GTI:関税の混乱が迫る中、世界の木材市場は3月に複雑なシグナルを発信

2025年4月21日, 横浜

GTI:関税の混乱が迫る中、世界の木材市場は3月に複雑なシグナルを発信Peter Zormelo

国際貿易における混乱への懸念が世界中の生産国と消費国の経済見通しに影を落とす中、3月の世界の木材市場は複雑なシグナルを発したと最新の世界木材指標(Global Timber Index: GTI)レポートは報告しています。

3月のGTIでは、ガーナ(64.2%)、中国(58.1%)、メキシコ(50.3%)が基準値の50%を上回り、これらの国の木材セクターが上向き傾向にあることを示しました。しかし、タイ(46.7%)、ガボン(44.7%)、コンゴ共和国(40.9%)、ブラジル(35.0%)、マレーシア(20.1%)では基準値を下回り、全体としては減速傾向であることが示唆されています。

いくつかのGTIサブインデックスでは明るい兆しも見られました。例えば、ガーナとメキシコでは収穫量と生産量が増加し、中国とタイでは国内市場が前月より改善し、ガボンとコンゴでは輸出市場の落ち込みが緩和しました。

しかし、木材生産に特化した指数であるGTI-生産者指数(GTI-Producers Index)は40.3%、木質パネルに特化した指数であるGTI-木材パネル指数(GTI-WBP Index)は46.1%であり、3月は両サブセクターとも弱含みであったことを示しました。

オーシャン・ウッド・ガーナ社の工場。写真: Peter Zormelo

報告書は、関税関連の問題がいくつかの国で浮き彫りになったことを示しています。例えば、ガボンの企業は輸出税の増加を、ガーナの企業は輸出関税が高く、機械の輸入スペアパーツに高い税金がかかることを報告しています。ブラジルのGTIフォーカルポイントは、米国の関税引き上げにより、合板や製材などの主要製品の輸出に悪影響が及ぶ可能性があると指摘しました。メキシコの企業も、高い関税が国際貿易を妨げていると報告しています。

米国と中国を含む主要国が関税と貿易をめぐって対立していることから、同報告書は木材取引事業者に対し、「リスクを軽減するため、最新の政策と市場動向を注視し、慎重な姿勢を保つ」よう助言しています。

GTIレポートでは、世界の木材市場の動向を把握するだけでなく、9つのパイロット国における持続可能な森林経営の進捗状況も調査しています。

また、協力と情報交換を促進するため、GTIレポートは3月から、各国で開催予定の展示会、会議、研修コースなどの木材関連イベントについても掲載を始めました。

月刊GTIレポート、GTI-Producersレポート、GTI-WBPレポート(すべて英語)は、www.itto.int/ja/gti から無料で入手することができます。

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