ITTO事務局長、プログラム・アプローチに基づき供与された資金協力の概要を示す

2020年11月10日(火)の主な協議内容
ガーナにて、地元の女性がITTOプロジェクトで整備された地域苗床で作業している。写真撮影:E. Foli/FORIG

2020年11月10日(火):今週オンライン開催されている第56回国際熱帯木材理事会(ITTC)の2日目では、ITTOの新規プログラム・アプローチに沿った多様な活動に対して2019年~2020年期におよそ700万ドルを調達したとの発表がゲァハート・ディタレITTO事務局長よりなされました。

ディタレ博士は、ITTOの活動に対する任意拠出金は10年以上減少傾向にあると強調し、資金協力につなげるITTOの仕組みを再評価する必要性を示しました。ITTC決議により2022年まで試行されているプログラム・アプローチには次の4つのプログラム「ライン」があります:1) 合法かつ持続可能なサプライチェーン 、2)生物多様性と生態系サービスの保全、3)森林景観再生と強靭性のある暮らし、4)新たな課題と改革。

ディタレ博士は、ITTC第1日目で行なった新型コロナウイルス感染症に関する自身の発言を参照し、「ITTOの新しい試行プログラム・アプローチがこの危機的状況の中で迅速かつ焦点を絞った形で加盟国のニーズに応える強固な基盤となると信じています。」と述べました。

第2日目ではディタレ博士より2019年~2020年期に資金供与された7活動が紹介されました(以下の表を参照)

活動

協力機関

プログラム
ライン

暫定予算

進捗状況

2019年

コンゴ川流域諸国における研修モジュール(Training modules in Congo Basin countries)

日本国
林野庁

1

 

  31.6万USドル

 

 承認済み、
 2020年4月1日~
 実施中

地域別チークプログラム – メコン圏(Regional Teak Programme – Mekong Subregion)

BMEL

1

 

 124万USドル

 

 承認済み、実施中

熱帯木材および森林製品の合法かつ持続可能なサプライチェーンプログラム(Programme on Legal and Sustainable Supply Chains for Tropical Wood and Forest Products)

BMEL

1

 

 239 万USドル

 

 承認済み、実施中

2020年

国際森林教育(国連食糧農業機関(FAO、主導機関)および国際森林研究機関連合(International Union of Forest Research Organizations:IUFRO)連携)(Global Forest Education)

BMEL

4

 

 12.4万USドル

 

 承認済み、
 ITTOへ資金送金完了待ち

日本緊急森林火災プロジェクト(ペルー、インドネシア)

 

4

2.2百万USドル

承認済み、
資金送金済み

地域住民と気候変動適応(トーゴ)(Local community and climate adaptation)

創価学会

2

 

9万3千USドル

承認済み、
資金送金済み

中国、ミャンマー、ベトナムにおける合法化かつ持続可能なサプライチェーン関連活動(Legal and sustainable supply chain-related activities in China, Myanmar and Viet Nam)

日本国
林野庁

1

72万3千USドル

承認済み、
資金送金済み

総確定供与額(概算)

 

 

 

 709万USドル(2019年分:
 3.95百万ドル、
 2020年分:
 3.14百万ドル)

 

注:BMEL:ドイツ連邦食糧・農業省

その他、ディタレ博士の発表では、事務局による提出済みで協力機関が検討中の資金協力申請書が示され、プログラムの成果を評価するための階層型基準・指標の設定といった、完了保証を必要とするプログラム・アプローチの要素が言及され、プログラム・アプローチ試行にかかるITTC決議の実施状況が示され、実施中のITTOと他の国際機関やプロセスとの協働活動の概要が述べられました。

ディタレ博士の発表後、コスタリカ、日本、ペルーなど数加盟国が登壇しました。

ITTOの新規資金協力構造の実施にかかる臨時ワーキンググループ(Ad Hoc Working Group on Implementation of ITTO’s New Financing Architecture)による報告は今次ITTCにて発表・議論がなされる予定です。本件およびその他の議題に関する全体協議内容は第56回ITTCの最終報告書にまとめられる予定です。

第2日目のその他の協議内容:

  • ビョルン・メルケル(Björn Merkell)議長は、マレーシア木材産業委局(Malaysian Timber Industry Board)事務局長のKheiruddin Rani氏(マレーシア)がITTC副議長に指名されたと発表。
  • 資格審査委員会(Credentials Committee)から、今次ITTCでは定足数に達していない旨が報告。
  • 事務局から、国際熱帯木材協定2006年(International Tropical Timber Agreement:ITTA 2006)の延長または再交渉の手順について報告があり、理事会はその意味を議論。生産国と消費国の代表者は同協定の5年延長に向けた幅広い支援を示しましたが、ITTA 2006が失効する2021年12月6日に先立つ2021年中に正式なITTC決議ができるように国内・法的手続きを完了するためにはさらに時間を要する加盟国があると報告。

ITTCは毎年開催され(同年に複数回開催される場合もあります)、持続可能な熱帯林経営の促進と持続可能な方法で生産された熱帯木材の貿易の促進を目指して幅広い事項が議論されます。

国際持続可能性開発研究所(International Institute for Sustainable Development:IISD)リポーティングサービスによるITTCの報告(毎日更新、英語)は以下のウェブサイトにて閲覧できます:
https://enb.iisd.org/forestry/itto/ittc56/

Aysha Ghadiali 資格審査委員会議長が第56 回ITTCの第2日目に報告を行う
ガーナ代表のMohammed Nurudeen Iddrisu氏が第56 回ITTCの第2日目に発言
フィリピン代表のRay Thomass Kabigting氏(右)が第56 回ITTCの第2日目に発言
コロンビア代表のSebastián Acosta Triana氏が第56 回ITTCの第2日目に発言
マレーシア代表のPubadi a/l Govindasamy氏が第56 回ITTCの第2日目に発言
ベナン代表のSinagabé O. Ulysse Korogone氏が第56 回ITTCの第2日目に発言
欧州連合(EU)代表のHugo-Maria Schally氏が第56 回ITTCの第2日目に発言
消費国を代表してLuke Thompson氏が第56 回ITTCの第2日目に発言
生産国を代表してJorge Malleux氏が第56 回ITTCの第2日目に発言