熱帯林を価値を生む存在にできないなら、森林消失の覚悟が必要

2022年5月2日, 韓国、ソウル

第15回世界林業会議の初日、「森林に関する協調パートナーシップに関する対話」で発言をするシャーム・サックルITTO事務局長。写真: Hwan Ok Ma/ITTO

2022年52日、韓国、ソウル: 第15回世界林業会議の開催初日、シャーム・サックルITTO事務局長は、熱帯林が他の土地利用と比較して適切な収入を生み出すため、さらに熱帯林の保全を確実にするためには、持続可能な資金調達と分野横断的な協力が極めて重要であると述べました。

第15回世界林業会議は、「森林のある緑豊かで健康的で強靭な未来の構築」というテーマで開催されています。本会議は、特に新型コロナウイルス感染症のパンデミックからの回復と持続可能な開発目標(SDGs)の達成という観点から、国際社会が世界の林業の現状と未来を検討するためのものです。ITTOは、様々なセッション、特別イベント、サイドイベント、展示会への参加を通じて、会議で大きな存在感を示しています。

「持続可能な資金調達と、農業、鉱業、林業間の分野横断的な協力は、天然熱帯林の保全の鍵になります。熱帯地方の景観回復を拡大し、経済的利益および環境的、社会的保護を確保するためには、統合的なアプローチが必要です。」とサックル事務局長は述べました。「熱帯林が持続可能かつ十分な収入を生み出すことができれば、他の土地利用の形態に変えられることなく、維持されるでしょう。」

サックル事務局長は、サブテーマ6のセッション1「国際林業における景観アプローチと協力のための基盤構築」と「森林に関する協調パートナーシップに関する対話」の「気候変動、紛争、食料不安―危機の影響に対処するための森林に基づく解決策」でも講演を行いました。サックル氏は、熱帯林は持続可能な方法で経営されれば、土壌と水を保全し、空気をろ過し、土地の劣化と砂漠化を防ぎ、洪水、地すべり、干ばつ、その他の災害のリスクを軽減し、土地の生産性を維持し、地域社会に切望されている木材、収入、資材を提供すると強調しました。

またサックル氏は議論の中で、ガバナンス、熱帯地方における木材産業の役割、若者、女性、先住民コミュニティの将来、小規模かつ拡大可能なプロジェクト、武力紛争の影響に関する質問にも対応しました。さらに、熱帯林セクターは過去40年間で劇的に変化し、多くの熱帯諸国でよく組織されているが、グッド・ガバナンスに関しては政府の支援が不可欠であると指摘しました。

サックル氏は、「バイオエコノミー」と「自然を基盤とした解決策」は、より環境に優しく、より健康的で、より強靭な社会を構築するための手段として注目されてはいるが、具体例の提示が重要であると主張しました。しばしば当然のこととして受け止められていますが、最も環境にやさしい建設資材である木材を提供するという点から、持続可能な森林経営はその具体例の一つとして挙げることができます。「持続可能な森林伐採は森林破壊ではなく、木材の安全保障であり、木材は相応な価値を与えられるべきです。」とサックル氏は述べました。