インドネシアに竹の処理施設が開設

2018年4月4日

処理された竹の柱を背にして、竹処理施設の開所を祝う関係者。竹の耐久性が強化され、工業利用にとって重要なステップとなる。写真提供:ITTOプロジェクトPD 600/11 Rev.1(I)

インドネシアの東ヌサ・テンガラ県に新しい竹の処理施設が完成しました。この施設では、地元コミュニティが竹製品に付加価値を付けることで、収入増につながるように考えられています。また、この施設はITTOの技術的・財政的支援を受けて開発されたもので、非化学的で環境に優しい保存処理方法を用いて竹製品の寿命を延ばすことができるように設計されました。

竹を工業利用する際に保存処理を施すことは基本的なステップであり、このたびの竹の処理施設が開設したことで、インドネシアの地方経済の発展に大きな影響を与えることになります。こうしたことから、竹の生産者は製品に付加価値を与えることができ、その結果として雇用、市場アクセス、農村地域の所得増加が期待できます。また、竹資源の持続可能な経営促進にもつながっていくと考えられます。

この竹の処理施設はITTOプロジェクトPD 600/11 Rev.1 (I)「インドネシアにおける効率的かつ持続可能な竹資源利用のためのモデル能力強化」の成果として完成しました。同プロジェクトは、インドネシア環境林業省 研究開発イノベーション局(FOERDIA)とNGO「Environmental Bamboo Foundation」との共同で実施されています。

インドネシアは家や家具、手工芸品、楽器用の竹の使用において長い歴史と伝統を持っています。 竹は炭素を隔離し、環境に優しい再生可能な材料になります。この竹の処理施設は、竹の苗床やデモンストレーション・プロット、伝統的な竹音楽学校などを含む竹の野外学習センターに隣接する形で設置されています。 このセンターでは、ヌサ・テンガラ県の地元コミュニティが天然資源の価値を高め、より良い管理ができるように支援することを目的としています。こうしたセンターはインドネシア政府が推進する「1000バンブービレッジ」プログラムの一環として、他の地域でも同様の施設を建設することができます。これは同国の盛んな竹産業の発展をサポートするために計画されたものです。竹の保存センターの設立には、竹を含む土地所有者およびステークホルダーとして、女性が参加しています。

施設で使用される竹の煙の保存技術「Ecosote」は、竹の稈を高温に加熱する室で行われます。煙は、竹の中でデンプンを分解するために使用され、防虫効果が期待でき、耐久性が増します。この処理はまた、竹を黒くします。同保存施設では、6時間ごと(1ロットあたり約14 m3)に60本の竹細工(直径15cm、長さ6mまで)の処理が可能になります。また同地域の70世帯分の雇用創出が見込まれます。

この施設で処理した竹を利用して、地域の人々はストランド織りラミネーションと竹集成材を手掛けるCV Indobamboo社に対して、高付加価値製品を販売することが可能になります。このような竹は東ヌサ・テンガラ県ヌガダ地区のゴレワ・サブ地区にある約4000ヘクタールの地域の竹林から調達予定です。

3月22日にこの竹処理施設の開所式が行われ、FOERDIA事務局長のアグス・ジャスティアント博士の代理としてディレクターのシャイフル・アンワー博士らが出席しました。
 
ITTOプロジェクトPD 600/11 Rev.1(I)の詳細については、ITTOのプロジェクト検索プロジェクトのウエブサイ、およびFacebookページをそれぞれご覧ください。