熱帯合板貿易報告の精度向上に貢献するITTOの新冊子

2025年4月23日, 横浜

国際熱帯木材機関(ITTO)は、フランセス・メイプルスデン氏(Frances Maplesden)とハミッシュ・ピアソン氏(Hamish Pearson)執筆による熱帯産の単板と合板に関する画期的な研究書「熱帯木材単板と合板: 概要、特性および換算係数」(Tropical Veneer and Plywood: Description, Properties and Conversion Factors)を発表しました。同書は、熱帯木材製品の国際貿易の透明性を高めるため、より良い換算係数を用いて熱帯合板の貿易量の報告精度を向上させる上で、重要な一歩となりました。

本研究は、熱帯の丸太と製材の換算係数に関するITTOの先行研究、および国連食糧農業機関(FAO)による林産物に関する広範な研究を基にしつつ、熱帯木材の単板と合板の貿易報告における重大なギャップに対応するものです。具体的には、貿易データを重量から容積、平方メートルから容積に変換するための理論的な換算係数(conversion factors: CF)を、樹種や主要な熱帯輸出国別に導き出しています。

「熱帯合板の本当の取引量を理解することは、木材製品セクターの透明性と持続可能性のために不可欠です。」とITTOコンサルタントのフランセス・メイプルスデン氏は語りました。「合板は複雑な多層製品であり、その組成は樹種、密度、製造工程によっても大きく異なります。この研究は、その複雑さを解き明かすのに役立ちます。」

中国海南省、風乾中の単板。写真: Jean-Christophe Claudon

このように単純化することが大きなばらつきを覆い隠していることを示す証拠が増えてきています。木材は吸湿性があり、湿気によって密度が変化すること、そして合板の複数種の構成、接着剤、製造圧縮のあり方がさらに状況を複雑にしています。

同書は、「すべてに一律に適用できる」画一的な換算係数はもはや適切ではないことを明らかにしています。例えば、マレーシアの合板は100%混合の広葉樹で構成されていることが多いが、ガボンの合板には密度の低いオクメ(Aucoumea klaineana)が使用されていることもあります。さらに現在では、多くの熱帯産合板製品において、ユーカリ、アカシア、ポプラなどの植林木を芯材とし、それを薄い熱帯樹種の単板で覆っていることもあります。このような変化により、合板の密度プロファイルが変化し、国際貿易報告で用いられてきた前提に対して見直しを迫るものとなっています。

同研究の主なハイライトは、樹種構成を考慮し、重量に基づいて合板量を推定する新しい方法論とそれに付随するデータベースの開発です。この成果により、数量推計の精度が大幅に向上し、より信頼性と透明性の高い貿易統計が可能となりました。 

単板(ベニヤ板)。東京都江東区新木場にある木材・合板博物館にて。写真: Jean-Christophe Claudon

同調査はまた、熱帯木材貿易の説明責任と持続可能性の強化に取り組む政策立案者、業界関係者、持続可能性に関する取組が、より多くの情報に基づいた意思決定を行うための強固な基盤を築くものでもあります。

「この研究は、熱帯合板の技術的構成と熱帯木材貿易データの透明性に関する知識を向上させるための重要な一歩です。」とシャーム・サックルITTO事務局長は語りました。「信頼できるデータは、持続可能な森林経営、公正な取引、そしてグローバル・サプライチェーンにおける説明責任を支えるものです。この重要な研究を支援できることを誇りに思います。」

同書は現在、ITTOのウェブサイトで入手可能で、関係者は方法論を調べたり、新しく開発された換算係数データベースにアクセスすることができます。ITTOは、政策立案者、業界関係者、研究者がこのツールを活用し、国際木材貿易データの信頼性を高めることを求めています。