アフリカは、気候変動に対する自然に基づく解決策に関して、主導的役割を果たす可能性がある―TICAD9サイドイベントで専門家が指摘
2025年8月28日, 横浜

第9回アフリカ開発会議(TICAD9)のサイドイベント「森林に関する解決策の実現-持続可能な農業による森林減少抑制の未来」パネルディスカッションの登壇者たち。© Paula Sarigumba/ITTO
世界の森林減少への対応は、気候変動対策、貧困削減、食料安全保障に関連する目標をはじめとする持続可能な開発目標(SDGs)の達成において中核をなすものです。
2025年8月22日に開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD9)のサイドイベントにおいて、国連食糧農業機関(Food and Agriculture Organization of the United Nations: FAO)、林野庁、国連REDD/AFFイニシアティブ、国際熱帯木材機関(ITTO)は専門家を招集し、分野横断的な連携と共創された知識によってアフリカの進捗を加速させる方法を探りました。
アフリカには世界で最も豊かで生物多様性に富む森林生態系が存在し、降雨の調節や炭素の貯留から食料システム・農村生計の維持に至る重要なサービスを提供しています。FAO上級森林官のセレナ・フォルトゥナ氏は「アフリカの森林減少の94%は農業に起因・関連しており、森林減少の流れを真に逆転させる解決策は農業分野に見出される必要がある。」と指摘しました。
森林はアフリカの経済と地域社会に不可欠であり、世帯収入の約22%を占め、大陸全体で500万人以上の雇用を生み出しています。食料・燃料・建築資材を供給すると同時に、雇用や持続可能な生計の機会を創出しているのです。森林はアフリカの気候目標達成の要であり、フォルトゥナ氏はアフリカの「国が決定する貢献(NDC)」の半数がREDD+を戦略として明記していると強調しました。
森林減少対策の成功事例も出てきています。ITTOプロジェクトマネージャーのポリカルペ・マスパ・カンバレ氏は、女性と若者を再植林活動に参画させることでアフア保護林(GF)の4,500ヘクタールを回復させた、コートジボワールでの持続可能な木炭生産の経験を共有しました。ITTOが支援した同プロジェクトはその後、世界銀行の森林投資プログラム(FIP)からの追加支援につながり、同モデルを国内の他の地域へ拡大・導入することとなりました。

登壇者らは、コミュニティを森林破壊の要因ではなく解決策の重要なパートナーと捉える重要性を強調。「森林資源に関わる人々の生計を考慮しなければ、費用対効果の高い解決策は得られない。」とITTOのカンバレ氏は述べました。
ガーナ森林委員会研修センターのダイレクター、ロゼリン・フォスア・アジェイ氏は、森林減少を食い止めるにはコミュニティの関与が不可欠だと強調。ガーナのREDD+戦略策定経験や、森林の真の価値評価と成果連動型支払い制度を支えるツールへの投資の重要性を紹介しました。アフリカ森林フォーラム(AFF)事務局長のラボデ・ポポーラも、持続可能な未来構築における若者の重要な役割を指摘しました。
ベナンがFAO開発の意思決定支援ツール「ソリューションツリー」を活用した事例は、森林破壊の要因と体系的な解決策を結びつけることで進展が得られることを示しています。同ツールは政府が分野横断的政策を特定・優先順位付け・実施するのを支援するものです。「森林減少を1つの独立した分野の問題ではなく、広範で共同のアプローチを必要とする体系的課題と捉えています。」と、ベナンの水・森林・狩猟シニア・オフィサーのアウェス・コホムラン・ベランジェ氏は述べました。
参加者は、長期的な成功には政府・国際機関・地域社会・民間セクター間の信頼、学びの共有、強固なパートナーシップが不可欠との認識で一致しました。これを実現するには、持続的な資金調達、持続可能な生産への市場のインセンティブ、農業成長を森林減少から切り離すための民間セクターのコミットメントが必要となります。
ITTO森林経営部長のジェニファー・コンヘ氏は、サイドイベントのモデレーターを務め、アフリカ全域で森林減少に取り組むための解決策を、COP30でどのように拡大できるか問いかけました。専門家らは資金、市場、パートナーシップの強化を求めました。「アフリカ諸国は今や森林・気候行動のリーダーとなる準備できています。」とアジェイ氏は述べました。適切な支援、協力、投資があれば、アフリカ諸国は森林を保全しつつ、将来の世代に向けた食料システムと生計を確保することが可能であることを示すことができるでしょう。