ITTO、JICA、熱帯林「大国」が持続可能な林業への道を探る

2024年5月21日

ITTOプロジェクトの一環として、インドネシア、東ジャワのメル・ベティリ国立公園で実施した炭素蓄積量を推定するための樹木直径測定のトレーニング。写真:FORDA

2024年5月21日:ITTOは、熱帯林「大国」3カ国が一堂に会した熱帯林保護に関するシンポジウムで、持続可能な熱帯林業を推進するための投資と国際協力の強化の重要性を強調しました。

国際協力機構(JICA)と毎日新聞社が共催し、外務省、林野庁、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、住友林業、ITTOが後援する同シンポジウムは、2024年5月20日に東京で開催され、世界の熱帯林の最大のシェアを持つ3カ国、ブラジル、コンゴ民主共和国、インドネシアの代表らが参加しました。

ヌルディーン・イドリスITTO事務局次長(貿易・産業)はシャーム・サックルITTO事務局長に代わり、「地球の肺を守ろう~世界三大熱帯林の現状及び課題、その保全策について理解を深める~」と題された同イベントは、現在進行中の熱帯林の減少やその他の課題に対する解決策を探るためのタイムリーな機会だと述べました。

イドリス博士は、シンポジウムの開会の挨拶で「このシンポジウムは、熱帯林大国のサミットとも言えるでしょう。」と語りました。

アマゾン、コンゴ盆地、ボルネオ-メコン-南アジア地域の熱帯林は、「森林に由来する物や生態系サービスの持続的かつ確実な提供を通じて、地球規模の気候を安定させ、生物多様性を維持し、生計を支え、多くの社会的ニーズを満たす上で極めて重要な役割を果たしています。」と、イドリス博士は述べました。

しかし、この3つの地域はすべて、人類の活動や気候変動の悪影響によって、日々拡大する脅威や圧力にも直面しています。

イドリス博士は、気候変動、生物多様性、持続可能な開発に関する世界的な目標に貢献しながら、持続可能な開発を促進しようとする熱帯林諸国にとって、「成功するためには、確固とした国際的支援が不可欠です。」と述べました。

また「これらの国々で熱帯林の持続可能な経営を確保するために、断固とした行動と大規模な投資が喫緊に必要であることは明らかです。」と述べました。

この点に関して、イドリス博士は、ITTOとその加盟国に対するJICAの長期的な支援を称えました。ITTOとJICAは2022年10月に、長年にわたる協力関係をさらに延長しました。

イドリス博士は、熱帯林の持続可能な経営と保全、および持続可能な方法で経営され合法的に伐採された森林からの熱帯木材の国際貿易の拡大と多様化を促進するために、ITTOが3つの地域において約40年にわたって実施してきた共同事業から生まれた、ガイドライン、基準、指標、プロジェクトについて言及し、貴重な生態系を保護するために、国際社会と熱帯諸国の両方から必要とされる様々な取り組みについての視点を提供するものだと述べました。

森田隆博JICA地球環境部長と森本英彦毎日新聞社執行役員社長室長からも開会の挨拶が届きました。両氏は、自然の保護、特に熱帯林の保全が急務であることを強調し、ノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイ氏が2005年に来日した際に残した遺産が、地球環境に負荷をかけないライフスタイルの普及を目指す「MOTTAINAI」キャンペーンの創設に影響を与えたことを紹介しました。

JICA地球ひろばで開催された同シンポジウムでは、JICAと京都大学による基調講演に続き、ブラジル、インドネシア、コンゴ民主共和国の代表者による報告や、地域社会、民間セクター、国際協力の役割に関するパネルディスカッションが行われ、地球環境にとっての熱帯林の重要性や熱帯林主要3カ国の課題についてのセッションが行われました。

シンポジウムの閉会にあたり、イドリス博士は、JICAや日本政府の他の機関を含むドナーに対し、これら3つの熱帯林大国および熱帯の他の地域における持続可能な林業を支援するため、ITTOへの資金提供を増やすよう呼びかけました。