グリーンサプライチェーンが景観修復に不可欠な収入の鍵に

2018年12月2日, ボン(ドイツ)

農村部の女性たちがキャッサバと一緒に植えたアカシアの樹木を使い修復した、コートジボワールのアフアガゼットフォレスト地域。 写真提供:MALEBI

持続可能なサプライチェーンを通じた森林景観の修復から収入を得ることがサステナビリティーには不可欠です。12月2日にドイツのボンで開催されたグローバル景観フォーラムの一環としてグリーンサプライチェーンの官民パートナーシップが果たす役割に関するディスカッションフォーラムが開催され、ゲァハート・ディタレITTO事務局長はこのように述べました。
 
ITTO、国連食糧農業機関(FAO)、国際林業研究センター(CIFOR)の共催によるディスカッションフォーラム「官民連携を通じて森林から市場に至るまでのサプライチェーンをグリーン化する 」が開催されました。 この会議では持続可能な景観修復における生産林や合法的かつ持続可能なサプライチェーンが果たす役割について、コミュニティーや民間部門を含むステークホルダー間の共通理解を深めることと、それにより「ボン・チャレンジ」ならびに「森林と持続可能な開発目標に関するニューヨーク宣言」の目標達成に近づくことを狙いとしました。
 
「持続可能な管理がなされれば、復元された森林景観は持続可能な木材やエネルギー、食糧、環境サービスを提供することによって循環型バイオ経済に大きく貢献する可能性を秘めています」とディタレ博士は語り、「グリーンサプライチェーンを通じてこうしたものを売っていくことが不可欠になります。なぜなら、 確実に森林復旧と持続可能な経営を持続的に実施していく唯一の方法は、地域の人々がこうした活動から持続的な収入が得られるようにすることだからです」と述べました。
 
また、ディタレ博士によると、収益の上がる森林景観を形成することと林業に必要な投資を促すことができれば、多くの熱帯諸国で直面する木材供給のギャップを埋められるようになり、そのことからも景観修復についてさらなる助言が求められます。
 
「将来の食糧安全保障について語るように、木材と水の安全保障についても話す必要があります」、「熱帯林が社会の需要増に対応できなければ、残存する天然林や保護地域に多大な影響を及ぼすのです」と続けました。
 
さらに、2018年10月に発表された気候変動に関する政府間パネルの特別報告書では、森林への大規模投資や、循環型経済の一環としての森林ベースの製品の使用がなければ「地球温暖化を1.5°Cの目標値内に維持するというパリ宣言の達成はほとんどかなわない」状況であると指摘しました。そうなれば、土地管理は「炭素、生物多様性、木材および食糧に関する隔離的アプローチから人類の多様なニーズを満たす統合された景観に基づく解決策へと進化しなければならない」と述べました。
 
ディタレ博士は、熱帯木材製品の消費者市場は熱帯地域の持続可能な森林経営を促進できると述べ、ITTOの支援による調達、生産、マーケティングプロセスにおけるグローバル・グリーンサプライチェーン化に向けた中国の森林セクター企業によるイニシアティブについて言及しました。
 
スイス、ベルン大学のユルゲン・ブレーザー博士は、資金調達と森林景観の修復の関係を強化することを目的とした、森林に関する協調パートナーシップ(CPF)の枠組みの中の進行中の劣化二次熱帯林の修復、管理、再生のためのITTOガイドラインの改訂および更新作業に関して、ディスカッションフォーラムにおいて述べました。ブレーザー博士によると、森林やその他の景観資産や持続可能なサプライチェーンの持続可能な経営を通じた短期、中期、及び長期的な収益をもたらすグリーン投資を開発することと官民の関心を一致させることが鍵となります。

 
また、森林経営、景観、バリューチェーン、生活、市場、投資、資金調達メカニズムそれぞれとのつながりを促進することを目的とした持続可能な世界のための持続可能な木材について、FAO林業局長の三次啓都氏の発表があり、森林修復によって投資が必要とされる地域では新たなビジネスチャンスを創出できると述べました。

 
CIFOR事務局長のロバート・ナシ博士は、森林が炭素貯蔵庫の役割を担う際に森林修復を実施する取り組みが収益性を得られるように、森林景観修復のパラダイムを変換すべきであると訴えました。


国際自然保護連合の森林修復評価コーディネーターのムメ・ミルジャム・クゼー氏は、景観の連続性における商品サプライチェーンが果たす役割について述べ、一貫したサプライチェーンを確立できれば収益が上がると指摘しました。そして重要なメッセージのひとつとして挙げられたのは、手つかずの原生林を保全する必要があるのに対し、二次林は持続可能な形で管理し、劣化林は持続的に修復させる必要があるということでした。


さらにこのフォーラムの参加者は、コートジボワールの農村部の女性が森林修復と木炭事業をどのように結びつけ、森林景観修復における女性の役割についての認識を変えることができたかを紹介するITTOプロジェクトのビデオ(英語字幕)も視聴しました。この中で男女平等とエンパワーメント、そして女性が地域社会の中で文化的差異について克服してきた方法について言及しています。

 
プレゼンテーション(英語)のダウンロード: