2020年のフェローシップ授与者20名がITTCにて決定へ

2020年11月12日(木)の主な協議内容
2019年の国際森林研究機関連合(International Union of Forest Research Organizations:IUFRO)世界大会にて、ITTOフェローシップ授与者(フェロー)のアナ・ルイザ・ビオラート氏がゲァハート・ディタレITTO事務局長とポーズを取る。ビオラート氏はITTOのフェローシップを活用してブラジル・アマゾン地域に所在する持続的利用を目指す6か所の森林にて利用者間の地域交流を企画し、住民主体型の森林経営について社会的学習を促進する博士研究を行なった。写真撮影:R. Carrillo/ITTO

2020年11月12日(木):2020年のITTOフェローシップ選考委員会(ITTO Fellowship Selection Panel)は電子招集され、第56回国際熱帯木材理事会(ITTC)での20名へのITTOフェローシップ授与を推薦しました。本年の授与者(フェロー)は生産国から14名、消費国から1名で、全授与者の45パーセントを占める9名が女性です。フェローシップの付与総額はおよそ14.5万USドルです。

ITTOは加盟国の熱帯林業や関連学問領域における人材開発を促進し専門知識を強化するために、フリーザイラー・フェローシップ基金(Freezailah Fellowship Fund)を通して奨学金を提供しています。目的は、持続可能な熱帯林経営、熱帯木材の効率的な利用および加工、熱帯木材の国際貿易に関する経済情報の改善において将来世代の専門性構築を振興することです。

本年授与されるフェローシップを、13名はREDD+の可能性評価から劣化した自然熱帯林の再生に至るまで幅広い研究課題における大学院の学位取得に、3名は先駆種としての外来種利用による森林再生の経済的側面に関するなど技術論文の執筆に、3名は持続可能な自然林生態系管理の促進と地域住民の生計確保を目的とした森林慣習を評価する現地調査としてのスタディツアーなどスタディツアーの実施に、1名はプロジェクトのモニタリング・評価に関する短期課程受講に活用します。

今週オンライン開催されている今次ITTCで盛況を呈した第4日目、事務局のシャーム・サックル事務局次長がITTCに対してITTOフェローシップ選考委員会の報告書を発表しました。ITTCは同委員会の推薦を検討し、閉会前までに授与者を最終決定します。

家具貿易にかかる調査報告

第4日目には、経済、統計、市場に関する委員会(Committee on Economics, Statistics and Markets:CEM)と林産業に関する委員会(Committee on Forest Industry:CFI)が前日の会合に続き再び招集されました。主に、欧州連合(EU)の資金協力を受けてITTOが実施するプロジェクトである独立市場監視(Independent Market Monitor:IMM)の活動についての報告書を受理しました。

コンサルタントであるサラ・ストーク氏は、家具セクターに関するIMMの最新調査について報告(英語)を行いました。同調査はアジア地域の家具製造企業やヨーロッパ地域の家具の仕入れ担当者に対する聞き取り調査ならびに貿易情報アナリストや専門家の意見を参考としたものです。同調査では主に、ヨーロッパの家具業者が購入決定をする際、質の次に「合法性保証(assurance of legality)」を重視することが判りました。これは、EUの森林法施行・ガバナンス・貿易(Forest Law Enforcement, Governance and Trade:FLEGT)プログラムにとって励みになります、とストーク氏は述べました。同調査では、EU域内の家具業者の中では、わずかな違法リスクの証明が最も容易であるのはインドネシア、最も困難であるのは中国であると認識されていることが判りました。

さらに、両委員会の合同会合では森林セクターへの投資にかかるIMMの調査報告書(英語)および2019年の認証熱帯林面積に関する事務局提供の情報が受理されました。

越境保全プロジェクトに対する再審査が行われる

タニンダーリ(Tanintharyi)生態域(エコリージョン)の自然林。写真撮影:P.P. Lwin

第4日には、再造林と森林経営の委員会(Committee on Reforestation and Forest Management)も招集され、プロジェクトや政策活動について幅広く議論がなされました。中でも、ITTCに対して5件のプロジェクトと1件の事前プロジェクトへの即時の資金協力が推薦されました。

再造林と森林経営の委員会は最近終了した2件のプロジェクトの再審査を行い、両方を完了と宣言しました。ITTO事務局のフアン・オク・マプロジェクトオフィサーは、この内、生物多様性保全に対するミャンマーの国全体の能力強化を目指し設計されたプロジェクトについて報告しました。

タニンダーリ山脈(Tanintharyi Mountain Range)はミャンマーとタイの国境に位置する山脈で、極めて多様な鳥類と哺乳類が生息する世界的にも重要な陸域生態域です。ここにはキティブタバナコウモリ(Kitti’s hog nose bat)という世界最小の哺乳類種も生息しています。実施プロジェクトはタニンダーリ山脈地域の越境保全協力の強化を目的とした長期に渡る取組の一環で行われ、その活動は、生物多様性および社会経済調査の実施、生物多様性モニタリングについての林業局(Forestry Department)職員や地域住民に対する研修、同地域の越境生物多様性保全に向けた初期制度メカニズムの立ち上げ、持続可能な地域の人々の暮らしの向上に資する活動の実施です。

神聖な森のプロジェクトが完了

最近完了したベナンでのITTOプロジェクトでは、162ヘクタールに上る42か所の神聖な森に15,300の在来種子が植えられ豊かになった。写真では、地元の男性が Wlenanzoun神聖な森でガルシニア・コラ(Garcinia kola)という薬草を植えている。写真撮影:B.Bossou/CESAREN

ITTO事務局のポリカープ・マスパプロジェクトオフィサーは、第4日目に再審査を受けた2件目のプロジェクトの目標は、熱帯林ニューズレター(Tropical Forest Update:TFU)29巻2号にて取り上げらたように、宗教上重要な森林を再生し地元住民の収入を増やすために関係者の能力強化を行い、南部ベナンの2か所のラムサール条約湿地の神聖な森の経営を改善させることです、と報告しました。

木材の追跡プロジェクトとマングローブ保全プロジェクトが終了

パナマ・ダリエン(Darién)にて、森林監査官が丸太置き場でタグを付けている。ITTOプロジェクトが開発したパナマの新規木材追跡システムにより、森林から製材所やそれ以降の運搬地までの木材の追跡が可能となる。写真撮影:B. García ITTOのテーマ別プログラムのプロジェクト2件が終了しました。1件目は、パナマで木材追跡システムの整備に協力したもので(TFU29巻2号で本件を取上げています。また下のビデオを参照下さい)、試行地域での透明性が向上し木材の流れにおける合法性が確保され、既にパナマ環境省(Ministry of Environment)が有益と認めるツールとなっています。


2件目はグアテマラで実施され、同国のマングローブ林資源の保全と持続可能な管理を目的とした国家戦略の策定に協力しました。この戦略は、2019年に持続可能なマングローブ林管理にかかる全国的な規制の成立につながりました。同プロジェクトでは、試行活動を行なった4か所のマングローブ林地帯の13コミュニティに対してマングローブ林の保全、修復、持続可能な利用に関する能力強化を行いました。

ITTOプロジェクトでグアテマラのエスクイントラ県(Escuintla)イスタパ市(Iztapa)のマングローブ林の生態系回復が開始された。写真撮影:A. Lopez

二ヶ年事業計画(Biennial Work Programme)

ITTCでは現在のITTO二カ年事業計画(Biennial Work Programme:BWP)の実施ならびに改訂2021~2022年BWPについても話し合われました。提案されているBWPは、次の5つのテーマに関する24の活動が盛り込んでいます:1)現場思考の活動、2)規範的活動、3)協働、4)コミュニケーションとアウトリーチ、5)分析、統計その他の継続的活動。総予算は主要事業運営費として186万ドル、任意拠出金として435万ドルです。ITTCメンバーからは、世界木材追跡ネットワーク(Global Timber Tracking Network)の運営をITTOが引き継ぐという提案、合法かつ持続可能なサプライチェーンと市場アクセスに関する教育カリキュラムの開発にかかるITTOの活動、新型コロナウイルス感染症の拡大が熱帯林に関わる地域住民や熱帯林セクターに及ぼした影響への対策としてBWPが強化されうるか否かについてさらなる説明が求められました。

非公開会合

第4日目には、ITTO加盟国代表者が非公開会合を開き、現ITTO事務局長であるディタレ博士の任期延長を認めるか否かを審議しました。

ITTCは毎年開催され(同年に複数回開催される場合もあります)、持続可能な熱帯林経営の促進と持続可能な方法で生産された熱帯木材の貿易の促進を目指して幅広い事項が議論されます。

国際持続可能研究所(International Institute for Sustainable Development:IISD)リポーティングサービスによるITTCの報告(毎日更新、英語)は以下のウェブサイトにて閲覧できます:
https://enb.iisd.org/forestry/itto/ittc56/

コンピューターのモニターにはオンライン開催の第56回国際熱帯木材理事会(ITTC)で使用されているクドー(Kudo)オンライン会議システムが映っている。写真撮影:R. Carrillo/ITTO
インドネシア代表のSIgit Pramoto氏が経済、統計、市場に関する委員会(CEM)と林産業に関する委員会(CFI)の合同会合にて発言
第56回ITTCの第4日目、再造林と森林経営の委員会(Committee on Reforestation and Forest Management)会合中のITTOオフィサー。写真撮影:R. Carrillo/ITTO
第56回ITTCの第4日目、ゲァハート・ブルーマン氏が二ヶ年事業計画(Biennial Work Programme)およびテーマ別プログラムについて報告を、シャーム・サックル事務局次長が2020年のITTOフェローシップについて発表を行なった。写真撮影:R. Carrillo/ITTO
日本国代表の福田淳氏が再造林と森林経営の委員会の会合にて発言
コートジボワール代表のMailly née Zouzou Elvire Joelle氏が第56回ITTCの第3日目に発言
ガーナ代表のMohammed Nurudeen Iddrisu氏が第56回ITTCの第4日目に発言
EU代表のHugo-Maria Schally氏が第56回ITTCの第4日目に発言