パリ協定の実行にはREDD+の能力強化が不可欠と専門家が述べる

2016年11月24日

REDD+に関する経験の共有: 熱帯諸国におけるREDD+の実施に対する林野庁の継続的な取り組みについて強調する林野庁次長の沖 修司氏(演壇)。 (演壇左から:フアン・オク・マ博士(ITTO事務局)、 マリア J. サンツ博士(スペイン、バスク気候変動センター)、平田 泰雅博士(国立研究開発法人 森林総合研究所REDD研究開発センター)、ノヴィア・ウィドヤニングタヤス博士(インドネシア環境林業省)、エリザベス・フィリップ博士(マレーシア森林研究所)、チヴィン・レン氏(カンボジア環境省)、クワメ・アゲイ氏(ガーナ林業委員会)。 写真提供: T. Yanuariadi/ITTO

ITTOサイドイベントの発表者は、REDD+の測定、報告、そして検証フェーズにおいて、各国が同等の方法論を利用できるだけの能力を確保するためにはリソースと南南協力を拡大すべき時期が来ていると述べました。本イベントは11月17日に、モロッコのマラケシュで開催の国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第22回締約国会議において実施されました。

本サイドイベント「熱帯林におけるREDD+のための結果に基づく支払いを可能にする: 参照レベル設定から得た教訓」の発表者達によると、パリ協定第5条(気候変動の緩和と適応の課題に取り組む上での森林の役割に焦点を当てる)の達成のためには、さらなる能力ならびにリソースが森林参照排出レベル(FRELs)と森林参照レベル(FRLs)の質の維持と向上にとって必要だということです。  

今回講演したREDD+専門家は次の通りです。
  • マリア・ホセ・サンチェス博士(スペイン、バスク気候変動センター 科学ディレクター)
  • 平田泰雅博士(森林総合研究所 研究ディレクター , REDD研究開発センター長)
  • ノヴィア・ウィドヤニングタヤス博士(インドネシア環境林業省気候変動総局REDD+部門長)
  • エリザベス・フィリップ博士(マレーシア森林研究所)
  • チヴィン・レン氏(カンボジア環境省REDD+プログラムMRV/FRL担当)
  • クワメ・アゲイ氏(ガーナ林業委員会国家REDD+事務局シニアマネージャー)
 
サイドイベントでは、REDD+の結果に基づく報酬へアクセスするための課題を検討し、結果に基づく活動のためのREDD+事業や炭素貯蔵、全国・地方規模、森林の定義や歴史的傾向の期間という観点から熱帯諸国が提出した15件のFRELs・FRLs提案書の概要についての発表が行われました。
 
FRELs・FRLsの高度な技術的クオリティーに対する需要を認識していることから、提案されたFRELs・FRLsの技術的評価から得られた教訓についても本会議で共有しました。FRELs・FRLs提出に際しての透明性および完全性、FRELs・FRLSと森林モニタリングシステム間の整合性、そして各国の事情の違いから生じる森林を定義する際の時間の経過との比較などが教訓して挙げられています。
 
また、森林劣化を測定する技術的な問題についても徹底的に議論を行い、REDD+の完全実施に向けて、カンボジア、ガーナ、インドネシア、マレーシアにおけるFRELs・FRLsを構築する上での経験に耳を傾けました。そして、FRELs・FRLSを構築することは、国および地域の専門家や複数のステークホルダーとの協議により、段階的分析を含むREDD+の実施における重要な側面であることが述べられました。
 
さらには「透明性、正確性、完全性、一貫性と比較可能性」の原則や測定、報告および検証における「実用性と費用対効果」の概念の重要性についても指摘がありました。
 
本イベントは、国立研究開発法人 森林総合研究所REDD研究開発センター(日本)との共催、ならびにスペインのバスク気候変動センター、インドネシア環境森林省、カンボジア環境省、マレーシア森林研究所、ガーナ森林委員会の後援で開催され、政府関係者や二国間援助機関、研究機関や非政府組織からの代表者ら約80名が参加しました。

講演者発表資料(敬称略)