中国、不動産への刺激策を強化 ―木材市場にも恩恵

2023年9月15日

中国、南順市の合法的なフローリング製造工場。写真:R. Carrillo/ITTO

2023年9月15日:本日発表された世界木材指標(Global Timber Index : GTI)の2023年8月版レポートでは、中国の木材市場は、輸出注文が不十分であるにもかかわらず持ちこたえていると報告されています。GTIレポートは世界7カ国の木材セクターを追跡調査しています。

中国のGTIは8月に52.6%を記録し、2ヵ月連続で50%(木材セクターの成長を示す基準値)を超えました。8月末に発表された同国の新しい住宅政策では、北京、上海、広州、深圳の一線都市4都市が、「過去にローンを組んで住宅を購入したか否かにかかわらず、その地域に不動産を所有していない家庭を初回住宅購入者として扱い、有利な住宅ローン条件の対象とする」と発表しました。この政策により、中国やその他の地域の木材市場の成長が促進される可能性があります。

インドネシアの木材セクターは8月、比較的安定していました。GTIは48.1%(50.0%から低下)と若干低下しましたが、伐採と生産は増加し、輸出注文は安定していました。

ブラジル、コンゴ、マレーシアでは、木材セクターの縮小は前月より少なく、8月のGTIはそれぞれ36.1%、36.0%、37.9%とわずかに上昇しました。しかし、ガボンとメキシコではあまりいいニュースがなく、GTIはそれぞれ37.2%(51.3%)、33.6%(43.4%)と大幅に減少しました。

GTIパイロット国は、EUによる森林破壊を防止するための規制である、森林デューデリジェンス規則(EUDR)の実施状況を注視しています。インドネシア、マレーシア、EUは、EUDRに関する特定目的の共同タスクフォースを設立し、8月初旬にキックオフ・ミーティングを開催しました。このタスクフォースの目的は、生産国と消費国の間で共通認識を模索し、規制の実施に関する相互理解を深めることを目的とした対話を促すことです。

一部の企業は、EUDRの下で起こりうる貿易上の差別について懸念を表明しています。ブラジルの木材製品への潜在的な悪影響については、ブラジル連邦議会下院の農業・工業・貿易に関する委員会の会合で議論され、EUDRはブラジルからEUに輸出される製品の35%程に影響を及ぼすとの結論が出されました。

GTIマンスリーレポート各号(英語)は、www.itto.int/ja/gti/にて無料でご覧いただけます。

最新のGTIレポート(英語)はこちらからダウンロードできます。