ワシントン条約附属書Ⅱ掲載樹種に関する無害証明について専門家が議論

2025年4月15日, サンホセ

コスタリカで開催されたワークショップ。ワシントン条約附属書IIに掲載された樹木に関して、無害証明について話し合う参加者ら。写真: Didier Fernandez

2025年4月1日~3日、サンホセのラディソンホテルで、ラテンアメリカ10カ国の専門家を対象に、ワシントン条約に登録された樹種が種の存続等を害することにならないことを確認するNDF(non-detrimental findings)の作成に焦点を当てた地域ワークショップを開催しました。絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約、CITES)の枠組みの下で開催されたこのイベントは、地域全体で熱帯木材の持続可能な経営と持続可能な取引を推進する上で重要なマイルストーンとなりました。

ブラジル、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、グアテマラ、ガイアナ、ホンジュラス、メキシコ、パナマ、ペルーの代表者のほか、欧州の専門家や世界の林業界の主要関係者が参加。写真: Didier Fernandez

持続可能な林業のための重要なフォーラム

国際熱帯木材機関(ITTO)とコスタリカ林業木材産業協会(Cámara Forestal Madera & Industria: CFMI)が主催したこのワークショップでは、参加国の科学・管理当局を対象としたトレーニングを実施しました。その目的は、木材伐採が種の存続を脅かしたり、森林生態系を劣化させたりしないことを確実にするための科学的評価であるNDFを策定するための9段階の方法論の効果的な実施を支援することです。

ワークショップには、ブラジル、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、グアテマラ、ガイアナ、ホンジュラス、メキシコ、パナマ、ペルーの代表者のほか、欧州の専門家や世界の林業界の主要関係者が参加しました。

「このイベントは、より責任ある持続可能な木材伐採に向けて、ラテンアメリカ諸国、民間セクター、科学当局の協力を強化するまたとない機会です。」とITTO事務局次長(貿易・産業)のモハメド・ヌルディーン・イドリス博士は述べました。

ITTOはパートナーと協力し、ラテンアメリカにおける持続可能な森林経営のために、科学-政策-市場の繋がりを強化しています。写真: Didier Fernandez

樹種の持続可能性に焦点

ワークショップでは、特に最近ワシントン条約附属書IIに登録されたイペ(Handroanthus spp.、Roseodendron spp.、Tabebuia spp.)やクマル(Dipteryx spp.)など、主要な樹種の持続可能な伐採レベルを規制するためのNDFの活用に焦点が当てられました。これらの登録については、高価な熱帯広葉樹の国際取引の規制や、科学的根拠に基づく保全戦略の必要性について、大きな議論を呼び起こしてきました。

理論を実践に移すため、クマルを例として、NDFを適用するケーススタディを実施しました。4月4日に開催された特別会議では、民間セクター、政府機関、いくつかの国際的な関係者が積極的に参加し、市場や貿易の動態にまでおよぶ広範な議論が行われました。

コスタリカのホルヘ・マリオ・ロドリゲス・スニガ環境副大臣は、「この地域ワークショップは、森林資源の責任ある管理における国際協力の重要性を強調するだけでなく、生物多様性の持続可能性と保全に対するコスタリカのコミットメントを強化するものです。」と述べました。

「このイベントを通じて、私たちは、将来の世代のために種と生態系を保護しつつ、木材伐採が自然のリズムに沿ったものであることを確実にするための実践を進めていきます。」

コスタリカの木材産業を理解するための現地視察。写真: Didier Fernandez

科学、政策、貿易の架け橋

このイベントはまた、木材貿易と輸出規制、特にワシントン条約に基づく規制について議論する場としての役割も果たしました。ワークショップには、政府、科学者、民間セクターの代表者が参加し、種の保全と木材生産国の経済レジリエンスに対する総合的なアプローチを開発することを目的とした対話が促進されました。

「熱帯木材の持続可能な取引は、確かな科学、市場におけるベストプラクティス、そして強力な協力関係にかかっています。」とシャーム・サックルITTO事務局長は語りました。この地域ワークショップは、ワシントン条約に登録された樹種の保護だけでなく、森林に依存するコミュニティの生計への貢献のために、喫緊に必要とされる実践的な協力の一例を示しています。

「ITTOは、官民の連携を強化しつつ、ラテンアメリカにおける持続可能な森林経営のために、地域の能力を構築し、透明性を高め、科学と政策と市場の繋がりを強化するという、いずれも非常に重要な要素を支援する本取組をサポートできることを誇りに思います。」

ワークショップにおける協力的な精神は、持続可能な貿易慣行と保全目標を調和させるという地域のコミットメントの高まりを反映するものです。各国が協力して技術的な能力を強化し、ワシントン条約の実施に足並みを揃える中で、エビデンスに基づく意思決定と分野横断的な協力の役割は、これまで以上に重要なものとなっています。

コスタリカ林業木材産業協会(CFMI)のナタリア・チャコン・シッド事務局長は、「CFMIは、このイベントの後方支援を提供できることを光栄に思うとともに、コスタリカが、その戦略的な立地、林業経営の高度な訓練を受けた人材、環境のサステナビリティにおけるリーダーシップにより、このワークショップの開催国に選ばれたことを誇りに思います。」と述べました。

このワークショップを通じて、ITTO加盟国は自国の森林資源の責任ある管理において、世界的な模範としての立場を強化することになります。

ワークショップを通じて、ITTO加盟国は自国の森林資源の責任ある管理において、世界的な模範としての立場を強化することになります。写真: Didier Fernandez