ITTO、「世界野生生物の日」にワシントン条約への支持を改めて表明

2023年3月3日

2023年3月3日、横浜:シャーム・サックルITTO事務局長は、世界野生生物デーに向けた声明を公開し、熱帯林の野生動物を維持するためのITTOの重要な取り組みを強調し、絶滅のおそれのある熱帯樹種の保全のためにITTOとワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条:CITES)が協力することの意義を強く訴えました。

世界野生生物デーは、野生動物や植物が私たちの生活や惑星の健全性に貢献していることを祝って、毎年3月に実施されます。

ITTOは、加盟国と協力しつつ、持続可能な森林経営(sustainable forest management : SFM)を通じて、熱帯林の野生生物と生物多様性を保護に直結する取り組みを行っています。これらの活動には、国際レベルでSFMを支援する政策の策定や、それらの政策を加盟国が地域の状況に適応させつつ自国の森林で試験的に実施する際の支援プロジェクトへの資金提供などが含まれます。長期にわたる熱帯林の生物多様性保全のためのITTO/CBD共同イニシアティブの目的は、生物多様性の保全、持続可能な森林経営の実施、劣化した森林景観の回復、森林資源の持続的利用の奨励に生物多様性条約(Convention on Biological Diversity : CBD)締約国とITTO加盟国が取り組むのを支援することです。ITTOはまた、熱帯生産林における生物多様性保全のためのガイドラインを採択し、各国が実施できるように支援しています。さらに、ITTOは熱帯地域に国境を越えた保全地域ネットワークの構築を支援し、多くの野生生物種の保護に貢献しています。

ITTOは、絶滅の危機に瀕している熱帯樹種の保全と経営の改善を支援しています。ITTOとCITESは20年以上にわたって緊密に協力しており、2007年から2022年にかけては、CITES付属書IIに記載されているオオバマホガニー、ラミン、沈香生産種、アフロルモシア、黒檀、ローズウッドなどの熱帯樹種の経営を改善するプログラムを共同で実施したこともあります。

ITTOとCITESの間の継続的な協力作業は、「人類や木々に依存する他の多くの野生生物種に、これらの象徴的な樹種が数々の恩恵を与え続けられるようにしていくための、国際組織と国際社会の協力のあり方を示す優れた例です。」と、サックル事務局長は声明で述べました。

ITTOとCITESは、2022年11月にパナマで開催されたワシントン条約第19回締約国会議(COP19)において、沈香に関する共同報告書(英語)を発表しました。主にアクイラリア(Aquilaria)属とギリノプス(Gyrinops)属の種から生産される沈香は、その香りが高く評価され、お香や香水、様々な製品の製造に使用されています。沈香の価格が高いため、持続不可能なレベルの採取が行われ、その結果、2004年にアクイラリア属とギリノプス属の全種がワシントン条約付属書IIに登録されました。ITTOとCITESの新しい報告書は、COP19で、附属書に登録されている沈香に関する条項の改訂の可能性を検討するようCITES植物委員会に要請(英語)する議論に、情報を提供しました。

ITTOとCITESはまた、エクアドルにおいて、マホガニーに重点を置いた森林保全、計画、経営に関する公共政策策定のための基盤となる情報を作成するための最近の調査でも協力しました。この調査は、エクアドルの環境・水資源・生態系移行省が、サンフランシスコ・デ・キト大学および国立生物多様性研究所と協力して実施したもので、結果は近日中に発行される「Tropical Forest Update」で報告される予定です。

シャーム・サックルITTO事務局長のメッセージはこちらからご覧ください。