ITTC議長「新型コロナウイルス感染症が森林と森林に関わる人々が果たす重要な役割を脅かしている」

2020年11月9日(月)の主な協議内容
スウェーデンの執務室からビョルン・マルケル(Björn Merkell)議長が初のオンライン開催となる国際熱帯木材理事会(ITTC)の開会挨拶を行った。

 

2020年11月10日(火):オンラインで開催された第56回国際熱帯木材理事会(International Tropical Timber Council:ITTC)の開会式でビョルン・マルケル(Björn Merkell)議長は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、良好な森林、先住民族、小規模森林所有者、地域住民が果たす非常に重要な役割が明らかになった一方、熱帯林や熱帯林に大きく関わる人々への脅威が増幅されています、と述べました。

マルケル氏は、「新型コロナウイルス感染症の拡大は世界的な健康危機であるだけでなく、世界の生産活動に負の影響を与えており、各地で何百万もの企業が倒産に追い込まれています。特に中小企業に大きな影響が及んでいます。」と述べました。

世界の木材サプライチェーンは著しく停滞していることが報告されており、その脆弱性が表面化し、何千人もの従事者が解雇され需要は急激に落ち込みました、とマルケル氏は話しました。マルケル氏はITTO委託によるモデル分析に触れ、熱帯木材セクターが新型コロナウイルス感染症拡大以前の生産量まで回復することは2026年までないかもしれないと述べました。人々が住処を求めて農村地域の故郷に移り住むにつれ、熱帯林への負担が増大し、関連して食料、繊維、エネルギーといった住民のニーズを支えるための森林資源の利用が増えている点を指摘しました。

ゲァハート・ディタレITTO事務局長は同じくITTC初日に発言し、新型コロナウイルス感染症についてのマルケル氏の見解に同調しました。

「この危機は日々進化しており、森林産業や国内外の市場に深刻な影響をもたらすでしょう。さらに、これまで以上に増大する森林への負担、持続可能基準を満たすにあたっての困難、生物多様性を保全するのに不足する資金、森林ガバナンスといった既存の課題を増幅させつつあります。」とディタレ博士は述べました。

ディタレ博士は、新型コロナウイルス感染症の拡大は人間系と自然系との関係の崩壊の結果であり、従って同感染症対策として生態系の保全とその機能の維持がなされなければならないと述べました。

マルケル氏は、新型コロナウイルス感染症の拡大は、ITTOにとって「国連生態系回復の10年(UN Decade on Ecosystem Restoration)」の一環として劣化した森林生態系の広範囲に渡る再生を推進し、持続可能かつ強靭な社会を再構築(build back better)するための資材としての木材を促進する取組を強化する一層の弾みとなりました、と発言しました。

マルケル氏は、「ITTOは熱帯林セクターの回復を支えるのにふさわしい機関です。」と話しました。さらに、熱帯林に携わる関係者がこの難局を乗り越えるためにITTOが貢献できる方法として、熱帯木材市場に関する信頼できる情報の提供、持続可能な森林経営、景観再生、合法かつ持続可能なサプライチェーンの優良事例の促進、国主導によるプロジェクトに対する資金協力をあげました。

第56回国際熱帯木材理事会(ITTC)は、当初ITTOの事務局が所在する横浜市での開催が予定されていましたが、新型コロナウイルス感染症の世界的流行による長引く急場のため、ITTC史上初めてオンラインで招集されています。林琢己横浜市副市長はITTCに向けた挨拶にて横浜市とITTOが30年以上に渡って築いてきた緊密な関係や熱帯林に対する国際協力や環境保全に関する共同啓発活動について話しました。

初日にはITTOのシャーム・サックル事務局次長より、あらゆる法的措置を尽くすためのITTCの指示で、ITTO事務局はITTOの財務損失に関わった関係者に対する最終手段として日本国最高裁判所に対して上訴申し立てを行ったことを報告しました。減損に関係があるとされる元職員2名に対する訴訟告知が係属中であることも伝えられました。


ITTCは毎年開催され(同年に複数回開催される場合もあります)、持続可能な熱帯林経営の促進と持続可能な方法で生産された熱帯木材の貿易の促進を目指して幅広い事項が議論されます。


国際持続可能研究所(International Institute for Sustainable Development:IISD)リポーティングサービスによるITTCの報告(毎日更新、英語)は以下のウェブサイトにて閲覧できます:https://enb.iisd.org/forestry/itto/ittc56/

林琢己横浜市副市長が第56回ITTC参加者を歓迎
ITTCの初のオンライン会議が機械上のトラブルなく進むようITTO事務局職員がサポート。写真撮影:R. Carrillo/ITTO
ゲァハート・ディタレITTO事務局長はスウェーデンから新型コロナウイルス感染症の拡大は森林産業や国内外の市場に深刻な影響を及ぼしたと述べた
第56回国際熱帯木材理事会(ITTC)は今次初のオンライン開催
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