違法伐採問題を考える国際シンポジウムが閉会-合法木材の利用を木材消費国・生産国に呼びかけ

2015年6月19日

ITTO FLEGT独立市場モニタリングプロジェクト主席コンサルタントのルーパート・オリバー氏は合法性確保(合法的木材調達を含む)に向けて主要木材輸入国がとるべき行動について発表。 写真: K. Sato, ITTO

国際熱帯木材機関(ITTO)はまちと森林をつなぐ木づかい全国キャラバン実行委員会との共催ならびに林野庁の後援により、2015年6月12日に違法伐採問題を考える国際シンポジウムを国連大学(東京)において実施しました。本シンポジウムでは違法伐採を撲滅し、合法的に収穫した木材製品の貿易を促進することを狙いとしました。

主要木材輸入国の木材合法性の確保に関する各国の取組みについての発表が行われました。日本のケースでは合法材認証制度は民間団体による3種類の認証制度があり、持続可能な森林経営(SFM)認証制度の利用、加工・流通過程(CoC)の認証制度、そして各事業団体による独自の合法性検証制度があると説明されました。この他にEUのEUTR(欧州木材規制)などの国際的な取組みについても紹介がありましたが、このEUTRでは市場に違法木材が流通するリスクを極力抑えることの重要性を認識しており輸出業者に「デュー・デリジェンス」の実施を要請していることが説明されました。
 
シンポジウムではさらに、インドネシアの木材合法性認定システム(TLAS/SVLK)に関する報告書が紹介されました。このシステムは木材の原産地、生産過程、輸送および貿易のすべての過程が同国の法律と規制条件を満たしていると確認が取れる場合において、木材を合法だとみなすシステムです。TLAS/SVLKはインドネシアで数多くの木材合法性検証を行い、このシステムが成功していることを証明しています。
 
また、熱帯諸国で違法伐採を撲滅するための対策や木材・木材製品の合法性の確保、そして国際、地域および国レベルで合法的に熱帯木材を収穫して加工、貿易を促進していけるように取組むべき課題等について議論を行いました。
 
最後に参加者は、合法的に検証された木材に対する態度は変化しているものの最終消費者への情報が欠如しているがゆえに、合法木材の生産コストの高さを相殺できるだけのプレミアム価格を合法木材につけることが困難であるとの認識を持ちました。このことからも、われわれは木材生産国・消費国の双方がITTOの違法伐採と木材貿易の撲滅を目指すフォーラムの場で中心的かつ積極的な役割を果たしてくれることを願っています。そうすればITTOは違法伐採に対抗し、熱帯木材や木材製品の生産、貿易を合法的に推進できるよう熱帯木材生産国を今後もより一層支援していけると考えています。
 
本シンポジウムについての詳細は右記のITTOウエブサイトでご覧ください。http://www.itto.int/ja/workshop_detail/id=4352