原材料の購入が増加し、比較的強い上昇傾向を示しました。タイでは、内需は依然として低水準にあるものの、輸出注文量は増加しました。ガボン、コンゴ、メキシコでは、伐採量の減少傾向が緩和しています。中国では、木材市場がオフシーズンに入り、受注量、生産量ともに減少し、一部の企業では過剰在庫が続きました。

生産と操業における課題に直面したGTI参加企業は、市場の活性化を期待して、様々な政策関連の要望を述べました。例えば、インドネシアの企業は、川上・川下セクターの持続可能性を支援する観点から、輸出可能な木材製品の最大断面積を制限する規制の改正を求めました。タイの企業は、木材と木材製品の価値と利点に対する消費者の認識を高めることを望んでいます。メキシコの企業は、森林サービス管理システムを改善するため、様々な政府機関との協力を推奨しました。中国の企業は、木材製品の見本市を増やすことを希望し、また地元企業が輸出の割合を増やし、国内市場から東南アジア市場へシフトすることを提案しました。

国連森林フォーラムの直近の会合である5月に開催されたセッションでの成果は、今年9月に採択される新たなグローバルな持続可能な開発のためのアジェンダに取り入れられる予定です。新アジェンダの目標は貧困の撲滅と持続可能な開発の達成であり、ここに森林に関するポリシーが盛り込まれるということは、貧困撲滅と気候変動への対応における森林の重要な役割に対する国際社会の認識の高まりを示していると言えるでしょう。木材セクターの合法的かつ持続可能な発展を支援する新たなソリューションが、この重要な時期に、切実に求められています。

月刊GTIレポート、GTI-Producersレポート、GTI-Wood-based Panel(WBP)レポート(すべて英語)は、www.itto.int/ja/gti から無料で入手することができます。

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