インドネシアとペルーの森林火災管理の改善を支援するITTOプロジェクト

2023年5月4日

インドネシア、南スマトラ州で実施した消防団への火災管理に関する訓練。写真:ITTO火災管理プロジェクト

2023年5月4日、横浜:2つのITTOプロジェクトは、総合的な火災管理によって、熱帯林と森林に住むコミュニティに山火事がもたらす脅威をどのように対処できるかを示しました。地域社会の安全を確保するために消防士が払う犠牲を認識し称えるための国際消防士の日に、2つのプロジェクトを紹介します。

森林の山火事は世界中でますます増加しており、過去20年間で世界の森林減少の4分の1以上の原因となっています。[1] また、気候や土地利用に関連した様々な理由から、熱帯林が山火事の影響を受けやすくなっています。

シャーム・サックルITTO事務局長は、「熱帯地方の森林火災に対処するためには、もっと多くの取り組みを行うことが不可欠です。」と述べました。「森林火災は、人命の損失、森林の生物多様性への脅威、大気汚染、貴重な資産の破壊を引き起こします。このままでは、リスクは高まるばかりです。」

日本政府からの資金援助のもとで実施された2つの最近のITTOプロジェクトは、いずれも変化をもたらしています。

インドネシアでは、ITTOプロジェクトPP-A/56-340-1「インドネシアにおける森林・土地火災の管理に関するキャパシティビルディング(Capacity building on forest and land fire management in Indonesia)」が、地元コミュニティでゼロ・バーニングと呼ばれる手法の実践に関する大規模なトレーニングを行い、8つの実証圃場を設置しました。さらに、南スマトラ州、中央カリマンタン州、南カリマンタン州の森林消防隊に対して、火災管理訓練を行い、機材を提供しました。ITTOプロジェクトで開発された「火災防止のための統合的土地整備」アプローチは、現在、森林火災予防のための国家政策となり、国全体で徐々に採用されています。

また、プロジェクトでは、山火事の予防、発見、早期鎮圧をより効果的に行うために、79のパラメータに基づいて防火パトロールの行動をリアルタイムで記録・報告する「防火のためのシステム監視・報告技術(System Monitoring and Reporting Technology for Fire Prevention: SMART)」の立ち上げを支援しました。このプロジェクトは、マンガラ・アグニ旅団による防火管理実施を支援するために、安全装置やその他の機器の提供をはじめ多数の貢献を行いました。

ペルーでは、ITTOプロジェクトPP-A/56-340-2「ペルーの熱帯林および森林プランテーションにおける森林火災予防・対応(Forest fire prevention and response in tropical forests and forest plantations in Peru)」が、カハマルカ県、ワヌコ県、フニン県、パスコ県、ウカヤリ県で行われました。プロジェクトでは特に、森林火災の予防と対応において、国、地域当局、地域コミュニティ間の連携と協力を強化しました。また、5つの県のボランティア消防団と協力し、森林火災への対応に関する研修や適切な資材の提供を通じて、消防団を強化しました。また、地元や先住民族のコミュニティも火災予防と対応ネットワークへの参加を促しました。

「ITTOは以前より、森林火災の破壊的な力に対抗するため、統合的な火災管理を提唱してきました。」とサックル事務局長は語りました。「この2つのプロジェクトは、統合的な火災管理のアプローチがいかに効果的であるかを示しています。私たちは、ドナーを含む他の国々に対し、熱帯地域全体の森林火災管理を改善するために必要な資源を投入するよう強く求めます。」

 

[1] www.wri.org/insights/global-trends-forest-fires

関連するSDGs

熱帯林は地球の健康にとって不可欠な生態系であり、統合的な火災管理は森林保全と持続可能な利用に不可欠です。統合的な火災管理における国や地域の能力を強化することで、森林火災の発生を減少させることができます。
森林火災は大気中に炭素を放出するため、統合的な火災管理は、気候変動との闘いに不可欠です。

火災予防は社会全体のパートナーシップが必要であり、特に森林コミュニティ、産業界、政府、国際機関が関与することによって、統合的な火災管理を実現することができます。