小さいことは美しく力強い ―しかし、零細・中小企業には支援が必要

2023年6月27日

ITTOプロジェクトの支援を受けたグアテマラの小規模林業企業、サカラ社の役員、マルガリータ・ロエル氏。写真:R. Carrillo

2023年6月27日、横浜:零細・中小企業(MSMEs)は、ほとんどの熱帯諸国において、森林セクターにおける雇用の大部分を擁し、何百万人もの人々に林産物を供給する必要不可欠な存在であるが、持続可能な開発のためにその潜在能力を最大限に引き出すためには、さらなる支援が必要である、とシャーム・サックルITTO事務局長は、今日この日に語りました。

本日6月27日の零細・中小企業デーは、持続可能な開発目標の達成に向けた零細・中小企業の多大な貢献に対する認識を高めるため、国連が定めた日です。

零細・中小企業の定義はさまざまですが、一般的には、従業員数が10人未満を「零細」、10~49人を「小規模」、50~300人を「中規模」とします。零細・中小企業は、ほぼすべての経済の屋台骨であり、世界全体の企業の90%、雇用の60~70%、国内総生産の50%を占めると推定されています。零細・中小企業は、ワーキングプア、女性、若者や、脆弱な状況に置かれたグループの生活にとって、特に重要です。

零細・中小企業はまた、熱帯林業においても重要な役割を担っています。

「零細・中小企業はほとんどの熱帯諸国において重要な開発の主体であり、それらの企業が森林関連の雇用の半分以上、最大90%を生み出している国々もあります。」「零細・中小企業は機敏で適応力があり、この変化の激しい時代には欠かせない存在です。」とサックル事務局長は述べました。

しかし、大企業と比較すると、零細・中小企業には特有の不利な点もあります。零細・中小企業は、資金調達が難しく、交渉力や市場力が低く、資源の権利や新しい技術へのアクセスが難しいことがあります。

「熱帯林セクターの零細・中小企業の大半は、収益性を確保するために多くの困難に直面するため、経済的に立ち行かなくなることが最大の懸念事項です。」とサックル事務局長は語ります。「しかし、零細・中小企業は経済的にも、森林経営の面でも、困難な大変な仕事に従事しているのです。」

ITTOの政策活動は、零細・中小企業が財務的な持続可能性を高めるためのメカニズムの特定に貢献しています。

例えば、ITTOの出版物であるアラン・カーセンティ著「持続可能な森林経営(SFM)に向けた財政・非財政奨励策(Fiscal and Non-fiscal Incentives for Sustainable Forest Management)」(英語)では、零細・中小企業の収益性を高め、持続可能な森林経営を実施するインセンティブを与えるためのさまざまな潜在的措置が示されています。例えば、小規模農業従事者が木や土地の所有権を取得するためのプロセスを簡素化すること、小規模私有林業を支援するためにコミュニティ、世帯、家族の森林所有権を優先的に認めること、小規模非正規伐採者が正規経済に参入できるようにすること、小規模木材加工業者が産業用製材所の廃棄物を利用できるような供給契約を奨励することなどが挙げられます。

多数のITTOプロジェクトでも、森林に関わる零細・中小企業の発展を支援してきました。例えば、グアテマラのプロジェクト[PD 756/14 Rev.1(M)](英語)では、19の零細・中小企業が正式に国家森林登録簿に登録し、同国の正式な経済の一部となれるように支援しました。これらの零細・中小企業は、新たに習得した経営マネジメントスキルを活用して、森林を活用した事業の収益性と効率性を向上させました。より広範な面では、このプロジェクトは、零細・中小企業が成功する可能性を最大限に高められるよう、同国の事業環境と規制環境を強化しました(プロジェクトに参加した零細・中小企業のひとつ、サカラ(Sacalá)に関するビデオはこちら(英語))。

サックル事務局長は「森林セクターに前向きな変化をもたらす零細・中小企業の力は計り知れませんが、その力を発揮させる必要があります。各国は、零細・中小企業が組織化して発言力を高めることを可能にするとともに奨励すること、そして研修を通じて零細・中小企業の能力を開発することをはじめとしたより良い政策を通じて、零細・中小企業の成功を強化することができます。」と述べました。ITTOのプロジェクト・プログラムは、零細・中小企業のニーズを満たすことを目的としており、私たちはさらなる事業に取り組む準備ができています。

「零細・中小企業sはほとんどの熱帯諸国において重要な開発エージェントであり、森林関連の雇用の半分以上、国によっては90%以上を生み出しています。」「零細・中小企業は機敏で順応性があり、この変化の激しい時代には欠かせない存在です。」とサックル事務局長は述べました。

関連するSDGs

零細・中小企業は熱帯地域の森林関連雇用の半分以上を生み出し、特に貧困層や周縁化された人々にとって、働き甲斐のある人間らしい仕事であるディーセントワークを確保するために不可欠です。中小企業は経済成長の重要な原動力です。

森林に関わる零細・中小企業は機敏で革新的であり、特に持続可能な開発目標の達成に不可欠な組織であれば、森林セクターにおける前向きな変化を促進することができる。