国際生物多様性の日:持続可能な熱帯林業の重要性の認知向上に向けて

2022年5月22日

インドネシアのタンココ国立公園の蝶。生物多様性の保全と活気に満ちた木材セクターは本来矛盾するものではありません。ITTOが1980年代から推進してきた持続可能な林業が、その鍵となります。写真: E. Odareeva/Pond5

2022年5月22日、横浜: 生物多様性が脅かされ、100万種もの生物が絶滅の危機に瀕しています。私たちの貴重な生物相を保護するために不可欠な役割を果たす持続可能な森林経営(sustainable forest management: SFM)の強化は、国際生物多様性の日の今日、これまで以上に喫緊の課題になっています。この重要な取り組みに関して、ITTOが熱帯地方で担う役割について、ぜひご一読ください。

今年の国際生物多様性の日のテーマ「すべてのいのちと共にある未来へ」は、生物多様性の保全と持続可能な開発目標(SDGs)の達成、そして、新型コロナウイルス感染症後のより良い回復(ビルド・バック・ベター)のための自然を基盤とした解決策の重要性を表すものです。

熱帯林は、世界の陸域生物多様性の4分の3を宿します。また、陸域生物多様性の大部分は保護区の外に存在しているため、生産林での出来事は非常に重要です。

熱帯地方での持続可能な森林伐採はしばしば、森林破壊と生物多様性保全に対する大きな脅威として誤解されます。しかし、合法的かつ持続可能な方法で経営された熱帯林から木材や林産物を収穫することは、森林破壊ではありません。持続可能な森林経営(SFM)は、社会・環境的な保護措置を尊重しながら、生産林の森林景観における生物多様性の保全を支援し、収益と雇用を創出します。林産物の経済的および環境的な持続可能性を確保することは、生物多様性の保全と持続可能な開発に向けた戦略的アプローチの一つです。

「生物多様性の保全と、木材セクターの活性化は、本来矛盾するものではありません。鍵となるのは持続可能な森林経営です。」とITTOのシャーム・サックル事務局長は述べます。「熱帯生産林の景観を持続可能なかたちで利用することは、世界の生物多様性と森林に関わる何百万人もの人々の未来にとって、極めて重要です。」

ITTOは設立以来、生物多様性の保全と森林に関わる人々に経済的機会を創出することを目的として、政策を策定し、プロジェクトに資金を提供してきました。活動の一例として、国際自然保護連合(IUCN)と協力して発行した『熱帯生産林における生物多様性のためのITTO・IUCNの共同ガイドライン』(英語)が挙げられます。このガイドラインは、先住民族と地域社会の完全な参加を確保し、伝統的および科学的知識の両方を尊重し、活用しながら、生産林における生物多様性保全のための目標を費用対効果の高い方法で達成するために、森林経営者が実行すべき取り組みを示しています。

2010年には、生物多様性条約(CBD)とともに、熱帯林における生物多様性損失の2つの主要な要因である森林減少と森林劣化に取り組むことにより、熱帯林における生物多様性保全を改善することを目標に、「熱帯林の生物多様性保全のためのITTO/CBD共同イニシアティブ」を開始しました。

この共同イニシアティブは、現在までに、熱帯地域の23カ国で16のプロジェクトを実施しています。これらのすべての国は、森林と生物多様性の損失を経験しており、森林に関わる人々が多くいます。16のプロジェクトの総予算は、1,300万米ドルと控えめですが、最近の技術レビュー(英語)では、地域の生計と森林経営の改善、劣化した森林景観の回復、生物多様性の保全において並外れた成功を収めていることがわかりました。注目すべき成果としては、ペルーのマングローブ保護地域の規模を70万ヘクタール以上拡大したことや、中央アフリカの林業従事者と技術者400人以上にSFMに関する教育とトレーニングを提供したこと、カンボジアとタイの間のエメラルド・トライアングルでこれまで困難であった越境協力を可能にしたこと、フィジーでマングローブ林130ヘクタールを復元したことなどが挙げられます。

ITTOとCBDの協力は、愛知目標(Aichi Biodiversity Targets)に関して、特に意識向上に関する目標1、生息地の劣化や損失の削減に関する目標5、SFMに関する目標7、保護地域の管理に関する目標11、絶滅危惧種の保全に関する目標12、生態系サービスの回復と保護に関する目標14に貢献してきました。また、持続可能な開発目標(SDGs)の多くにも貢献してきました。

熱帯地方における持続可能な林業を奨励するITTOの活動は、生物多様性の保全に様々なポジティブな影響を与えています。例えば、ペルーとインドネシアで進行中の2つの森林火災イニシアティブ(英語)では、火災予防と消火能力の向上、早期対応システムの開発、および社会への啓発を通じて、山火事の脅威に取り組んでいます。これは、生物多様性の保全、特に野生生物や自然の生息地の保全に有益です。

ITTOはまた、持続可能な木材生産を維持しつつ、熱帯生産林景観における生物多様性と生態系サービスを強化することを目指すプログラムラインを試験的に実施しています。持続可能な方法で経営された木材生産のための森林が、生物多様性保全の主要なリソースであることを示唆する証拠が見られています。実際に、森林は非常に重要な役割を果たしているのです。