ITTO、熱帯林の管理者としての先住民族を称える

2025年8月9日, 横浜

松の葉を色鮮やかなブレスレットに編み込む女性。グアテマラのパツン地域にある「松の葉女性グループ」に所属。写真: ITTO

先住民族は、彼らの日常の生活における慣習によって、熱帯地域の持続可能な森林経営(SFM)に貢献する取組の中心的存在となっています。2025年の「世界の先住民の国際デー(International Day of the World’s Indigenous Peoples)」において、ITTOは世界中の先住民族コミュニティとのパートナーシップと、世界の熱帯林の経営と保全の共同推進を称えます。

先住民族は、人間と環境の強い関係を促進する独自の文化の継承者であり管理者です。彼らは、気候変動対策と持続可能な開発への価値ある貢献となる生態学的、経済的、社会文化的アプローチを維持してきました。

ITTOは先住民族グループと地域コミュニティとの協働に誇りを持ち、彼らが持続可能な森林経営(SFM)の推進に提供した独自の知識に感謝しています。 

グアテマラでは、ITTOのプロジェクト(動画)がパツンの先住民族コミュニティの発展に、知識共有を通じて貢献しました。これにより、消費財の製造に用いられる松の葉の収穫が促進されました。プロジェクトは女性のグループと協力し、収入創出の機会を創り、森林経営の改善を行い、先住民族の自己決定権の実現への道筋を描きました。.

松の葉女性グループの代表であるミリアム・コイ氏は、この取組を「私たちと家族にとって大きな助けとなりました。なぜなら、家庭に経済的な収入をもたらすからです。」と評しました。

グアテマラの森林は農業、不適切な森林経営方法、違法伐採の脅威にさらされているため、このようなプロジェクトは、地域経済の発展、伝統的なコミュニティの遺産の保護、森林資源への圧力の軽減のためには不可欠です。

コミュニティの能力強化、特に先住民族と地域コミュニティとの連携は、ITTOの持続可能な森林経営(SFM)の推進と合法かつ持続可能な木材貿易の促進という使命の中心的な存在となるものです。 

コロンビアのバホ・カリマ地域では、太平洋沿岸地域のアフリカ系コミュニティのコミュニティグループとITTOによる共同プロジェクト(動画)が、森林経営、保全、再生プログラムに取り組みました。

コロンビアのバホ・カリマ地域で現地視察を実施するASOPAMUPAコミュニティグループの女性たち。写真: Arie Klop/Universidad del Tolima

プロジェクトは、ワークショップや訓練演習を通じて地域能力の強化に焦点を当てていました。主要な目標の一つは、地域女性自身が資源を管理できるようにエンパワーすることでした。

「以前、女性はこのようなことができる存在と思われていなかったので、女性として、このプロジェクトから非常に恩恵を受けていると思います。私たちの社会では、女性はただの家事従事者として見られていました。」と、ASOPAMUPAコミュニティグループのリーダーであるジャックリン・アレグリアは述べました。

伝統的な先住民の知恵への尊重に基づく協働は、科学的知見を補完するだけでなく、持続可能な森林経営(SFM)が生計向上と文化保護に現実的な成果をもたらす可能性を具現化します。

この共創の精神、平等なパートナーシップ、自己決定権の尊重は、ITTOの環境・社会マンジメントガイドライン(Environmental and Social Management Guidelines)に組み込まれており、先住民族と地域コミュニティが森林の土地と資源に対する所有権、管理権、慣習的権利を完全に認識し支援することを約束しています。

「先住民族と地域コミュニティに森林資源を管理するツールを提供することは、農村部や経済的に不利な地域の人々の生計向上に貢献するとともに、熱帯林の有効な経営において伝統的知識が果たす重要な役割を浮き彫りにします。」と、シャーム・サックルITTO事務局長は述べています。

「ITTOにとって、先住民族と地域コミュニティとの意味のある関与とは、彼らのニーズを聞き、それに応えることです。それにより、私たちは、彼らの状況と文化に適切な機会を提供することができるのです。」